第166掌 ネガティブさん
俺とリリアスの目線の先にいたのは俺よりも年上だろう見た目の黒いシスター服を着たお姉さんだ。
見た目は切れ目で性格がキツそうな美人さんだ。髪の色はビックリするほどの綺麗な銀色でシスター服のベールから覗いている。髪の長さが腰ぐらいまであることもあるからだろう。身長は165㎝ぐらいで中々の高身長だ。身長は負けてはいないけど、ちょっとドキドキだ。目測だと一緒みたいに見えるからな。
「あ、あれ?なんでここに知らない人が?ミスティさんは?もしかして、私のこと見捨てたの?この人たちに売ったの?」
なんか暗いこと言ってるな。見た目のキツさからは想像できないくらいにはネガティブだ。声もオドオドしているし、初対面なのに常にビクビクしている印象を抱いた。
「あ、私たち、ここの教会の見学に来たんです。あなたはここの宗教の関係者の方ですか?」
リリアスがそう言って話しかける。ここはリリアスに任せるかな。相手もかなり臆病みたいだし、男の俺が出るよりはいいだろう。
「うぇっ⁉そ、そうなんですか。でも、私はここにいつも祈りに来させてもらっているだけの半端者なので関係者ではないです!ここの主はミスティさんという方で、いつも面倒な私はお世話になっているんです」
なんで喋るごとにネガティブな発言が混じるんだろうか。
「大きな声で呼びかけたんですが、返事がないんです。もしかしてどこかにお出掛けなんでしょうか?何か聞いていませんか?」
「は、はい!この前、勧誘をすると言っていましたので中心地の方に出向いているのだと思います。ミスティさんは私と違って自身に満ち溢れている方なので・・・」
なるほど。ここまで廃れていているからあまりここの宗教に人員がいないとは思ったが、勧誘しなくちゃいけない程だったか。でも、勧誘するってことは宗教抗争には参加するつもりはあるらしいな。この教会の感じだと代理人を頼むほどのお金も持っていないだろう。だからこその勧誘だと理解できる。
「そうなんですか。いつ帰るかなど分かりますか?」
「すみません。私には分かりません。鈍感なので付いて来られても困ると思ったのかもしれません」
だから何故ここまでネガティブなんだ。この人、表情はあまり変わらないのに息をするようにネガティブ発現するな。リリアスやアメリアも今はそうでもないけど、前はまあまあネガティブさんだった。でも、ここまでじゃないな。
「そうですか。それじゃあ今日は失礼しますね。また来させていただきます。もしそのミスティさんに会ったら私たちのことを伝えてください」
「分かりました。私には荷が重いですが、必ず伝えますので。安心してください」
いや、そんなこと言われたら安心できません。
「あ、名乗っていませんでしたね。無作法ですみませんでした。私、カリーナ・ハールブクスと言います。本来はここのシスター服であるこの服など着てはならないんですが、ここにお祈りさせていただく時にだけ着させてもらっています」
「私はリリアスです。こちらは」
「タカキと言います。よろしくお願いします」
「はい。わざわざ私などにありがとうございます」
「それでは私たちは失礼しますね」
「はい。私が言うことでもないのですが、またいつでもお越しください。ミスティさんも喜ぶと思うので」
「はい。ありがとうございます。それでは」
俺達はカリーナさんに頭を下げてから教会を出た。
「綺麗な人でしたね」
「・・・ああ。でも、印象通りの人でもなさそうだ」
「え?」
動きが明らかに一般人とは言えないものだった。動きに無駄が無さ過ぎる。
「あれは俺が使っている隠密行動スキルを使った時と同じような動きだな」
「つまり、カリーナさんはそのスキルを使うようなことをしているってことですか?」
「まあ、本人がやりたくてやっているかどうかはともかく、しているんだろうな。それか今はしていないけど昔はしていたか」
目立つ見た目なのにそんなことが出来るってことは相当な実力者なのだろう。そういうこともあって、実はリリアスとカリーナさんが話している最中は相手に悟られないようにしながら警戒していた。リリアスは全く警戒していなかったからな。いつでも守れるようにスタンバっていたのだ。
それに・・・いや、今は害意はないし、放っといてもいいだろう。
「まあ、今は探りようもないし、ダンガとアメリア達と合流しよう。俺達の担当する教会も全部回り終わったしな」
「はい!」
俺達はダンガたちと合流すべく、西側へと向かったのだった。
・・・
「へぇ~。そんなことがあったのか」
ダンガがそんなことを呟く。
現在、俺達はダンガたちと合流して異空間にいる。流石に俺達の話を聞かれるわけにもいかないので仕方ない。
「その人、美人さんだったんだ~」
アメリアさんの機嫌がさらに悪くなっていく!
「あ、あの!アメリアさん!私もいたので大丈夫です!それに話したのも私ですし、タカキさんは挨拶ぐらいでしたよ」
「でも、美人だったんでしょ?」
「ま、まあそうです」
「はぁ」
ため息つくな。名前の呼び捨てをアメリアに求めてから情緒が不安定になっているな。多分、アメリアにとっては敬称とか口調とかで精神の揺らぎを防いでいたところもあるんだろう。
「アメリアは今度デートな。そこで不満とかも聴くから」
「うん」
なんかより可愛らしくなっているな、アメリアは。俺より歳も一個下なのに、今までがむしろしっかりし過ぎたのかもしれないな。俺より歳下ですでに働いていたし。
「それはともかく、そっちはどうだった?」
とりあえずダンガに西側にあった教会のことを聞く。
「ああ。こっちはひどいもんだったぞ。どこも同じようなことばかりしているし、同じような内容のことをツラツラと俺達に説明していたな。なんなら最後の方は俺も同じことを言えるぐらいに覚えたぐらい聞いたぞ」
「そっちもか」
「その反応は、そっちも同じか」
「ああ。一つ除いて全部同じだった」
「お?ということは一つはいいのがあったのか?」
ダンガは嬉しそうに聞いてくる。
「いや、はっきりとは分かっていないんだ。教会自体は留守だったからな」
「それじゃあ分からないってことか?」
「まあ、それが一番合ってるかな。でも教会に祈りに来たカリーナさんの話を聞く限りは中々に活発そうな感じの方だったぽいし、可能性はあるな」
「じゃあ、次は全員でそこに行くか」
「ああ」
次の行動目的が決まったな。これであの教会がダメだったら第二案だ。
出来れば俺達が望むような教会でありますように。
俺は祈らずにはいられなかった。
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