第21掌 緊急依頼発生
今日の分です。
一応書けたけど明日も同じ時間に投稿できるかな~。
そんな心配が頭をよぎる今日この頃です。
そんな作者はほっといて、今回の話をどうぞ!
町に帰ってくると、ギルド前が騒がしかった。ギルド前には冒険者たちが多く集まっていた。それに少ないが、冒険者以外の一般の平民の人たちも所々でいた。
「一体何なんだ?この騒ぎは」
「さあ?」
お祭り騒ぎな雰囲気ではない。むしろ不安が蔓延している。嫌な雰囲気だ。擬音で言うと、ワイワイじゃなくてザワザワって感じだ。
「なあ、なにかあったのか?」
俺は近くにいた野次馬のおっさんに事情を聞く。
「ああ?支部長補佐殿から重大な発表があるんだとよ」
「まだ、その発表はしていないんだろ?それにしては皆不安そうなんだが・・・」
「噂だよ」
「噂?」
「ああ。外から来た奴らの情報をギルドが受け取ったことで、どうやら緊急依頼が発生するかもしれないって噂だ」
外から来た奴らってもしかして俺達のこと?
「その外から来た奴らって二人組?」
「いや。五人組のパーティーらしい」
どうやら俺達の情報とは違うものらしい。
「お!出てきたぞ」
おっさんがギルドの入り口に目線を移す。俺達も同じように視線をギルドの入り口に向けた。
「みんな!わざわざ集まってもらって感謝する!」
どうやらこの集団はデリルさんが集めたものらしい。俺達はちょうど外に出ていたから知らなかったのだ。
「今回、いくつかの冒険者の情報提供によって重大な事態が起こってることが分かった」
あの。それはいいんだけどさ。俺達、とりあえず一回依頼の報告に行きたいんだけど。
「この町の周辺に現在、高ランクのモンスターが多数出没している!見た目はスライムやゴブリンだが、強さが桁違いだ」
それ、さっき戦ってきた奴らじゃないですかーヤダー。もう少し早く言って欲しかった。危うく死にかけたよ。
「その情報にさらにギルドが独自に調査したところ、この町の近くにある洞窟からその高ランクモンスターが発生していることが分かった!」
その洞窟がどこにあるかは分からないが、結構ここから近い場所にあるらしい。周りの冒険者たちだけでなく、野次馬で来ていた町の住民も明らかに動揺している。ここは危険だと感じているようだ。「そんな⁉」「ここはもうダメなの?」「死んじゃう!」「どうにかしろ!」「助けて―!」などあちこちから聞こえてくる。
「落ち着いて欲しい。それでここからが重要なことであり、ここに集まってもらった理由である」
デリルさんは息を一旦吐き、大きく空気を吸う。そして先程よりも大きな声で叫ぶ。
「緊急依頼だ‼ここにいる諸君にギルドから依頼する‼洞窟に向かい、異常発生している高ランクモンスターも発生を阻止、原因を排除せよ‼」
『『『おお!』』』
デリルさんの言葉に興奮気味に応える。暑苦しさが前面に出ている。気合だけじゃダメでしょ。つい皆がこういうテンションの時に、一歩引いちゃうんだよね。今回の場合、強さと情報、そして気合を併せ持たなくちゃ。この世界だと人は簡単に死んじゃうんだから。
「タカキさん・・・」
心配そうに俺を見つめてくるリリアス。
「大丈夫。とりあえず、今回の依頼のことを報告して、今日は休もう」
「・・・はい」
リリアスは不安がぬぐいきれないといった感じであった。
・・・
「これが今回の依頼で採ったクシュルナ草だ。確認を頼む」
俺はシャーリに今回の依頼の報告を行っていた。
「・・・・はい」
「・・・・」
き、気まずい。どうやら他の受付嬢は今から緊急依頼を受け付けるらしい。余ったのはシャーリだけで、ちょうど緊急依頼とは関係ないG級冒険者の俺達の依頼達成を受け付けることになったようだ。
なんか余りもの通しで仲良くやってろみたいなことを言われている感じがして若干イラッとするな。実際に何人かの受付嬢はそういった目で俺達を見て来ているし。まあ、確かに余っているけどさ。
「確認が出来ました。確かに全てクシュルナ草です。それではこちらが報酬になります」
そういえば、俺ってこの世界のお金の単位のこと一切知らないな。宿屋の払いも結局リリアスがやってたし。もちろん、俺達が稼いだお金でだ。リリアスの個人負担ではないよ?
今は聞ける雰囲気じゃないからあとで聞こう。
「それと依頼中にモンスターが襲ってきたので撃退しました。アイテムもいくつか落としたのがあるので換金してもらえないですか?」
俺はそう言うと倒したスライムやゴブリンの落としたアイテムをその場に出す。アイテムは大きさが小さいから持ち運びが楽でいいわー。
シャーリの前にアイテムを置くと不思議そうな顔で見ている。なんでスライムやゴブリンのアイテムを換金しに来たの?って感じだ。
「鑑定してもらえば分かるよ」
これ、真シリーズだからね。
「はあ、少々お待ちください」
アイテムを持ってシャーリは奥に引っ込んだ。
数分後。
ものすごい勢いでシャーリが戻ってきた。後ろにはデリルさんも一緒だ。
「こ、これ!」
「タカキ君!これは今発生している高ランクモンスターのドロップアイテムなんじゃないかい?」
「ええ。採集依頼を受けている途中に襲われまして。危うく殺されるところでしたよ」
「で、でも!これがあるってことは・・・」
シャーリは受付の机に身を乗り出している。よほど興奮していると見える。シャーリほどではないにしてもデリルさんも同じ様子だ。
「ああ。全部倒してきた」
「「⁉」」
そもそも倒さなければ殺されてたんだって。なんだよ。そんな驚愕した!って感じの表情をしやがって。
「君が倒したこのスライムとゴブリンのランクはC~Bランクの強さだとギルド全体で判断している。しかも、この量だ。集団を相手にしたと見える」
「そうですよ?」
「集団を相手にするときはランクが一段階上がる。君はAランクを倒せる実力があるということだ」
「そうですか」
ぶっちゃけランクはどうでもいいんだよな。最終的に神の依頼を完遂できるほどの力を持てればそれでいいし。
「それで?お金はもらえるんですよね?」
「ああ。それはもちろん。それはそれとして君に頼みたいことがある」
「緊急依頼なら、今のところは受けるつもりはありませんよ?」
俺のその言葉にギルド内の空気が凍り付いた。
あれ?俺、なんかおかしなこと言ったかな?
読んでくれて感謝です。




