閑話12 子ども達の日常
すみません。
平日に書いている時の癖で普通に投稿しちゃいました・・・。
やってしまったことは仕方ないので、このまま出しちゃいます。
代わりに次回は月曜0時更新はなく、火曜0時更新にしたいと思います。
すみませんでした!<(_ _)>
プリマ姫との戦闘から数日が過ぎた。
ここはタカキ達が拠点にしている屋敷。
ここに最近、新しくやって来た五人の住人が仕事に励んでいた。
「お姉ちゃん!そっちお願い」
「分かったわ」
洗濯物を取り込んでいる二人。
一人は十代にも満たない女の子。名前はメルサ。
名前が母親の名前と似ているが、これは母親の名前に寄せたのであって、ミスとかではない。(誰に言い訳してるんだろう)クロノス共和国で奴隷をしていた頃と比べてかなり元気で明るくなっている。まあ、奴隷なんてしていて明るく元気でいることがどれだけ大変かを考慮したらこの変化は当たり前のものかもしれない。
もう一人は十代後半の女の子。名前はミール。
先のメルサの言葉から分かるようにメルサの姉である。クロノス共和国ではメルサと同様に奴隷として毎日必死に働いていた。唯一の親である母親が倒れ、子どもたちだけで毎日を凌いでいかなければならないという思いもあってかなり精神をすり減らしていた。年頃の女の子なのに、ここの使用人になることになった時にもタカキに夜伽も頑張りますと言ったぐらいであることからも分かるように家族を守ろうと必死だったことが窺える。
そんな奴隷をしていた二人が今、大きな屋敷で二人仲良く洗濯物の取り込み。なんと平和な日常の風景であろうか。
「これで最後?」
「うん!洗濯物、タカキ様たちの物だけだからそんなにないもん」
「私たちの洗濯物も足してこれだからね」
通常、冒険者をしているタカキ達は洗濯物やらなんやらの身に着けるものはかなりの量があるはずなのである。通常の服、普段使っている防具、下着、それに体を拭いたり、その他色々と使うことが多いタオルなど。数え始めれば実にキリがない。
挙げていけばキリがないはずの洗濯物が何故そんなに少ないのか。それはタカキが使っている魔法の所為というか、おかげである。
普通は冒険者全員がMPを持っているとは限らないのでそういったタオルなどはまさに冒険者達にとって必需品の一つである。もし魔法使いがいて、水魔法などでの洗濯や洗浄などの何らかの方法を行えたとしても、使うことはまずないだろう。冒険者であるなら自分が清潔に保たれているかよりも、MPを温存することを優先する。それは魔法使いにとって命に関わることであるからだ。
一部の例外を挙げるとすれば、単なる馬鹿か、かなり行き過ぎた綺麗好き、潔癖症な人間であろう。そこまで行けば普通に冒険者なんて辞めてしまえと素直に周りが忠告するのであまりそのような人材はいない。
しかし、タカキは普通に魔法を使って体をきれいにしたり、服を洗濯したりしている。
これは先に挙げた例に当て嵌まっているわけでは決してなく、単にタカキの圧倒的なステータスとMPに温存する必要性があまりないからである。タカキが本気で戦闘しなければならない相手などと戦う時にはタカキもMP温存を考えはするが、通常時は必要がない。なので、普通に魔法で洗うし、たまに風呂を自作するときすらある。
「なんか、アメリアさんは厳しいけど、そんなに大変な仕事じゃないよね?」
「うん。私たち、あっちで働いてた時はいつも誰かに叩かれたり邪魔されたりしてたもんね」
十代にも満たないメルサがとんでもないことを言う。しかし、ミールは特に驚いた様子をしていない。それはミールも同じような目に遭って来ているからこそである。
「お仕事、全部終わっちゃった」
「メルサ、終わったらアメリアさんに報告」
「は~い」
ミールの言葉にゆる~い感じで返事をしてアメリアがあるだろうキッチンに向かっていく。そして一分もしないうちにメルサが戻って来た。
「アメリアさん、なんて?」
「もう今日はお休みでいいって」
「そう。分かった」
何となく予想していたことなのであまり驚かない。ここ最近はいつもこんな感じなのだ。仕事が少ない一番の理由はタカキ達が貴族ではないということだ。貴族ならば何かしら家で仕事をしているものだし、客を屋敷に招いたり、逆に自身が赴いたりする。そういった時、使用人は仕事を割り振られて、その仕事に応じて色々と頑張るものなのだが、タカキ達は冒険者であってそれ以外の何者でもない。
「暇ね~」
「暇だね~」
洗濯を畳みながら日向ぼっこを始める二人。
「あれ?姉ちゃんたちも仕事終わりか?」
そこに十代中~後半の男の子がやって来て声を掛ける。後ろにはメルサよりちょっと歳が上ぐらいの男の子がいる。
「ええ。これであの頃の倍以上の給料をもらっているんだから驚きよね」
「本当に俺達の今までの労働は何だったんだって言いたいよ」
「お母さんは?」
「今はアメリアさんと一緒に食事の準備中」
「そっか」
ミールに声を掛け、ミールの言葉を返したのはハンク。ミールの弟で、メルサの兄である。
ここに来た当初はミールのようにタカキにすり寄ったりせず、警戒心を常にMaxにしていたが、流石にタカキに母親を治してもらい、さらに血縁上の父親であるトリスメデスさえも決別させてくれたということもあって今では完全にこの屋敷の使用人である。
そんなハンクの後ろにいるのはトール。メルサの兄であり、残り二人の弟である。
妹のメルサと合わせてリリアスとアメリアのことが大好きなので今の仕事が楽しくて仕方がないらしい。今もニコニコ顔である。
「どうしてトールはそんなにご機嫌なの?」
ニコニコしていたトールを不思議に思ったミールが訊ねる。
「アメリアお姉ちゃんに褒めてもらった!」
「なるほどね」
相変わらず、アメリア大好きだということを再認識するミール。
「最近、お姉ちゃんがいつも屋敷にいるから嬉しい!」
「私も!」
アメリアは基本的に屋敷で働いているし、リリアスも魔法学園に行くことになっている一週間のうちの三日間が今週はすでに終わっているので屋敷でリアと一緒に基本的に魔法の練習などをしているので屋敷にいる。たまに失敗して変な爆発音が地下から聞こえてくるが、特に大事になっていないのでみんな何も言わない。
タカキとダンガがあまり屋敷にいないのは気にならないらしく、二人はそのことに少し寂しそうにしていた。代わりと言っては何だが、ハンクはタカキ達四人の中で一番ダンガを慕っているし、ミールはタカキを慕っている。ここら辺は小さい子にモテるかどうかがハッキリした瞬間であろう。
「リリアス様とアメリアさんはいいけど、タカキ様とダンガ様はどうしているんだろう?」
「さあ?ダンガ様は工房にいるってことは分かるけどな」
実はタカキは現在、皆川喜美とクラスメイト達に頼まれて軽い戦闘指南をしている。場所はディメンショナル・プルートーの周辺。内に潜ることはしないが、外にもタカキにとってはそこそこのモンスターが出現するのでそこで色々と十人をニ、三日絞っている最中なのだ。特に危険があるわけでもないし、もしものことが起きても転移して緊急避難するので他のパーティーメンバーや使用人たちにはクラスメイトたちと数日出掛けてくるとしか伝えていない。
ダンガはタカキに渡されたプリマ姫の力の源を武器にしようと切磋琢磨している最中である。失敗してもいいとはタカキに言われているが、それでも出来れば成功させたいという職人魂により、工房に籠っているのだ。
「準備期間って感じはするけど、かなり平和だよね」
「ああ。不安になってくるほどにな」
「私は嬉しい!」
「僕も!」
各々がそれぞれな感想を言う。
アリエス教国出発まで残り数日とはいえ、幸せな時間が続くことに四人は幸福感に包まれるのであった。
読んでくれて感謝です。
感想・評価・ブックマークをしてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!
次ぐらいに番外編に入ろうかと思います。
どのくらいの話数になるかは不明ですが、一話だけになることはないので。
それと、今回の内容の中に出て来たタカキが他のクラスメイト達を連れて訓練ですが、この場面は出来れば番外編で書きたいな~と考えています。
忘れてしまってたらすみません。
書いてないよ~とお教えいただければと思います。
それでは!




