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第170掌 依頼のための移動

ぐぅ。

サブタイトルがそろそろ思い浮かばなくなってきた・・・。

どうしよう。

そろそろサブタイトルが被ってしまうかもしれないですが、もし被ってても気にしないでいただけると幸いです。



 ミスティさんの居場所は教会から歩いて三十分の場所にあった。


 面倒だったので歩いて行くことはしない。そもそもステータス面がかなりのものである俺達なのだ。走って行けば十分と掛からないだろう。流石に本気で走ったら周りが大変なことになりかねないので自重する。それでも目立つので全員に闇魔法で姿を隠すようにする。


「ここか」


 着いた場所はあの教会ほどではないにしろ、かなりボロボロな家だった。しかも、思っていたよりもかなり小さい。孤児院って多くの子供を養っているんだよな。俺のイメージの中では古く、ボロくても大きな施設だ。こんなに小さな家で子供達を育てていけるのだろうか?


「ここはここで心配になるくらいの見た目だな」


 ダンガがそんなことを言う。


「孤児院はオークスにもありますけど、ここまでボロボロで小さいものはないらしいのに・・・」


 物知りリリアスさんが言うのならそうなのだろう。この世界でも俺のイメージ通りの孤児院が一般的なのだ。


 ちなみに、日本では孤児院などとは言わない。まあ、当たり前だけどな。このご時世では孤児など日本にはいないに等しい。完全にいないとは言わないけど。だから正式なのは児童養護施設。まあ、今ここでは必要はないけど。だって、こっちの世界では孤児などいくらでもいるだろうから。


 脇道に逸れたから軌道修正。


「とにかく、今はミスティさんだ。中に入ろう」


 みんなを促して中へと入る。


 とにかく家の扉をノック。少し間があってから返事があった。


『・・・はい。どちら様でしょうか?』


 疑いと少しの怯え、それと震えている声色。女の子の出す声だ。


 でも何故、こんなにも嫌疑の感情を持っているのだろうか。この世界ではアポのない訪問者は訪問販売か怪しい宗教が来るのか?いや、でも外界からの唯一と言ってもいいものだよ?つまりそれだけ外界が恐ろしいものだと認識しているのだ。


「俺達、今そちらにいるミスティさんに用があるんですけど・・・」


『少々お待ちください』


 そう言って扉の向こうにいただろう女の子は奥へと走っていってしまった。


「それにしてもなんでそんなに怯えているんだろうか?俺ってそんなに怖いか?」


「いや、お前はたまに怖いぞ?」


「え?」


 ダンガに言われてリリアスとアメリアに視線を向けて本当かどうか確認すると・・・。


 コクコク。


 二人は何度も頷いていた。


 そうですか・・・。俺って怖いですか・・・。見た目はそんなに怖いわけじゃないと思うんだけどなぁ。目つきもかなり鋭いってわけでもないのに、一体どこに怖い要素があるって言うんだ?


「ねぇ、タカキってもしかしてたまに出す威圧感みたいなのを自覚していないの?」

「恐らく・・・。スキルとかの威圧とかまた別の何かが襲ってくる感じですよね」

「そもそもスキルや魔法のあるこの世界で何の技能も関係ない威圧感が出るのかこっちが聞きたいぜ」


 なんか俺だけ除いて三人でコソコソと話しているな。俺、何か変なこと言ったか?


『お待たせしました』


 おっと。子供が帰って来た。しょうがないけど、何を話しているかは聞くのは置いておくか。


『もう少ししたら外に出るそうなのでまた少々お待ちください。それでは』


 その言葉を聞いて待つこと五分。ミスティさんがやって来た。


「よくこの場所が分かったわね」


「あの教会に行く前にここの前を通ったことがあったので。その時に複数の子供が遊んでいたのを見て、ここが孤児院かなと思ったんです」


「なるほど」


「それで、依頼を取って来たので出発したいんですが、いいですか?」


「ええ。すぐにでも出れるわ。さっき孤児院の中で着替えてきたから」


 そう言うミスティさんは確かに動きやすい半袖短パンの動きやすい恰好をしていた。


「でもそれ、防御力無いに等しいですよね?大丈夫なんですか?」


「あなた達が守ってくれるでしょ?」


 まさかそこまで俺達頼りなのかよ。まあ、いいけど。


「分かりました。それでは行きましょうか」


 そして俺達はミスティさんを連れて依頼を開始した。まずはタートルドラゴンのいる場所に行かないとな。


 変装しているので門とかにも引っ掛からない。それでも正直、ロックの魔法が掛かっている門を通過する時にはドキドキしました。悪意はなかったから通過出来たけど、もうああいうのはこれっきりにしたいものだ。


「それで何を討伐するの?」


 移動は徒歩で。そんなに離れた場所でもないしな。


「タートルドラゴンです」


「・・・はい?」


「タートルドラゴン」


「・・・なんて?」


「だから、タートルドラゴンだって」


「・・・本気でやるつもりなの?」


「やりますよ」


「勝てるつもりなの?」


「だって、あなたが俺達の実力を知りたいって言うからこれを受けたんですよ?」


「私、まだ死にたくないんだけど」


「勝てない依頼なんて受けませんよ。そもそも俺はこれでも一応A級冒険者なんですよ?負けるわけないじゃないですか」


「いや、普通はA級冒険者が一人だけいるパーティーでAランクモンスターと戦おうとは思わないでしょ」


 その通りだけども。普通なら。


 でも、俺は普通じゃないし、俺の仲間も普通じゃない。まあ、仲間が普通じゃないのは俺のオール・ブーストさんの所為だけどね。


「まあいいわ。それで?どこにいるの?」


「この先の森の中です。正直、近過ぎてこっちがびっくりでしたよ」


「防炎の森?そんな・・・。あそこは低レベルのモンスターしかいないはずなのに。条件さえ合えばSランクにもなりえるAランクモンスターがいるなんて・・・」


 そうなの?


 あと、防炎の森って。もしかして名前からして炎が使えないの?俺、いつも風と炎使ってたんだけど。今回は片方しか使えないのか。面倒だな。


「まあ、俺達はそういう情報は知らないので。それはそうと、そろそろ着きますよ」


 さあ、依頼開始だ。




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