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第156掌 原因は何だ?



 アリエス教国。


 そこは荘厳で静かな街並みで、どこでも、誰もが清楚な感じを出している。イメージするならば、地球のヨーロッパ辺りにある白い街並みのリゾート地みたいな感じだ。しかし、よく見ると誰もが清楚な中でどこか熱を持った瞳を持っている。多分だが、みんな宗教抗争を観ている観戦者なのだろう。


 信徒なのに何でそんなにみんな荒々しいオーラ出してんの・・・。リゾート感ゼロだよ。


 アリエス教国に呆れながら入国を済ませた俺達はまず、宿屋に向かう。


 ところが。


「なんかみんな俺のこと見てない?」


 怯えているような視線で俺を見てくる。なんかタブル村でのことを思い出すな。あの時も俺がジロジロ見られていたけど、あの時は俺の制服が原因だったな。


「確かに。なんかタカキが見られているな。なんかしたのか?」


「いや、何もしていないんだが・・・。っていうか、この国に来たことすらないんだが」


 っていうか、尋常じゃないくらいに見られているな。というか、怯えられてないか?


「本当に何もしてないの?」


 アメリアさん。なんでそんなに疑うんですか。俺、本当に何もしてないんだけど・・・。


「と、とにかく、目立たないようにしないと!」


 リリアスが慌てた様子で俺の背中を押す。


「お、おう。今回は目立って標的にされても困るからな」


 そして、向かった宿屋でも何故か同じような目で見られてしまい、結局目立ってしまったのだった。


「なんでこんなに怖がられているんだ?」


 俺は宿の部屋で落ち込んでいた。


「ま、まあ、今までしてきたことがしてきたことだし」


「確かに。ダンガさんの言う通りね。あなた、結構怖がられることしているわよ」


「学園の人たちにもかなり怖がられていましたね」


「みんなして俺をイジメたいのかよ!」


 実は宿屋で宿泊の手続きをしていたらジロジロと宿屋の従業員にまで見られたのだ。流石にジロジロ見られ続けるのも気分はあまりよろしくないので手続きが終わった後に聞いたのだ。「どうしてそんなに俺のことをジロジロと見ているのか?」と。


 そしたら「ヒィィィィィィィイイイッ!!??!!?!?!!」ってな感じで逃げていったのだ。そしてポツーンと残されたのは怖がられた俺と少し離れた場所で手続きが終わるのを待っていたリリアスたち。結局、鍵はすでに貰っていたのでそのまま部屋に案内とかされることなく、自分で部屋に入ったのだ。


「この国は俺に優しくない!」


「とりあえず、服を変えてみたらいいんじゃないか?」


「服?」


「そうですね。タブル村では服がなかったからその選択肢を選べなかったですけど、今ならその選択肢を選ぶことができますね」


 まあ、あの時はまさに無一文。身に着けていた物以外は何も持っていなかったからな。


「じゃあ、俺が無難な服を買ってきてやるよ。ついでに軽くこの国を散策してくるけど」


「そうだな。頼む。俺はそれまで異空間で暇を潰しているから。宿に帰ってきたら呼んでくれ」


「分かった」


「私は一回屋敷に戻るね。置いて来た使用人たちも気になるし」


「おう。じゃあ、俺が連れて行くわ。ついでだし、俺もそっちに行こうかな」


 異空間の中にいるよりもそっちの方が暇を潰せそうだし。


「お願い。どうせだから仕事も手伝ってよ」


「まあ、暇を潰せるなら掃除くらいならやるよ」


「よろしくね」


「じゃあ、私はダンガさんと一緒に街を散策しておきますね。それに服もダンガさんが変なのを選ばないように見ておきますから」


「俺、そこまで服のセンス悪くないと思うんだが・・・」


「念のためです。もしも変な服を買って来てタカキさんが着て、逆に目立っちゃっても困りますから」


「そ、そうか・・・」


 ガックシしているダンガの肩をポンと叩く。


「タカキ?」


「まあ、リリアスも厚意で言っているんだ。有難く受け取っておけ」


「・・・はぁ。分かったよ」


 そんなわけで各自、自由行動となった。




               ・・・




 そんなこんなで夜。


 宿屋の部屋に集合した俺達。


「それで?どんな服だ?」


「無難って言っただろ?これだよ」


 そう言ってダンガが見せて来たのは確かに無難そうな服。


「これは?」


「駆け出し冒険者が着ている服だ。安くて普通の服よりも丈夫なものだからよくお金のない初心者が買うんだ」


「なるほど。これなら確かに目立たないな」


 多分、この肌触りからして何かのモンスターの毛皮とかを使っているんだろう。まあ、安いってことはそんなに強いモンスターとかの毛皮ではないだろうが。でも、普通の糸とかを使って編んだ服よりは確かに丈夫な物だからな。


「よし。とにかく着てみるか」


 俺は一応異空間に移動してから着替える。流石にリリアスとアメリアの前で着替えるわけにもいかないからな。特に俺はリリアスとアメリアの好意に気が付いていないわけでないからな。そんな女の子の前で裸を見せるわけにはいかないだろ。勿論、裸と言っても下着は脱いだりしないよ?当たり前のことだけど、念のために言っておかないとな。あれ?誰に言い訳してるんだろう。


「どうだ?」


「おお。見た目完全に駆け出し冒険者ね」


「いや、普通に考えてタカキの年齢ならまだ駆け出しのはずだろ・・・」


「まあ、色々とありましたから」


「リリアス。それ、俺のフォローになってない」


 まあ、これで一回外に出てみるか。日の出ている時に出てっていうのはちょっと躊躇っちゃうからまずは夜である今から行ってみるか。それで何もなければ昼間に出てみよう。それで何もなければ完全に服が悪いってことになる。


 よし。行ってみよう!




読んでくれて感謝です。

感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。

よろしくお願いします!


明日は祝日なので次の更新は明後日の11月24日です。

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