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第186掌 二回戦 開始前



 俺は転移してアリエス教国に戻って来た。変装もして、服も地味なやつに戻した。そのままで帰ると今までのことが無に帰す可能性があるからな。


「遅かったわね。何かあったの?」


 教会に戻るとミスティさんが奥から出て来て、俺に聞いて来た。


「いや、ちょっと今日の一回戦を観た人から声を掛けられただけですよ」


「何それ!私も声を掛けられたかった!」


「あはははは。大丈夫ですよ。このまま勝ち続けていけば、すぐにでも声を掛けられますよ。だから気にしないでいきましょう」


「そう?」


「はい」


 そんなことを話しているとリリアスとダンガがやって来た。奥で俺が帰って来るのを待っていてくれたみたいだ。みんなの優しさが染み渡るな~。


「あれ?アメリアは?」


「あいつなら場酔いしたまま寝たよ」


 ダンガがちょっと呆れながら教えてくれる。何やってんだ、あのメイドさんは。まあ、いつも働いているからストレスも溜まっているんだろう。そっと寝かせておいてやるのが優しさってもんだな。


「そうか。それじゃ、明日でいいか」


「ん?何がだ?」


「いや、何でもない」


 ミスティさんのいるこの場で話すわけにはいかないからな。明日の夜にでも三人には今日のことを教えればいいだろう。


「それじゃ、明日には二回戦があるし、寝よう。待っていてくれてありがとな」


「ああ。気にすんな。それじゃ、俺は寝るから」


「ああ。おやすみ」


 そう言ってダンガは奥に引っ込んでいった。


「それじゃ、私も寝ますね」


「ああ。ありがとな、リリアス」


「はい。おやすみなさい」


「ああ。おやすみ」


 そう言ってリリアスもダンガに続いて奥へと戻って行った。


「それじゃミスティさんも寝てください。俺も寝ますから」 


「え、ええ」


「どうかしましたか?」


「いえ、なんか誰かに似ているような気がして」


「俺がですか?」


「ええ。容姿がっていうか、雰囲気がってことなんだけど・・・」


「そう言われても、俺には心当たりがありませんし・・・」


「そうよね。ごめんなさい。それじゃ私も寝るわ。おやすみなさい」


「はい。おやすみなさい」


 そしてミスティさんも寝るために自分の部屋に戻って行った。


「・・・」


 さて。一人は目星が付いた。けど、もう一人がまだ分からないからな。もう少し様子を見るとしますか。




          ・・・




 そして次の日。


 会場入りした俺達は控室にいた。


 今回の会場は街の中。つまり、街中での戦いになる。


 街中で戦うってことは集団戦なんだろうな。だって、こんな所で一対一の戦いをしても見応えとかも薄いし。


「今回はどういう感じで戦うんだ?」


 空き時間を使った作戦会議中。ダンガが俺に聞いて来た。


「ああ。今回も基本方針は変わらない。俺とミスティさんは出来るだけ戦わないようにする」


「分かった。だが、今回は団体戦だ。そうは言っても戦わなければいけなくなる場合もなるんじゃないのか?その方針だと、実質的に三対五の戦いになるし」


「あ。そこなんだけど」


「?」


 ミスティさんがダンガの言葉に反応して発言する。


「今回は数に限りはないわ。大将を倒せば二回戦終了なだけで、どれだけ人数を動員してもいいの」


「つまりは・・・」


「相手は五人どころか、もっと人数を投入してくるでしょうね」


「マジかよ・・・」


 ダンガはうんざりした表情になる。まあ、気持ちは分かる。どんなにステータス的に勝っているとはいえ、殺すことが出来ない以上はある程度は手加減しなければならなくなる。殺さないように気を使いながら戦うことは精神的にも疲れる。それは、考えている以上に難しいことだ。


「人数が増えたらそれだけ手元が狂う可能性が上がるんだが・・・」


「そこは気合でフォローしてくれとしか言えない」


「本当にマジかよ・・・」


「まあ、俺もバレないぐらいに人数は減らしていくし、ミスティさんの護衛も請け負うからさ」


「ま、それならいくらかはマシになるだろうけどさ。リリアスとアメリアはいいのか?」


「私は基本的にタカキさんが大丈夫だと言うなら信じるだけです」


 リリアスさん。相変わらず俺に対して妄信的な部分がありませんか?


「私も別に構わないわ。私ならうっかり殺してしまうってことはないでしょうし」


 まあ、アメリアの固有スキルを発動させておけば、相手を殺したりはしないだろう。こんな大会の場で使えば、殺してしまう方が悪と断定されるはず。そうなったらアメリアに何かしらの強制力が働く。それがアメリアのストッパーになってくれるって寸法か。


「二人がそれでいいなら俺も構わない。それにタカキがフォローしてくれるってんなら大丈夫だろうしな」


「そんなにハードルを上げられたら緊張するんだけど」


「それを気にもしないだろ、お前の場合」


 その通りですけど。それでも何か釈然としないものがあるんだよ。例えると、悪口を言われているのに本当のことだから何も言い返せない、みたいな?そんなモヤモヤがある。


「作戦会議はそれぐらいで終わりにして。そろそろ時間になるわ。集合場所に行きましょう」


 ミスティさんがそう俺達に言ってくる。もうそんな時間になっていたか。それじゃ、行きますかね。


「分かりました。それじゃみんな、行こう」


「はい!」

「おう」

「分かったわ」


 さあ、二回戦開始だな。気合入れていこう!




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