番外① リリアスの学園生活 5
これで今回の番外編は終わりになります。
次は二週間後に更新になります。
次の編のプロットは現在、出だしの部分と全体がふわっと出来ているので残りの部分を詰めていきたいと思っています。
授業の後、私は教室に戻った。
そこで、私はクラスメイトのみんなに囲まれてしまう。
「な、なに⁉」
「さっきの!すごいじゃない!」
みんなを代表してそう言ったのはキャシーだ。
「あの先生、元A級冒険者だったのよ?そんな人と互角に戦うなんて、あなた何者よ!」
「あ、あはははは・・・」
あれ、先生も言ってたけど、私は別に本気を出してはいない。と言っても技術自体は全力を出している。出さなかったのはステータス上の方。つまり、四桁あるステータスを半分も出さなかったのだ。それに今の私の武器であるアマハバヤも使ってはいない。そういう意味で本気は出さなかったのだ。
「笑って誤魔化さないの!」
「そうだよ!さっきのなんなんだよ!魔法使いとしてじゃなくても十分にやっていけるじゃないか!なんで騎士学園の方に行かなかったんだよ」
「バカね。そしたらあっちの戦力が上がっちゃうじゃないの」
「誰がバカだよ!」
「あんたよ!」
「なに~」
「なによ~」
最初のキャシー以降の話しかけた人が喧嘩を始めてしまった。
「うん。でも、私がなりたかったのは騎士じゃなくて魔法使いなの。昔から魔法使いになりたくて、今、ようやく念願叶ったんだから」
「そうだったんだ。よし!それじゃ、そんなリリアスに私がこの学園を案内してあげるわ!」
「え⁉」
「何?嫌なの?」
「ううん。嫌じゃないんだけど・・・」
「別に気にしなわよ。言いなさい」
「うん。実は、案内してくれるって約束してくれた人がいて」
「そいつ、男?」
「え?う、うん」
「そう。じゃあ、私も一緒に行くわ。それならいいでしょ?」
「う、うん」
「きーまり」
気付けば話がトントン拍子に決まっていた。ま、まあ、別に二人でとは約束してなかったし、いいよね?
それからクラスメイト達の質問に無難な答えを返しながら何とか色々と誤魔化し切ることに成功した私は昼休みまでの残りの授業を頑張って消化するのだった。
・・・
そして昼休み。
質問を未だに続けてくるクラスメイト達からキャシーと共に逃げ出し、何とか教室の外へと出ることに成功した。
「まったく。どうしてこんなに疲れることをするのかしら?」
キャシーが呆れ気味に呟く。
「あはは。仕方ないよ。こういうのはすぐにみんな興味を無くすだろうからそれまで我慢するし」
「リリアスがそう言うならいいんだけど・・・。まあ、いいわ。気を取り直して、誰が案内してくれるの?」
若干、不満そうに言っていたキャシーが表情をコロッと変えてそんなことを聞いてくる。
「ギムル君っていう男の子。この学園に入ってから初めて出来た友達なの」
「えぇっ⁉初めての友達は私じゃなかったの⁉」
「う、うん。残念ながら」
「本当に残念だわ~。こんな可愛い子に目を付けるんだから、それはそれはイケメンなんだろうね」
「ど、どうなんだろう?私、そこら辺のことはよく分からないし」
そもそもイケメンとかどうとか私には関係ない。だって、私はタカキさんのことが好きだし。
「それで?どこで合流することになってんの?」
「私たちの教室」
「無理ね」
間髪入れずにそう言ってくるキャシー。
「うん。だからこっちから迎えに行こうかなって」
「なるほどね。その男子の教室に行こうってことなのね」
「うん」
「それで?そいつのクラスは?」
「B。だからすぐ隣なの」
「へぇ。それじゃ、ササッと行きましょう。ここにいると教室の奴らに捕まりかねないから」
「うん」
そして、私たちは自分の教室から隣へと移動するのだった。
・・・
「ギムル君いるー?」
Bクラスの教室に入り、キャシーが大きな声でギムル君を呼ぶ。
女の子二人がギムル君を呼んでいるということもあって教室中で騒めきが起こる。
「お、俺がギムルだ。誰か知らないが、そんな大きな声を出さないでくれ。恥ずかしい」
「なによー。私はあなたがリリアスと約束しているからって言うんでわざわざ呼んであげたってのに」
「え⁉」
どうやら恥ずかしさからか、私のことが視界に入っていなかったらしい。
「こんにちは、ギムル君」
「あ、ああ。約束したもんな。すぐ行くから待っててくれ」
ギムル君は素早く自分の席に戻り、前の授業の教材を片付けてから戻って来た。
「お待たせ。行こう」
「うん」
「レッツゴー」
「っていうか誰だよ、お前!」
「私はリリアスの一番の友達ですー。何か文句でもあるの?」
ちょっと小馬鹿にしたような口調でキャシーがギムル君に突っかかる。
「ぐっ。ま、まあいい。早速案内する」
そして、始まった学園案内。実はノエル先生にすでに全部案内されているとは言えなかったし、せっかく友達が気を利かせてくれたんだからということで大人しく案内される。道中、キャシーとギムル君が何故かよく分からないけど、食事の席順や、歩くときの位置など、私のことで何度か衝突をしていた。特に顕著だったのがトイレで、トイレの前で「私しか案内出来ない場所よね?」とドヤ顔で言うキャシーと、「ぐ、ぐぬぬぬぬ・・・!ハンッ!俺はリリアスの最初の友達だからそのくらい気にもしない」とドヤ顔で反撃するギムル君。
正直、やめて欲しいと思ったよ。騒ぎで周りの人たちが注目してるし、間に挟まれた私が何気に一番目立ってたし。恥ずかしさで顔は真っ赤になった。
そして、全部とはいかないけど、それなりに必要になるだろう場所の案内をして、私たちとギムル君の教室の間辺りで雑談をしていた。
「リリアスは毎日はいないけど、どの授業を取ってるの?」
キャシーが不思議そうに聞いてくる。
「どの授業をっていうのは難しいけど、学園に来るのは一週間の内の三日間かな。その三日間にある授業を出れるだけ全部受けてる」
「すげぇな。朝から夕方まで勉強漬けなんて俺には無理だ」
「私も」
「私は魔法が好きだし、それにここには自分の力じゃなくて、仲間が入れてくれたから。だから頑張って勉強しないと!って思ってるの」
「残りの四日は何してんの?」
「確かに。俺も気になる」
「私、冒険者でもあるから、残りの四日は依頼を受けたりしてるよ」
流石に世界を旅していますなんて言えない。そんなこと出来るわけないって常識的には思うだろうし。実際、タカキさんの時空魔法が無かったらここに通うのも無理だったし。
「それって仲間と一緒にってことだよね?」
「え?うん」
「男の人?」
キャシーのその問いにギムル君がビクッとなる。どうしたんだろうか?
「う、うん。パーティー構成は男の人二人と私を入れて、女の人二人」
「ちょうど半々なわけか」
「そ、その男達とは・・・な、なにかあるのか?」
「なにかって?」
「い、いや・・・。何でもない」
そんなギムル君の様子を見て、キャシーが「ははーん」と何か分かった様子になる。
「ねぇ、リリアス」
「何?キャシー」
「そのパーティーの中に好きな人いるの?」
「お、おい!」
キャシーのその質問に慌て出すギムル君。
「リリアス!別に言わなくてもいいぞ!」
どこか必死なギムル君。でも、こういう話をするのも友達っぽくていいな。
「う、うん。いるよ」
「きゃあああああ‼その人どんな人なの⁉」
私に顔を思いっきり近づけてきて聞いてくるキャシー。
「私より少しだけ年上で、今A級冒険者なの」
「超優良物件じゃん!」
何だろうか?タカキさんは建物じゃないのに。
「見た目はっ?」
「イケメンってほどじゃないけど、カッコイイと思う」
「性格はっ?」
「優しいよ。たまに容赦なくて怖い時もあるけど、仲間にはそんな感じを向けて来たりなんて絶対にしないし」
「なにそれ⁉むしろ私も仲間に入れて欲しいくらいだわ!」
「こ、興奮しすぎだよ」
「これが落ち着いていられますか!ねね!今度その人に会わせてよ」
「えぇ⁉で、でも、今はかなり忙しくしているし」
「時間の空いた時でもいいからさ」
「そ、それなら」
「本当⁉やったー!」
ハイテンションなキャシー。目が何だか、肉食の魔物みたいな感じになってる。どうしたというんだろうか?
「そういえば、ギムル君は?」
辺りを見渡してもどこにもいなくなっていた。私の視界はほとんどキャシーで埋まっていたこともあって気づかなかったのだ。
「ああ。それならなんか小さな声で「俺、先に戻るわ」ってリリアスの好きな人のことを全部聞いた辺りで自分の教室に戻って行ったけど」
「そ、そう」
「それより授業始まるし、教室で色々とその人のこと聞かせてよ!」
「う、うん」
そうして私たちは自分の教室に戻って行った。
その後、キャシーは一度、クロノス共和国での戦いが終わった後にタカキさんと会うのだが、男のパーティーメンバーが二人いるので、私の好きな人ではないと思ったらしく、後でその場で話さなかったことを後悔したようだが、それはまた別の機会に。
読んでくれて感謝です。
感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!
次の更新は11月21日月曜日になります。
それでは皆さん。
二週間後にまた!




