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第179掌 始まります!



 控え室の中に入ると再び、第一控え室と同じ用な視線に襲われた。といっても、こちらはさっきみたいなむさ苦しい空間ではなかった。


 控え室の説明をしていなかったが、食堂のような感じになっている。ようは机を中心に椅子を囲っている。その机と椅子がいくつも部屋の中にある。そんな部屋だ。


「なんか、さっきとは系統の違う人達ばかりだな」


 ダンガが戸惑いながらそんなことを呟く。


 確かにダンガの言う通りだ。さっきの第一控え室はいかにもな冒険者の集まりといった具合だった。しかし、こちらはいかにもな聖職者の集まりといった具合だ。細い人も少なくないし、シスター服を着た女性もいる。


「まあ、睨んできているのはさっきのと同じだけどな」


 俺はダンガの呟きにそう答えた。


「こっちは弱小の私達にはあまり関心は持たれないわ。なんせ、優勝候補がそろい踏みなんだもの」


 ミスティさんは緊張しながらそんなことを小さな声で俺達に教えてくれた。


 なるほどね。だから一瞬だけ視線を向けたけど、後はもう気にも留めてないのか。なんか、注目されるのも嫌だけど、完全に眼中にないのも嫌だな。されるよりはいいけど・・・。


「あの、完全に孤立してる三つの集団のことですか?」


 俺はジト目でミスティさんに聞く。ジト目の向く方向は勿論、三つの孤立した集団に向かっている。


「そうよ。まあ、とりあえず座りましょう。立ったままだと違う意味で目立つわ」


 ミスティさんの促しに従って俺達は空いている空間に向かい、そこにある椅子に座った。


 席はそれぞれの教会の数だけあるのか、立っている人はいない。まあ、代表といっても、最初の開会式に出席する人がここにはいるだけだからな。他の出場する人は外ですぐに移動出来るように待っているのだろう。


「しかし、雰囲気が違うな、あの三つの宗教は」


 ダンガがこっそりその三つの集団を見ながら呟く。


「確かに。格が違うのよ・・・とでも言いたげな雰囲気があるわよね」


 アメリアがちょっと不機嫌そうに相槌を打つ。


 そんなにムカつく雰囲気あるかなぁ?そう俺が皆に言うと。


「まあ、タカキは分からないかもしれないな」


「そうね。分かるのは難しいかもね」


「ごめんなさい。私もそう思います」


 なんと、仲間全員ですか。リリアスまでにそう言われたらそうなんだと諦めるしかない。だけど、理由くらいは聞いておきたい!


「何でだよ!」


 ちょっとムキになってしまっているが、そこはご了承していただきたい。


「いや、お前はそんなの気にも留めないだろ?」


 ダンガがそんな元も子もないことを言い出す。


「そうね。格下がなんかやってるなーぐらいの感覚しかないんじゃない?」


「そこまでは思ってないぞ!アメリアさん!」


「タカキさんは一定レベル以上の相手じゃないと最近は敵として相手にしていませんよ」


 リリアスにそんな具体的なことを言われル。


「マジで?」


「まじです」


 た、確かに。最近は依頼とかのモンスターも相手にしていない気がする。タートルドラゴンもリリアス達に任せちゃったし・・・あれ?なんか、その通りじゃね?


「い、いいんだよ!俺が敵として認識しないってことはそれだけ楽だってことなんだから」


「「「まあ、その通りだけども・・・」」」


 三人ハモって納得いかないと言った風な声色で渋々同意する。


「もういいじゃん!この話おしまい!それより、もっと有意義な話をしようよ!さっきの話はミスティさんも置いてけぼりだったし!」


「そ、そうね。そうしてもらえると助かるわ」


 ミスティさんの援護射撃もあって俺達はそれから話題を変え、簡単な作戦会議に花を咲かせるのだった。


 それからいくらか時間が経つ。


「皆さん。お待たせいたしました。開会式を始めますので広場にお集まりください」


 運営の人がやってきて、そう俺達参加者に伝えた。


 それからゾロゾロと部屋から全員が移動していく。


「やれやれ。ようやく開会か」


 俺はため息を吐きながら席から立つ。


「行きましょう、タカキさん!」


 リリアスの言葉に頷きながら俺達は控え室から出るのであった。




         ・・・




 移動して来ました。現在、俺達はコロシアムの中心で開会式が始まるのを待っている状態。


「そろそろよ。教皇が来たわ」


 ミスティさんのその言葉に前を向くと、お立ち台の上に誰かが上って来るのが見えた。どうやらあの教皇とは思えないぐらいムキムキなマッチョメンが教皇のようだ。あれ、需要あるのだろうか。


『諸君!今回の宗教抗争に参加してもらい、感謝する。今回の宗教抗争には例年以上の観客が見に来てくれている。これは増々進化していく我らの競い合いがそれだけ認知されているからこそである。これをしっかりと意識した上で今回の戦いに臨んで欲しい。それで―――』


 と、長々と教皇さんの話はまあまあの長さで続き、


『―――以上が教皇、ビストリアム・アリエス・シュラークの開会の挨拶とする。諸君!健闘を祈る!』


 ようやく終わった。


 ああいう人の話が長いのはどの世界でもお決まりなんだな。改めて理解したよ。


「さあ。開会式も終わったことだし、対戦相手と対戦場所を確認しに行くわよ」


 ミスティさんはそう言うと、意気揚々と対戦相手が張り出されたボードが置かれているコロシアムの端っこへと歩いて行く。


「俺達も行きますか」


「はい」

「おう」

「ええ」


 特に慌てることもなく、普通に歩いて端っこへと歩いて行く。


 俺達がボードまで到着すると、ミスティさんはすでに確認したのか、俺達の元へと戻って来た。


「分かったんですか?」


「ええ!最初の対戦相手はデボラス教よ!場所はラッキーね。ここよ!」


 デボラス教とやらは知らないが、場所がこのコロシアムというのは確かにラッキーだ。移動の手間を取らなくても済むからな。


「でも、代わりにアンラッキーなこともあるぞ」


 ダンガがそう言って浮かれているミスティさんに釘を刺す。


「そうだな。これで俺達は一番観客が多い場所で戦わなくちゃいけなくなったわけだ。さぞ、偵察し易いだろう」


「うっ」


 俺もそれに便乗して釘を刺す。


「まあ、観られたところで関係ないからいいですけど。あまりこんなことで浮かれすぎないように」


「うぅっ。・・・はい」


 反省を促したし、皆移動し始めたし、俺達もさっさとコロシアムの入り口にいる運営の人の所に行きますかね。


 俺達は再び落ち込むミスティさんを連れて移動を開始するのであった。




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!


それと、新作を3話分予約しました!

1月1日投稿確定です!

タイトルは

「回避最強説でいこう ~回避が最強だと俺の人生で証明します~」

です!

URLはこれです。http://ncode.syosetu.com/n8635dr/


1話分の分量も今までのものよりも多くなっています。まあ、その分だけ更新は遅いのですが…。

とにかく!1月1日の0時からスタートするのでよろしくお願いします!

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