番外① リリアスの学園生活 6
時系列的にはアリエス教国編の第176掌辺りです。
今回はどのくらいの話数を書こうかな。
これはアリエス教国で、大会に参加する前。
私は学園にお休みすることを伝えるためにオークス王国に戻って来ていた。
「まさか、毎日連続でするとは思わなかったよ」
大会に参加するためにも週に三回しか行っていない学園すら休まなくちゃいけなくなったのだ。
「でも、タカキさんが手を回してくれて助かった。休んだ間の講義内容、分かんないもんね」
今、タカキさんやダンガさん、アメリアさんは一緒にはいない。学園に休むことを報告するだけだし、他にこっちですることもないのでついて来なかったのだ。それに、もしも私でもどうしようもないことが起こったとしても、召喚魔法があるから誰かしらを喚び出せるからだ。今回、アリエス教国に行っていないリアも屋敷にいるし、私も本領が発揮出来る。
ちなみにタカキさんは後で講義内容を私に教えてもらえるように学園長に頼んでくれるらしい。本当に色々と助けて貰っていて、申し訳ないくらいだ。
そんなことを考えていると学園に着いた。
「さてと。それじゃ早く先生に報告しなくちゃ」
まずは職員室に向かう。
「失礼します。すみません、ノエル先生はいらっしゃいますか?」
「ん?ああ、ダニウス先生なら今は授業中だぞ?」
「あ、そうなんですか。どこにいらっしゃるか分かりますか?」
「今は三年のBクラスに授業しに行ってると思うぞ」
「ありがとうございます。行ってみます」
教えてくれた先生に頭を下げて職員室を後にする。そしてやって来たのはBクラスの教室。
「まだ授業中みたい」
確かにまだ授業が終わるまで十分ほどある。覗いてみると皆真面目に授業を受けていた。
あ、ギムル君だ。眠そうに先生の話聞いてる。頭がカクンカクン揺れていて、見ていて面白い。
それから授業が終わるまで教室の前で待ち続ける。他にすることもなかったから異空間にしまっていた本を取り出してそれを読む。今度、村に本を取りに行こうかな?異空間があればあそこに置いておく必要もなくなるわけだし。
と。チャイムが鳴った。授業が終わったみたいだ。先生がこっちに向かって出て来る。
「あら?リリアスさんじゃない。どうしたの?今日は授業、取っていなかったわよね?」
「はい。今日はお休みを頂くことを伝えに来ました」
「何かあったの?」
タカキさんは後で伝えると言っていたので、まだ学園は私が休むことを知らない。学園長辺りは王様に大体のことは聞いているかもしれないけど。
「冒険者の方の仕事が少しの間、毎日になりそうなので」
「そう。やっぱり冒険者しながら同時に学生するのは大変ね」
「いえ。毎日楽しいですよ」
確かに冒険者をやっている以上は命懸けだけど、村でただ魔法使いに憧れているだけよりもずっとマシだ。むしろ、充実感があって毎日ワクワクしてるくらい。
「そう。それじゃ、お休みの件、了承しました」
「ありがとうございます。それじゃ私、行きますね」
「もう行くの?」
「はい。仕事の途中ですので」
「そう。頑張ってね」
「はい!」
そうして私はアリエス教国に行こうと屋敷に向かって帰り出す。後少ししたらタカキさんも迎えに来てくれるし、早く帰らないとね。
「おーい!リリアスー!」
と、学園の門まで来たところで私に呼び掛ける声が。その声のする方に目を向けると、そこにはギムル君がいた。
「授業が終わった後、ノエル先生と何か話してたよな。俺の教室だったから気になって」
「あ。眠たそうにしていたから声は掛けなかったんだけど」
「そんなの気にすんなよ。俺達、と、友達だろ?」
「そっか。ありがと。今度からそうするね」
「あ、ああ。・・・そうだ。それで、何を話していたんだ?」
「えっと。少しの間、学園をお休みすることを報告してたの」
「え⁉リリアス、学園に来ないのか⁉」
驚いた表情で焦ったように聞いてくるギムル君。
「う、うん。多分、七日間くらいは仕事に掛かりっきりになっちゃうかな?長くてもその倍くらいで済むとは思うけど・・・」
「・・・そうなのか」
そういえば、キャシーにもそのことは言っていなかったな。でも、タカキさんを待たせるのも悪いし・・・。
「ねぇ、ギムル君。お願いしたいことがあるんだけど、いいかな?」
「な、なんだ⁉俺に出来ることなら何でもやるぞ!」
「そ、そこまでのことじゃないんだけど」
ここまで本気にならなくてもいいのに。ただ、キャシーに伝言というか、私がお休みすることを伝えてもらおうと思っているだけだし。
「キャシーに私がお休みすることを伝えておいてもらえないかな?私、人を待たせてるから行かなくちゃいけなくて」
申し訳ないけど、やっぱりギムル君に頼むのが一番、効率がいいんだよね。
「・・・俺があいつに?」
肩透かしを受けたような、物凄くガッカリした感じになっているギムル君が嫌そうに呟く。
「う、うん。ダメかな?」
「・・・いや、ダメじゃないけど」
「無理にとは言わないよ?ダメなら私が伝えに行くし」
遅れたらタカキさんには謝らないといけないけど、ちゃんと遅れた理由を話したら許してくれるよね?タカキさんは理由がちゃんとしたものとか、本人が大事に思っていることなら大抵のことは許してくれるし。
勿論、待たせちゃったお詫びに何かしようとは思うけどね。せっかくだし、そこでもアピールしなくちゃ。
「リリアスが待たせている人って、冒険者パーティーの人か?」
「え?うん」
「それって、前に話していた奴か?」
「え?」
タカキさんのことかな?前に話したのはタカキさんのことだし。
「うん。他の人達は別の仕事しているし、移動手段持っているのってその人だけだから」
今、ダンガさんもアメリアさんも孤児院で仕事というか、大工仕事に家事をやっているから何の用事もないのにこっちに戻ってきたりはしないんだよね。タカキさんも迎えに来るまではまたアリエス教国に戻ってダンガさんを手伝ってるし。
「そうか・・・。そいつに負けられないしな!分かった!俺が伝えておいてやるよ!」
「本当⁉良かった。それじゃお願いね!」
そうして私はギムル君に「またね!」と言って屋敷に帰っていった。
その場に残されたギムル君は「頼みを受けなかったら印象悪くなるし、受けたらリリアスの好きな奴にリリアスが会ってしまう。どっちを選んでも俺にいいことないじゃねぇか!」と叫んでいたけど、それを私は後でキャシーから大分ボカされて聞かされた。
ギムル君、タカキさんと会わせること出来そうにないなぁ。タカキさんは気にしないだろうけど、友達が迷惑かけるのは嫌だし。
そんなことをキャシーから聞いた私は思ったのだった。
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次の「リリアスの学園生活」はアリエス教国編の終わった後辺りのことを書くと思います。
べ、別に、他に書くところがないわけじゃないんだからね!_(._.)_(棒読み)




