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第149掌 眷属との戦い プリマ編 その7



「ぐぅうううううう!!???!?」


 より一層の吸引(・・)により激しく呻き声を上げるプリマ姫。


「よし!大詰めだ!」


 俺の言葉に三人と一匹はそれぞれ柱に駆け寄る。


「な、何を⁉」


 よく分からないが自分にとって良くないことが起こると感じたプリマ姫は戸惑いながらも柱に駆け寄った三人と一匹の内、アメリアの方に駆け出す。リアに突っ込むのは流石に無謀だと感じたのだろう。


「そうはさせない」


 俺は上空から急加速で降下し、プリマ姫の前に降り立つ。


「どけぇ!」


 突進するが如く、スピードを緩めることなく俺に暗黒魔法の魔弾を手に留めたまま突き出す。


「そんな焦った攻撃、脅威でも何でもない」


 それを俺はいとも簡単に避ける。そして避けた次の瞬間、カウンター気味に膝蹴りをプリマ姫のお腹にヒットさせる。


「あぐっ」


 勢いが勢いだったので俺の膝蹴りで後方に吹っ飛ばされるプリマ姫。


「よし!さっきのタカキの攻撃で準備完了よ!」


「分かった!始めるぞ!」


「「「「了解!(にゃあ!)」」」」


 そしてリリアスたちの魔力が柱を覆い出す。


「させるか!」


 それを見ていたプリマ姫は諦めずに一番近いダンガの柱に行こうとする。


「そろそろいいかな?」


 俺は拘束の効果を付与した糸で拘束する。別にダジャレじゃないよ?これで拘束という行為が二倍の効力を発揮するってことなんだから。今回はこの効果付与・糸スキルで最後に拘束するって決めていたから悟られないように頑張って使わなかったんだよな。何度使いたいと思ったことか。あー、大変だった。


「おまけでこれもだ」


 さらに糸による拘束だけでなく、俺が持っている魔法で何重にもプリマ姫を囲うように結界を張る。これで今のプリマ姫ではもう脱出することはほぼ不可能だろう。


「ぐっ!この程度の拘束、振り払えるはず・・・。何故どうすることも出来ない⁉」


「まあ、出来ないようにしたからだな。普通に考えて」


 と、ここで周りの四つの柱の方も準備完了したようだな。それじゃシメだ。


「「「『封印!』」」」


 三人がそう叫ぶ。リアは猫だから封印とは言えないので三人だ。若干不満そうだ。キメたかったのだろう。ドンマイ・・・。


 それはともかく、そう叫んだ瞬間に俺がいた空中の四つの柱の中心にある結晶が出現する。


「よっと!」


 それをその場から飛び上がり、俺は全掌握を使い、その効果を右手に集中させる。


「『掌握』」


 その一言だけ言い、掴み取る。


 俺が掴んだ結晶は丸い綺麗な黒い宝玉となっている。


「ま、まさかそれは・・・!」


「そう。あんたの魔力そのものだ」


 そう。この柱は俺とダンガとの合作である封印装置なのだ。ダンガの武具製作能力でこの柱を作ってもらい、俺の全掌握を使って中にいる指定した相手の魔力を奪うという封印を作り出した。最初はその指定した相手、つまりプリマ姫に指定を固定するために指定する俺が集中する必要があり、後半の戦いをリリアスたちに任せたのだ。


 そして戦い、傷つき、奪われた魔力が全掌握によって柱に吸収されていく。十分と俺が判断したら、リリアスたちの魔力でプリマ姫の魔力を覆い、最後に俺がそれを一つにして結晶化させる。そういう流れになっていた。


「これであんたは神の眷属でも何でもなくなった。ただのプリマだ」


「そ、そんなっ」


 なんか急に弱々しくなったな。恐らく、自分の根幹だった魔力が根こそぎ奪われたからだろう。


 すでに死んでいる前のプリマ姫は流石にどうこうすることが出来ないが、今のプリマ姫ならこの通り。大分手間暇が掛かるけど、どうにか出来ないこともない。


「あとはこの結晶をあんたに奪われないようにどうにかするだけだ」


「わ、私は力を失ってもあの方の眷属に変わりはしない!」


「そう反応するだろうとも思ってもう一つ、手を打っておいた」


 そう言って俺は転移してある場所にいく。そしてある人物を連れて再び荒野に戻ってきた。


「・・・トリス」


「・・・プリマ」


 そう。トリスメデスである。最終的に俺達だけでここまで持ってくることは可能だが、心の方はどうにも出来ない。それこそ地球神に捕獲したことを伝えて後は任せることしか出来ない。しかし、それではプリマ姫がどうなるのか分かったもんじゃない。だからこっちでそれもなんとか出来るように手を打ったのだ。それがトリスメデス。


「あとはあんたの力で何とかしろ。説得出来るまでこの拘束している結界は外すことは出来ないし、最悪、殺さなくちゃいけなくなる」


 正直、ここまで苦労して完全に無力化したんだ。説得してもらわないと俺の、俺達の苦労が無に帰してしまう。それだけは勘弁願いたい。頑張ってくれよ、トリスメデス。


「はい。分かっています!」


 それから何時間という時間をトリスメデスはプリマ姫の説得に費やした。俺達もその場の雰囲気でいた方がいいかいない方がいいかを判断していたりいなかったりした。


 そして、ついに。


「分かりました・・・」


 その言葉をプリマ姫から絞り出すことに成功したのである。


 ちなみに決め手は「子供なんていいんだ。お前さえ傍にいてくれたら」という聞いているこっちが恥ずかしいプロポーズみたいな言葉だ。これにプリマ姫はコロッとやられてしまった。


「それじゃ、これで終了だな」


 やれやれ。大事になったけど、これでようやく終わりだな。そう思ったのに―――


「いえ、まだです」


 そんな水を差す言葉が上から聞こえて来たのだった。




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