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第142掌 後は待つだけ



 さて、捕獲してやるとは言ったものの、どうしたものか。


 俺は一旦、オークスの拠点に戻って自室で考えていた。


以前にもクロノと戦ったときにも言ったが、神の眷属は俺よりも純粋な実力が上だ。クロノの時ですら負けたのに、それよりも強いかもしれない相手に捕獲を狙うのは正直言ってほぼほぼ不可能だ。


 以前のクロノとの戦いとは違う点がいくらかある。


 1つ目は正々堂々の戦いではないということ。クロノとの戦いは自分の持つ実力だけで戦ったので自力の差が出た結果となる。しかし、今回はそんな誓約はない。どんな手を使ってもいいので前よりは差を埋めることが出来るはずだ。


 2つ目は仲間がいること。クロノの時は1対1での戦いだったが、今回はリリアス、ダンガ、アメリア、リアがいる。勿論、その分の危険はあるが、危険は前衛の俺が引き受けるから危険度は下がるはずだ。


 3つ目は事前準備をすることが出来ること。今回は罠を張れるし、神の眷属のみとの戦いに備えることが出来る。前はダンジョン込みだったから荷物もあって大変だったからな。しかも、神器憑きのモンスターとの戦闘もあったから消耗もしてたし。


 最後に俺が使えるスキルや魔法が増えているということ。つまり、クロノと戦いより実力自体も上昇しているし、クロノとの戦いの時には使わなかったスキルや魔法も使うからさらに差が縮まっている。それに有難いことにこの前、回復魔法を掌握出来たからな。持続力も上がっている。これはデカい。


 つまり、勝つことだけに集中すれば、なんとかなる可能性は結構あるはず。でも、捕獲となると話は違ってくる。


 自力が上ならまだいいが、本当にどうしよう。あんな格好つけるんじゃなかった。まあ、捕獲してみせるなんて断言はしなかったからセーフではあるんだが。


 ウンウンと唸っていると扉がノックされる。


「はい」


「ミールです。アメリアさんから「罠の準備が一通り出来たわよ」とのことなので庭に出て来てください」


「ああ、分かった」


 こういうことを考えるのは戦っている最中でもいいか。結局はこっちの命が第一だし。それより今は勝つための準備に取り掛かるとしよう。


 そう考えた俺は呼ばれた庭に行くのであった。




             ・・・




 夕方頃、拠点の庭で俺たちグラスプは集まっていた。


「さあ。これで準備と設置は完了だな」


 ダンガは一仕事終わったといった表情で額の汗を拭きながら言った。


「ああ。後は決行の時を待つだけだ」


「なんだか、ドキドキしますね」


 リリアスが緊張気味に言う。


 まあ、ここまで大きな戦闘は今まで俺が全部やってたからな。それが俺の意思かどうかはこの際置いといて。


「それじゃ、そろそろ現地に入っておくか」


「「「おー!」」」


「留守は任せたからな」


「「「「「はい」」」」」


 メルエさん達家族に一声掛けて、俺達はクロノス共和国に転移した。


転移した先はトリスメデスの家。その部屋の一室だ。戦闘はここではしないのだが(被害がとんでもないことになりそうだから)、戦闘をする場所にプリマ姫を転移させるために一回ここに来ないといけないのだ。


「それでタカキさん。転移はどうやってするつもりなんですか?私たち何も聞いてないですけど」


「ああ。魔方陣をこの屋敷のあちこちに設置しておいたから、それを踏んだ瞬間にあの場所に転移することになっている」


「でも、それって私たちやトリスメデスが踏んだらどうするのよ」


「それは対策済み。バレる可能性があるから危なくてプリマ姫には出来なかったけど、俺達とトリスメデスには反応しないように設定しておいた。だから必然的にプリマ姫にしか発動しないようになっている。トリスメデスには家にはプリマ姫以外は連れてこないように言ってあるから完璧だ」


 プリマ姫が屋敷に誰も連れてこなかったらの話だけど・・・。まあ、大丈夫だろう。そういうフラグは建ててないはず。これがフラグだとは言わないのがお約束。


 まあ、来る可能性があった襲撃犯の門番はすでに俺の異空間の中で収納しているので大丈夫。死体を隠すのって殺人犯の心境だな。まあ、殺害したのは俺だから間違ってもないんだけど。


「あと、魔方陣を張っていることを勘付かれないように隠蔽スキルも掛けておいたし、見た目からも見えないように隠蔽しておいたから」


 まさに完璧。


 ちなみに何故魔法を使わないかというと、魔方陣を隠すのに魔法を使い、さらにその魔法を隠すためにまた何かしなければならない。そんな面倒なことを避けるためにスキルを使ったのだ。


「それで?設置の方はどうなっているの?」


 アメリアが気になっていたのか、聞いてきた。設置は俺とダンガ担当だったからな。なかなかの出来だと自負している。そう伝えると、


「ふ~ん。かなりえげつないことになっていそうね」


 と、失礼なことを言ってきた。


「まあ、勝つためにだからな。正直、タカキの設置したところは俺でも若干引いてしまうけど」


 そこまでのことか?


「どんなことになってんのよ・・・」


「相手の動きを予想して一番嫌なタイミングで罠に掛かるようにしただけだぞ?」


「それ、言葉で言う分には簡単だけどかなりえげつないわよ」


「あれ?」


 そうなの?


 何とも言えない空気がその場を支配したのだった。




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