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閑話11 勇者たちの一日

閑話に入ります。

今回はどのくらい閑話を書こうか全くのノープランです。

まあ、書いても後一話か二話ぐらいだとは思いますが・・・。

それに番外のリリアスの学園生活もあるからね。



 ここはライドーク神国にある初級ダンジョンの中。一つの集団がいた。


 薄気味悪い洋館で、外から見ると結構な大きさの屋敷だな~と思う程度のものだが、中に入るとその印象とはがらりと変わり、日本のドーム会場と比べることが出来るくらいに広い空間だ。


 入った時刻は昼だったのに中はいくら時間が経とうと夜のまま。幸い、蠟燭などで真っ暗闇というわけではないので中で動くことが出来なくなるということはない。


「すごいな。どうなってんだろう」


 声を発したのはライドーク神国の勇者、鈴村春樹。日本から召喚されたクラスメイト達を束ねるリーダーでもあり、この集団、勇者パーティーのリーダーでもある。


「物理法則とかその他諸々完全に無視な空間だもんね」


 そう言って鈴村春樹に話しかけるのはこの集団の副リーダーの左京花(さきょうはな)だ。


「っていうか、ここって本当にレベル上げに一番いいとされている場所なのか?」


 そう不安そうに言うのは東山和寛(ひがしやまかずひろ)だ。ここにはライドーク神国王に命令されてレベル上げに来たのだ。ここは国内でも有数のダンジョンで、今の勇者パーティーならば攻略することも可能であろうとの国王の言葉により意気込んで来たはいいが、規模が大きい割にあまりに呆気ないモンスターやあまり入り組んでいない迷路などに拍子抜けしてしまっている。


 しかし、冒頭にも述べたようにここは初級ダンジョン。そんなに強いモンスターがいるはずもなく、入り組んだ迷路などがあるはずもない。しかも、万が一の危険がないようにとすでにボスなどの強いモンスターはライドーク神国の騎士達によって殲滅されている。


 ならば何故、国王はこのダンジョンに行くように命じたのか。それは勇者たちのレベルが指し示している。




鈴村春樹 男


種族 ヒューマン


レベル26


HP:172/182

MP:162/193


STR:148

DEF:156

INT:136

AGI:169

MND:121


固有:なし


スキル:礼儀 レベル2

    剣術 レベル3

    威圧 レベル2

    瞬動 レベル3

    


魔法:光魔法 レベル3

   四原魔法 レベル4



 これが勇者たちの中で一番レベルが高い鈴村春樹のステータスである。


 見て分かるように全くもって弱い。これなら初級ダンジョンでもかなりレベルアップすることだろう。本人たちからするとこの世界にやって来て早数ヶ月。この短期間でレベルを20も上げるなんて俺達すごくね?と思っている。しかし、この世界での本当の強者はレベルが50台になっていなければならない。そのくらいのレベルはないとすぐにボロが出てしまうのだ。


 しかし、ライドーク神国の人たちは勇者たちにそのことを教えていない。少なくとも今の段階で他国に出す予定もなければ本物の強者と戦う予定もない。


 完全に騙されながらも、甘やかされている勇者一行なのだ。


「とにかく、ここでガンガンレベルを上げていこう!」


『おお!』


 鈴村春樹の掛け声のもと、意気揚々と各自、レベル上げに勤しむのであった。




                 ・・・




「なあ、最近『黒の英雄』ってのが有名らしいけど知ってる?」


 ダンジョンでのレベル上げもひと段落し、城に戻ってきた鈴村春樹は左京花と東山和寛と食堂でそんな話をしていた。


「それって隣の国のオークス王国で現れたっていうやつでしょ?」


「ああ。なんでも500はいたA級モンスターを一人で倒し切ったらしい」


「それ、本当に人間かよ」


 怪しげに聞く東山和寛。


「A級って言ったら俺達ですら集団で倒すのがやっとの相手だぜ?それを一人で500もなんて。嘘なんじゃないのか?」


「まあ、可能性は高いな」


「勇者である私たちがそんな感じなのにそんなことを一人で出来るはずがないわ」


「でも、気になるじゃないか。噂では、そいつは黒髪で真っ黒な服を着ていたって言うし」


「まあ、確かに。もしかしたら私たち以外に他国で召喚された人がいるのかもしれないわね」


「だろ?もしそうだったら仲間になってもらって、一緒に戦ってもらいたいじゃないか」


「まぁな。同郷なんだからきっと俺達の仲間になってくれるさ。噂が本当ならいい戦力になってくれそうだしな」


「そうね」


 と、そこで兵士の一人が鈴村春樹たちの所にやって来た。


「お食事中のところ、申し訳ありません。王女殿下がお呼びです。至急、庭園までお越しください」


「悪い。俺、行かないと」


 鈴村春樹は立ち上がって二人にそう申し訳なさそうに言う。


「おう。まあ、精々頑張ってこいよ」


「むぅ~~~」


 東山和寛は茶化すように言い、左京花は鈴村春樹が王女のもとに行くことに納得がいかないとばかりに拗ね始める。


「ハハハ・・・。それじゃ行ってくるよ」


 そして鈴村春樹はその場を後にした。


「しかし、流石は春樹君。モテますねぇ~」


 ニヤニヤしながら左京花を見る東山和寛。


「何よ?」


「そんなに嫌ならさっさと告っちまえよ」


「そんなこと出来たら苦労しないわよ」


 召喚されたクラスメイトの女子たちの中で暗黙のルールがある。内容は鈴村春樹に対して抜け駆けしないこと。それを守らなければクラスメイトの女子から総スカンを喰らうことになる。その制約がない王女はガンガン攻めているのだが・・・。


「はぁ。難儀なもんで」


「本当にね」


 勇者たちの一日はこうして過ぎていく。




読んでくれて感謝です。

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