表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/521

第14掌 理由

本日、二話目の投稿です。

本日って言っても日付が変わってすぐに一話目を投稿したから二話目って感じはしないですけどね。

それではどうぞ!



 そそくさとギルドから出てきた俺達。


「落ち着いたか?」


「はい」


 返事はちゃんとしているが、どう見ても落ち込んでいるリリアス。無理もない。ここまで憤るとは自分でも思っていなかったんだろう。肩を落としてシュンとしている。


「タカキさん。止めてくれてありがとうございます。おかげでシャーリさんにひどいこと言わなくてすみました」


「気にすんな」


 まあ、それでもリリアスの言葉は多少効いたっぽいけどな。でも、リリアスには悪意はないし、多少はひどいことを言ってもいいだろう。


「それで、なんかタカキさん話を切り上げていた感じがしたんですけど、どうしたんですか?」


「ん?ああ、あれね」


「デリルさんの様子もおかしかったですし。何かあるんですか?」


「あれはおそらく異常事態が発生したんだよ」


「えっ?」


 異常事態と聞いて驚くリリアス。


「どういうことですか?」


「ハウリングモンキーが出るはずのないところに出てきた理由を考えればすぐに分かることさ。考えてみなよ」


「はあ。理由・・・。はぐれた?・・・・いや違う。そもそもあそこにはハウリングモンキー自体があまり来ない。・・・・・・住処が変わった?でも、どうして?元居た場所にいれなくなったから」


「そう。元居た場所にいれなくなったからさ。でも、それはどうしてだと思う?」


「ハウリングモンキーよりも強いモンスターが住処に居ついたから?」


「正解。ハウリングモンキーはランクCだっただろ?つまり、現在ハウリングモンキーの住処にはランクB以上のモンスターが居座っているってことになる」


「なっ⁉大変じゃないですか‼」


「ああ。だからデリルさんはあんなに焦ったんだよ」


「なるほど」


 それにシャーリのハウリングモンキーの討伐での驚き様。おそらくC級冒険者以上はこの町には現在いない。


 つまりは。


「おそらく、ハウリングモンキーを討伐してもケロッとしている俺達にお鉢が回ってくる可能性がある」


 いくら俺達がさっき登録したばかりのG級冒険者だとしてもだ。っていうか、あっちからしたら登録したばかりの簡単な駒。捨て駒にしても構わないだろうし、登録したばかりとはいえ、冒険者になったのだから命令もしやすい。


「だが、俺達のレベルはそう高くない。リリアスなんてほぼ、戦うのすら初心者だろ?」


「は、はい。私はいつも魔法の勉強ばかりしていたので戦闘の方はちょっと・・・・」


「だろ?ステータスだけ高くても戦闘経験が少ない俺達にはその依頼は厳しいんだ。昨日倒したハウリングモンキーも一匹だったから簡単にどうにかなっただけさ。何匹もいたら勝てるとは限らなかった」


「で、でも!もしかしたら今回のことはタカキさん自身の目的である可能性はないんですか?」


「それはない」


 俺は断言する。


「どうしてですか?」


「もし俺が見逃しても神が見逃すはずがない。即連絡がくるはずだ。それにもし、相手が俺の目的であっても今回は行かない」


「えっ⁉」


 俺のその言葉に驚くリリアス。


「おいおい。流石にこの町に何かあったらどうにかするかもしれないが、俺達のレベルを見れば分かるだろ」


 俺なんてレベル11だぞ!


「わ、私もレベルは7です」


 リリアスのレベルは初めて知ったけど、ハウリングモンキーを倒す前の俺よりもレベル高いな、おい!若干ショックだよ!あんだけカッコつけておいてレベルが助けた相手よりも下って・・・。


「このレベルで腐っても神の創造物である奴らに勝てるはずがない。返り討ちで即人生にお別れを言わなきゃいけなくなる。そんなのは勘弁だ」


「それは・・・・・・・・はい。その通りです」


 リリアスも納得してくれたようだ。


 まあ、今までの俺からしたらさっきの発言は少し俺らしくないと感じたのだろう。だが、リリアスよ。むしろ俺の本質はこっちだぜ?なんせ俺は神にまで達観しているねって言われるほどの男。ついつい一歩引いて物事を見てしまうのさ。


一回だけ生き返る権利を貰っているとはいえ、死にたくはないし、保険は出来るだけキープしておきたい。


「まあ、何が起こるか分からないからな。今はレベル上げとお金を稼ぐことに専念しよう」


 俺のステータス補正はハンパないからな。まあ、ステータスをどうにかしないとすぐに死んじゃうと思ったから補正してもらっているんだけど。


 そもそも、俺達はほぼ無一文に近い状況だ。


 今回の報酬も数日分の宿代と俺たち自身の簡単な初期装備で消えてしまうことだろう。なんて計画性のない職業なんだ、冒険者。


 しかし、装備か。胸が膨らむな。どんなのにしよう。やっぱり日本人としては刀とかがいいな。でも、俺の戦闘スタイルとは少し合いそうにないんだよなー。どうしよう。


 まあ、このことはこの後にでも考えればいいことか。


「ほら、それじゃ宿に行こう。俺も早く神に連絡取って色々と聞きたいし」


「は、はい」


 さっきの達観していた俺から一転。急にいつもの調子に戻った俺に少し戸惑いながらも従うリリアス。


 ・・・・・・・。言っておくけど、二重人格とかではないからな?


 さて。この先の展開はどうなることやら。




読んでくれて感謝です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ