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第173掌 申請と怪しい紙



 さて、宗教抗争に参加することも無事決まった俺達が次にするべきこと。それは参加申請である。


 暗黙の了解みたいにはなっているとはいえ、一応は裏での抗争扱いなこの大会。その参加申請をする場所はなんと教皇が使っている教会、というか他の国風で言えば普通に王城だ。


 この国では教皇になった宗教と他の宗教に格差を付けたくないという理由で見た目は完全な城でも教会と言わなければならないのだ。


 そんなわけで俺達は現在、その教皇が使っている教会(もう面倒だから王城って言うけど)へと赴いている。


 豪華っちゃあ豪華なんだけど、やはり宗教が絡んでいるためか、どこか清楚な雰囲気がある。まあ、それと同じくらいによく分からない紋様の装飾とかもあるけどな。


「まさかここまで大々的に申請するとは思いもしなかった」


 変な紋章が描かれている壁を見ながら俺は呟く。


「そう?もう私はこれに慣れちゃったから何とも思わないわ」


 ミスティさんはすました表情だ。確かに慣れている。でも・・・。


「今までは参加出来なかったんですよね?なんで慣れてるんですか?」


 同じチームとして参加する以上は勝ちたいと思うのが当たり前。だから勝つ見込みのない宗教に冒険者は協力などしないだろう。いくらここが宗教国家だとしても。だから今までミスティさんは宗教抗争に参加したことがないはずだ。


「・・・ま、毎回この抗争に参加するためにここに来ては掛け合ってたの。どうにかして参加出来ないかってね」


「・・・ふーん」


 ちょっとばかり挙動不審になったけど、嘘でもないようだ。その証拠に受け付けている人達がこちらを見ながら


「またミスティか・・・」

「懲りないな、あいつも」

「いい加減諦めればいいのに」

「でも、ミスティの周りにいる奴らは誰なんだ?」


 なんてことを話している。聞こうと思えば結構な距離からでも聞けるからな、俺は。まあ、普通はそれよりもスキルを取得した人の方が凄いんだが。


「まあそんなことはどうでもいいじゃない。それよりも早く申請しましょう?日程的にギリギリだったのよ。運営側には良い印象を持ってもらいたいし、出来るだけこういう場面では目立たないようにしないと」


「普通にしてればいいだろ。問題さえ起こさなければそれでいいはずだ。そもそも運営側に良い印象を持ってもらったってそれで贔屓はしないだろう。審判するための魔法もあるみたいだしな」


 ダンガがもっともなことを言う。


 魔法はあれね。アメリアの固有スキルの劣化版のやつね。まだ見てないから確認しておきたいんだよな。アメリアに危険が及ぶ可能性がある魔法なんだし。


「ここでいつまでも話してないで早く申請しに行きましょうよ」


 リリアスは先を促す。


「そうだな。ここでいつまでも話していると、それこそ悪印象を与えてしまうかもしれないしな」


 俺もリリアスに同意し、ミスティさんを促す。


「分かったわよ」


 ダンガの意見に納得できないものがあるのかブスッとした表情をしているが、それでも運営側に悪印象を与えてしまうかもしれないという言葉が効いたのか、渋々受付に向かって歩いて行く。


「やれやれ。ようやく参加出来るからってんでおかしいテンションにでもなってんのかね?」


 歩いて行くミスティさんを見ながら俺はため息を吐きながら呟く。テンション、高いことには高いんだが、どこかそれだけではない感じがするんだよな。


「さあ?でも、ちょっと気をつけてあげとかないとね」


 アメリアは優しい表情で俺の呟きに返してくれる。


「ほら!いつまでそこにいるのよ!早く来なさい!」


 受付からミスティさんが俺達を呼ぶ。


「はいはい」


 俺達はすぐにミスティさんの所に行く。


「ここに名前を書いてちょうだい」


 そう言って俺達に何かが書かれた紙を渡してくる。


「何これ?」


 アメリアがミスティさんに素直に聞く。


「これはあなたたちが私のところの宗教の代表選手だってことを示すための契約書よ。後で違う人が出るなどの不正をしないために契約魔法が練り込んである紙なの。これに名前を書けば契約成立だから」


「なるほどね。分かったわ」


 アメリアは素直にその紙に名前を書いて行く。他の皆も同じだ。勿論俺も書いたのだが、ちょっとばかり嫌な予感もしたので紙を疑似神眼で視てみる。すると―――


契約用紙


効果:この紙に自身の名前を書くと、その契約内容によって縛られる。

契約内容(隠):本人のみ、今回の宗教抗争に参加出来る(運営が後でこの紙に記入した相手と戦う時だけステータスが全て二分の一になる)


 ―――ってな感じになってた。


 不正してんじゃん。審判のための魔法は宗教抗争中でのことに限るので宗教抗争外で縛られた契約では例外なんだな。


 俺はこの紙の契約内容の(隠)の部分を掌握で消してしまう。そして俺だけでなく、他の皆のものも同じように消していく。


 ここでは運営がいるし、そもそもこういうことを言うとまたアメリア辺りが怒りそうなので黙っておこう。この契約用紙が原因で何かあれば何か起こった時に説明すればいいしな。リリアス達のは俺が解除しているから危険はないし。


 そして名前を書き終えた俺達は契約用紙を運営に渡す。


「これで終わりですか?」


 ミスティさんに聞く。こういうのはミスティさんに聞くのが早い。


「ええ。後は運営がやるからもう私たちがすることはないわ」


 ちなみに運営がやることはギルドに名前の確認で本人かどうかを視るそうだ。しかし、そうすると契約用紙のことがバレかねないので何もしないだろう。


 けど、本当に確認されたらこっちが追いつめられるのでリリアス達を連れてアネッサさんの所に連れて行って、そのついでにこの件についてもお願いしておこう。


 俺達は王城(教会)を後にした。


 そしてミスティさんを教会に送り、俺達はオークス王国へと転移するのであった。




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!


それと、そろそろ年末年始のことについてご報告をと思います。

年末年始はコングラの更新はお休みさせてもらおうかなと思っています。

期間としては、12月29日~1月3日までを予定しています。

29日が近づけばまたご報告します!

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