第153掌 気まずいのは我慢
クロノス共和国編の終わり所がなかなか見つからなかったですけど、ようやくあと一話か二話くらいで終わりそうです。
今までで一番話数が多い編になりましたね。
願わくば切りのいい次の百五十四掌で終わればいいな~。(クロノス共和国編の話数の合計が次で四十話なので)
「あれ?どうしてここに?」
ミッキー先生が不思議そうに聞いてくる。
「それはこっちのセリフなんですけど」
なんで演習場から出て来るんだ?
「私たちは授業でここを使ってたの」
「あれ?ってことは・・・」
「私たちは一年生ですから」
ああ。リリアスの後輩になっていたのか。気まずいパターンじゃん。心なしかミッキー先生の声のトーンも低いし。
「それで、孝希君はどうしてここに?」
「俺はリリアスの付き添い。ここにはついでで寄っただけなんですけどね」
「そうだったんだ。あ、そうだ。この後空いてる?私たちと話をしないかな?」
ああ。字面だけ見るとナンパみたいですね。
「すみません。俺達、この後やることがあるんで。また誘ってください。明日以降、一週間ほどは屋敷にいると思いますので。それじゃ」
クラスメイト達にも軽く手を振ってから俺達はその場を離れた。
「まさかリリアスの後輩になっているとは思わなかった」
校舎を出口に向かって歩いて行く。
「申し訳ないですけど、タカキさんのおかげで私の方が色々と上になってしまっていますから」
嫌味っぽいセリフだけど、リリアスが言うとそんな感じがしないんだよな。実際にそんなつもりで言ってないことは知っているんだけどな。
「まあ、向こうは俺のオール・ブーストもないしな。それに戦闘もあんまりなさそうだし」
ここでは緩やかにレベルが上がっていくのだろう。まあ、俺の仲間になっていきなりディメンショナル・プルートーに連れて行ったり、神の眷属と戦ったりしたら目を離した瞬間に死んじゃいそうだし、これくらいがちょうどいいのかもしれないな。もしも今後、まだ俺と一緒に行きたいとか言うならもう一回試験して、パワーレベリングすればいいことだしね。
「毎回何かしらに巻き込まれているもの。あの人たちの今のレベルじゃ、危ないわよ」
「そうですね。少なくともレベルが三桁になっておかないと難しいかもしれませんね」
かなり短期でレベルを上げたためか、リリアスとアメリアのレベル上げに対する常識がおかしな方向に変化しているような気がする。
「おっ。そろそろMPも回復してきたし、転移いけるっぽい」
戦闘終了してから二、三時間は経っているからな。寝ればすぐに回復するんだけど、今から寝ると多分明日まで起きないだろうからな。まあ、MPが五分の一は回復しているから転移も簡単だろう。オール・ブーストスキルとMP操作スキルで大分消費MPを削減しているからな。リリアス達やメルエさん達も使っているので勝手にMPの最大値も増えていっているし。
「それじゃ守衛にもう出ることだけ言ってこそっと転移しますか」
「はい」
「了解」
・・・
「それで?どうだったのだ?」
ハフナーさんがそう聞いてくる。
場所は王宮のハフナーさんの執務室の中。現在、俺達はハフナーさんとアルナスさんに今回の戦闘について報告していた。
「何とか捕獲することが出来ました。これはトリスメデスに対しても結構大きな貸しになったと思います」
「そうだな。わざわざ向こうの願いを聞いて危険を冒して捕獲したんだ。これは協力した分、いい報酬になったよ」
アルナスさんが嬉しそうにしている。
「まあ、こちらは継承争いで新しく王になったばかりだからな。味方は多いに越したことはない」
コネもほとんどリセットだろうからな。大変そうだ(他人事)。
「それで?今日はこれからどうするんだ?疲れているんならこっちで色々ともてなそうか?」
アルナスさんがそう言ってくれる。
「いや、ありがたいんですけど、これから俺達のところの新しい使用人たちに今回のことを報告しに行くから遠慮しておきます」
「例のトリスメデス殿の関係者か」
「はい。報告するの気が重いんですが、そうも言っていられないので」
「まあ、頑張ってくれ」
いくら王族でそういったドロドロした内容と付き合っていくアルナスさんでも自分から首を突っ込もうとは考えない。誰だって嫌だもんな。
「それじゃ報告もしましたし、俺達はこれで失礼します」
「ああ。わざわざ報告ご苦労」
「いえ。あ、アメリアがそちらのメイドさん達に用があるそうなので置いていきます」
「ああ。好きにするといい」
「それでは失礼します」
そうして俺はアメリアだけを残してリリアスと一緒に屋敷に転移するのだった。
・・・
夜。メルエさん達の仕事が終わる頃を見計らって応接間に呼び出した。
コンコン
応接間で待っているとドアをノック音がする。
「はい。どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのはメルエさん達家族。ダンガは来ないと事前に言ってたし、リリアスとアメリアは一応この場にいようと考えたっぽいけど疲れもあって帰ってすぐに寝落ちした。起こすのもなんだしそのまま寝かせてある。
「お呼びでしょうか?」
「ああ。今回の戦闘のことを報告しようと思ってな」
「今回のことって・・・」
「ああ。プリマ姫との戦闘の話だ」
俺の中で気まずさが渦巻いていたが、話さないわけにもいかない。俺は今回の顛末をメルエさん達家族に話し始めるのであった。
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