第175掌 説明をおねがいします
「なるほどね。夜になって私の所に来たのはそういう理由だったわけか」
現在、俺達は教会の中のミスティさんの部屋でミスティさんの説教を席に着かされて受けていた。ミスティさんはいきり立っているのか、その場に立ったままだ。それが尚更怖い。
おかしいな。なんで実力云々は置いといてこんなにも怖いんだろうか。
「焦っていたことは分かったわ。確かに、あんなに自信満々だったからそこら辺も考えてるだろうと思って確認しなかった私も悪かったけどね」
そう。俺はちょっと焦ってしまい、夜になっているのにもかかわらず、普通にミスティさんの所に突撃してしまったのだ。夜に何のアポイントやノックなどのアクションを取ることもなく、そのままミスティさんの部屋の扉を開け放ってしまった俺。そこで常識を何気に持っていたミスティさん(←失礼)が急に来た俺達に驚く。
そんなわけでリリアス達も巻き込んでミスティさんの説教を受けているのだ。
「―――ふぅ。もうここら辺で勘弁してあげるわ」
終わった。これで説教は終わりだな。
「それで?」
「???」
「宗教抗争の種類、聞きたいんでしょ?」
「あ、ああ。頼みます」
「今年、どんなものがあるのかは分からないけど、今まであった種類を上げていくわ。多分、今までの種類から出ると思うから」
まあ、被りもするだろう。逆に今まで被りもせずに色々な種類のルールでやっていたらそれはそれで驚く。
「まずはシンプルな個人戦。これは単に各宗教の代表同士の一対一の勝負ね」
まあ、これは普通に分かるな。っていうか、俺の想像上の宗教抗争(という名の大会)ではこういうのかなって考えていたものの一つだ。
「勿論、シンプルに戦う場合もあるんだけど、戦うフィールドが違ったり、戦闘の中に何か別の特殊なルールがあったりする。例えば魔法禁止とか物理攻撃禁止。他にも手を使うのはダメだったりかな」
フィールドが違うのは対戦系格闘ゲームのフィールド選択みたいなものかな。それに他の特殊ルールは縛りみたいなものか。まあ、一定以上のレベルだったら見ている方も面白いかもしれないな。
「次は団体戦。これは出場する宗教の参加者全員で戦う形式で、これにも様々なものがある。勝ち抜け戦、タッグマッチ、フィールドフラッグとかね」
フィールドフラッグ?あれかな?
「フィールドフラッグって何?」
アメリアが分からないって表情で聞く。
「フィールドフラッグってのは両陣営に配置されている旗を先に取った方が勝ちっていうルールの戦い。これには色んな戦略が組み込まれるからただ単純に強いだけじゃダメなものの一つだね」
「ふへぇ」
アメリアが知らなかった~って感じで声を漏らしている。
「まあ、そこら辺はタカキに任せればいいだろう」
ダンガさん。ちょっとそれはあからさまなんじゃないですか?考えていなかった罰ってことで俺一人で考えなさいってことだろ?分かってますって。やりますよ。
「はいはい。やりますよ。それで、他には何かあるんですか?」
「他には基本的なもので、個人戦以外の形式の戦いには必ず代理で出てくれる以外の者。つまりはその宗教の公式の信徒を一人は必ず入れること。これは絶対のルールなの」
「ふむふむ」
つまり今回の場合は団体戦にはミスティさんを必ず出さなくちゃいけないってことか。
「戦いは一日に二回行われて、一回負ければそこでその宗教は負け確定なの」
そこら辺はシビアなんだな。
「大体はこんな感じかな」
「ありがとうございます。あ、あと」
「ん?まだ何かあるの?」
「今回の宗教抗争での有力候補はどこか教えてくれないですか?せめて当たった時の心構えくらいはしておきたいので」
「なるほどね」
まあ、偵察とかは出来ないからな。いや、やろうと思えば出来るけど、流石にそれはずるいからな。それにそんなことをする必要もないからな。
「やっぱりまず上がるのは現教皇の宗教、アシュラ教。ここはまあ、ぶっちゃけ脳筋が揃っているところでね。信徒全員がかなりの実力者で冒険者の階級で言えば全員C級クラスの実力がある」
なるほどね。だから今回の宗教抗争はこんなに盛り上がっているのか。戦いが大好きな人たちが国のトップにいるならこうなるのも分かる。
「次にアリエス教国最大の派閥を持つ創造教。ここは多種多様な人材と多大な財力。これで惜しみもなく力を入れてくる。かなり厄介な宗教筆頭ね」
そういうチームが一番嫌なタイプなんだよなー。
「最後にハバラス教。ここは姑息なマネをしてくるかなり陰湿な所。戦う相手がよく出場出来なくなって不戦勝になっているの。私はああいうところが個人的に一番嫌い」
俺もそういうのは嫌いだけどね。
「このくらいかな」
「ありがとうございます。それじゃ、とりあえずはハバラス教に注意しておけばいいってことだな」
「いや、なんでそこだけ?確かに嫌なことしてくる所だけど、他の二宗教の方が勝つのは厳しいんだよ?」
「いや、力で押し込んでくる系の所はあんまり怖くないですから。怖いのは出場出来なくなることだけです」
「そこまでの自信、どこから出て来るのよ。他の三人も慣れた感じで焦ってもいないし」
自分のステータスからかな。なかなかのぶっ壊れ具合だからな。普通に一人一人が英雄とか勇者って言われてもおかしくないだろうし。
「まあ、今まで色々ありましたからね」
リリアスが苦笑い気味に言う。色々と巻き込まれてごめんなさい。
「まあ、安心しておいてください。俺達が勝ちますから」
俺はミスティさんに笑顔を向ける。
「それじゃ、俺達は失礼しますね。夜も遅いですし」
挨拶もそこそこに俺達は教会を後にした。
格好つけて出たけど、最初に説教されてからの流れだからな。全体を見たら全然格好悪いのだが、そこは大目に見てくださいな。
読んでくれて感謝です。
感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!




