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第211掌 決勝戦 終わりと共に

や、やっとこの話で宗教抗争大会の話は終わりです・・・。

ここからアリエス教国編クライマックス突入!

長かった・・・。

けど、このまま勢いで終わりまで持って行きますよ!



 開始の合図と共に偽物さんは俺に突っ込んできた。


「―――ッシ!」


 怒っているようで、明らかに殺す気で大鎌を振っている。狙いは俺の首。このままだと俺の首がチョンパされるな。


「まあ遅いし、普通に避けれるけど」


 大鎌による攻撃をしゃがむことで回避する。


「ハァ!」


 しかし、避けられることは織り込み済みなのか、続けて連続攻撃を仕掛けてくる。


「凄い凄い。よくこんなに上手く大鎌を使いこなせるな」


 普通の鎌でも武器にすれば扱いが難しいものになるのに、こんなに大きな大鎌を自在に振り回せるなんて。それなりに大鎌での訓練を積んでいるのだろう。


「戦闘中に余裕だな!」


 お?こっちは話すのか。ミストの方は話さなかったのに。まあ、声でバレるとでも思ったのだろう。こっちのフードはあんまりこの国で一緒にいなかったからな。しかも、大会にもこの偽物の「狂った死神」としてでしか参加していないからな。あっちはそうもいかないし。


「実際に余裕だからな。それに、話してもいいのか?」


「何のこと?」


「いや、そんなに話して、声でバレてしまわないのかなって」


「―――ッ⁉まさか・・・」


「ここで言って欲しいなら別だけど?」


 そう言って俺は攻撃を避けながら顔を偽物さんの耳元に近づけて言う。


「―――カリーナさん」


 俺がそう言った瞬間、大鎌による攻撃が止まる。


「ば、バレて―――」


「っていうか、そもそも知ってたし」


 一回戦終了後の夜、男を襲ったのはこっちのフードさん。俺がこの国に来てから行った情報収集の時に遭遇したのはさっきのミスト。そのくらいの検討は付いていた。中身も大体分かってたしね。


「お前は誰だ!」


「誰って言われてもね。紹介されてたろ?謎の選手だよ」


「そんなもので納得できるか!」


 そんなこと言われてもね。


「とりあえず、安心して。あっちのフードもあんたも殺す気も誰かに殺させる気はない。この後、何が起こってもな。だから・・・安心して負けてくれ」


「―――ッ⁉」


 俺は風魔法と火魔法を使い、風雷魔法と火炎魔法の合成魔法、『炎雷の矢風』の劣化版を発動。


「いくぞ。『風火の矢』」


 俺の後ろに百本ほど出現させた風で強化した火の矢。それを見て、カリーナさんは愕然としている。


「さぁ、幕引きだ」


 軽く手を挙げ、偽物さんに向けて振り下ろす。それだけで『風火の矢』はカリーナさんに襲い掛かる。


「こんなものッ!」


 そう言って大鎌で迎撃しようとするが・・・。


「な―――ッ⁉」


 あっけなく大鎌は『風火の矢』の連続攻撃により折られてしまう。


「業物が!」


「流石に一本では折ることは出来なかったけど、五本も当たれば折れるくらいのものだ。そんなにショックを受けないでもいいさ」


「くっ」


 こちらの攻撃を防ぐための武器を失い、避けるしかなくなったカリーナさん。でも、避けていちゃあ終わらないよ?


「ほいっと」


「な―――ッ⁉」


 避けられ、そのまま地面に被弾するかと思われた矢は全て地面に被弾する前に軌道を変えて再びカリーナさんに襲い掛かる。


「迎撃しないと防ぎ切ったことにはならないよ」


「この矢を全部操作しているとでもいうのか⁉」


「じゃなきゃあんな軌道するなんてありえないでしょ。はい。それじゃ終わりね」


 俺は最初に大鎌で防がれて消えた矢以外の全ての矢を使ってカリーナさんを全包囲する。


「このッ!」


 カリーナさんは諦めずに包囲網の外に出ようと矢の一部に突撃する。あの着ているフードが魔法か何かで強化されているみたいで簡単には破れはしていない。けど、残り九十五本の矢を受ければそんなの紙同然だ。業物の大鎌すら五本の矢で折られたんだから。


「流石に全部使ったら死んじゃうからね。こっちだ」


 あの矢は檻。本命はこっちだ。


 俺は風雷魔法で電気を発生させて剣の形にする。これでスタンガンみたいな効果を発揮させる。電力は抑えてっと。


「ハッ!」


 俺はその電気の剣を投擲する。


「あっ」


 その剣は見事にカリーナさんのお腹に刺さる。


「はい。これで終了」


 カリーナさんはそのまま地面に倒れてしまう。


「審判、確認」


「は、はいぃ」


 俺のこと怖がり過ぎだろ。ビビりだったのか?


「・・・「狂った死神」の気絶を確認。この試合、ここまで!最終試合の勝者は光天教、謎の選手!これにより、宗教抗争優勝宗教が決定しました!優勝は――――光天教!」


『『『・・・・・・・・・・・・』』』


 おや?最終試合が始まってからはもう威圧スキルは使っていないんだけど。反応がないな。どうしたんだろうか?


『『『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼』』』


 一拍置いて今までで一番大きい歓声が沸き起こった。


「それではそのまま表彰式と、政権交代式を執り行います!」


 あ、忘れてた。勝った宗教の代表は次の教皇になるんだったな。それに国を動かす者達も新しい教皇の選んだ者達になる。


「決勝戦出場選手達はコロシアム中央へと来てください」


 その言葉に両宗教が中央へとやって来る。


「やったな!」

「よくやってくれた」

「ありがとう」

「お前がいてくれて助かった」

「感謝しかない」


 リヒト、ハムサス、ミサ、それにオージアスや俺が寝ている間に頑張っていた光天教のもう一人の選手が声を掛けてくる。


「「「「・・・・・・」」」」


 それとは逆にフードの二人以外のアシュラ教の選手達は無言だ。


 表彰式は順調に進んでいった。最後に政権交代としてリヒトが現教皇から教皇の証である聖杖を渡されて政権交代は成立する。そのためにリヒトはアシュラ教の教皇と共に用意された広い台の上に上っている。


「よき戦いであった。これより先はお前達に任せる」


「はい!」


 リヒトは膝をつき、頭を下げて両手を差し出す。その上に聖杖を置かれれば政権交代成立である。


 しかし。


 ―――ヒュン!


 そんな音と共に何かがリヒト目掛けて飛来してきた。


「ハッ!」


 それを俺はリヒトに当たる寸前にリヒトの前に移動して拳で撃ち落とす。


「―――ッチ!」


「タカキ?」


 そして、驚くリヒトと悔しがる教皇を前に俺は言う。


「さあ。早いけど、作戦決行の時間だ」




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