閑話14 孝希がいなくなってから止まるまで
そういえば、書いてないな~と思って書きました。
今回は本編に集中しすぎて本編からの閑話を思いつかなかったっす。
この次は「リリアスの学園生活」かな~。
それはタカキが異世界に転移して、地球神によって時間を止められるまでの一日。
タカキ達がいなくなって、学校では騒ぎになっていた。なにせ、学校が始まってすぐにクラス一つ分の生徒と担任の教師がいなくなってしまったのだ。騒ぎにならない方がおかしいだろう。
だが、異変に気が付いたのはその日の学校が終わった後。悪いことにタカキ達の教室は校舎の端っこ。用事さえなければ行かない場所になってしまっている。始業式とホームルームの終わった後は生徒は帰宅になる。そこで職員室に中々帰ってこない皆川を不審に思った教師が確認して、異変に気が付いたのだ。
実は、タカキの元クラスメイトの1-Cメンツが遊びに来ていたのだが、「あいつのことだから、また何かしたんだろう」って思って特に誰もいない教室を不思議にも、不審にも思わずにそのまま帰っていったのだ。
一応、もしかしたら戻ってくるかもしれないと考え、夕方まで様子を見て、保護者への連絡を遅らせたのだ。しかし、帰ってくることはなく、そのまま学校側は保護者へと連絡を入れた。
そこからは騒ぎは大きくなる。
自分の子どもが帰ってこないのだ。騒ぎたくもなる。学校は保護者への連絡と同時に並行して警察への連絡も済ませていた。先に連絡を入れていたら、何故保護者であるこちらへ先に連絡しないのかと保護者から文句を言われるし、先に連絡したら警察への連絡をしていなかったことに文句を言われるのだ。
どちらにしろ、文句を言われてしまう。それなら同時にすればいい。というわけで学校は同時に各所へ連絡を入れた。
そして、その連絡はタカキの家族の元へも。
「―――はい。そうですか。―――ええ。―――はい。―――はい。それでは」
そう言って電話を切ったのはタカキの母親。
「・・・お母さん」
「沙羅・・・。大丈夫よ。あの子のことだもの。きっとピンピンしてるわ」
「そ、そうだよね」
「それじゃ、お母さんはお父さんの所に連絡を入れた後に高校に行ってくるから」
「う、うん」
学校側からの説明や警察への届け出をするために家を出るタカキの母親。しかし、学校側からの説明は無駄なことだろう。何故なら本当に一瞬で消えたようなものだからだ。しかも、この世界にはすでにタカキ達は存在しない。どうやっても向こうにいるタカキ達か、地球神によって帰ってくるしかないのだ。
「だ、大丈夫だよね?お兄ちゃん・・・」
その場でそう呟いた沙羅であったが、不安は隠し切れるものではない。そのまま移動し、タカキの部屋へと入る。
「何か、何か手掛かりみたいなものはないの?」
そう言って兄の部屋を漁り出す妹。
「―――うん?何これ?」
出て来たのはベッドの下の空間。その上に張り付けてある一冊の本。それを沙羅はペラペラとめくり出す。そしてみるみるうちに顔を赤くしていった。
「こ、これ・・・。エッチな本・・・」
そう。タカキも思春期真っ盛りの男の子。エロ本の一冊くらい持っているものである。勿論、自分で買ったものではなく、去年一年間の内に知り合った人から貰ったものである。高校二年生になったばかりのタカキには18禁のものを買えないのだ。
「しかも、色んなジャンルが詰まったやつ・・・」
それはタカキにお世話になった知り合いが厳選して渡したものである。結構なレア物であり、去年のクラスメイト達(男子と数名のキャラの濃い女子)から羨ましがられたほどだ。
この時、異世界にいたタカキは「あれ?何か俺にとってヤバいことが起こっている気がする・・・」と勘付いていたが、こればかりは地球に帰らない限りはどうにもならない。
「なんでこんなにシリアスな時にこんなものが出て来るの・・・。空気が緩んじゃったじゃない」
何とも言えない気持ちになってしまう沙羅。
「とにかく、これ以上凄いものが出て来ることはないだろうし、探すのを再開しよう」
そこから黙々と探し出すのだが・・・。
「え⁉なんでお兄ちゃん、女優さんと一緒に写真撮ってるの⁉」
「うわっ!これ、あの有名な老舗の品じゃん!めちゃくちゃ高いのに何で持ってるの⁉」
「こ、これ、本物の銃じゃないよね?モデルガンだよね?怖くて確認作業なんて出来ないけど・・・」
「凄い!あの漫画家さんのサインだ!いいな~!」
「なんでプロの野球選手の人達と一緒に野球してるの⁉しかも、これ撮ってる人、お兄ちゃんの去年のクラスメイトの人だけど、隣にいるの、野球が好きって有名な芸人さんだよね⁉」
などなど。タカキが隠してあったものがドンドン妹によって晒されていく。
「お、お母さんとお父さんに教えてあげなくちゃ・・・っ!」
すでに自分が何の目的でタカキの部屋を漁っていたのかも忘れ、他に何かないか探し始める沙羅。
「―――ハッ!そうだ!手掛かりを探すんだった。あまりに凄いものばっかり出てくるからつい・・・」
それから部屋を探し続けたが、特に手掛かりらしい手掛かりは見つけることが出来ず、結局残ったのはタカキが隠していたものだけ。
その日、これらの沙羅が見つけたものを見て、「あ、なんか大丈夫な気がしてきた」とタカキの巻き込まれ具合というか、凄まじさを目の当たりにしたタカキの家族達は思った。
そこから鑑賞会に発展していき、タカキの家族はタカキの隠したものによって大いに励まされるのであった。
そして次の日を迎えると同時に地球の時は地球神によって止められた。
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