第136掌 騙されて話してもらおう
胸を刺されたタカキは力なくソファに座ったまま項垂れた。
「・・・」
そこに音もなく一人の男が部屋に入って来た。
「フンッ。ようやく仕留めることが出来たか。手間を掛けさせおって」
そう口にした侵入者はタカキに近づく。
「だが、これで私はあの方のお役に立つことが出来た」
そう言いながら項垂れているタカキを蹴り、床に転がす。
「あの方が仰っていた通り、憎たらしい男だ!このッ!このッ!」
そう言いながら床に転がったタカキを何度も蹴る侵入者。
「ふぅ。さて、ご命令通りに首を持ち帰るとしよう」
そう言ってタカキに刺さったナイフを抜く。
「我らが神の敵に哀れな最期を!」
そう言って侵入者はタカキの首を目がけてナイフを振り下ろした。
・・・
さて。これ以上放っといても何も情報を得ることは出来そうにないし、いい加減に捕縛するとしますか。これ以上、自分が無惨にやられている様子を見るのも嫌だからな。
「よっと」
風雷魔法で身体が動かない程度に電撃を侵入者に喰らわせる。
「ギャッ⁉」
短い悲鳴を上げて侵入者はその場に倒れ込んだ。
「はい。確保っと」
俺は異空間から出て、事前にダンガが買っておいてくれた強靭な糸で侵入者をグルグル巻きにして捕縛する。
「な、な、な⁉」
さっきまで殺し、自分がいたぶっていたはずの相手が自分を捕縛していることに理解が追いついていないのだろう。さっきからドモり続けている。
「残念だったな。あんたが殺して蹴っていると思った俺はこっちの影武者だ」
正確には影武者ではない。これ、実は前回もやっているものの応用だ。そう。リアの固有スキルである。あれの能力によってディメンショナル・プルートーで神器付きのスペーススパイダーを相手にしたとき、ダンガがリアの能力によって分身を作った。それを今回は使ったのだ。俺が頼んだ時にはドヤ顔で「ニャッ」
あの殺された俺は、俺が乗り移っているだけで、本体の方は異空間に置いてある。リリアスたちに見てもらってあるので特に何の心配もしていない。
そうこうしていると、もう一人の俺が消えた。
「クソッ!」
侵入者はどうにか逃げ出そうと身体を動かすが、身じろぎぐらいしか出来ていない。まあ、もし動けていても電撃だけでなく、風の方でも押さえつけているから逃げることなんて不可能だけどね。
「さて。あんたが言っていたこと、詳しく教えて貰おうかな」
「だ、誰が話すものか!」
「いやいや。ぶっちゃけ、すでに仕向けた相手は分かっちゃうけどな。あんた見ただけで」
そう。襲撃者の正体だけで普通に予想が出来た。だって、今日の普通に自分で言ってたもん。
「なあ、お偉い門番さん?」
そう。俺を襲撃したのはあの、偉そうなゴツいのに雰囲気が軽い門番だった。
「ぐぅッ!」
あんだけ偉そうなことを言ってたし、姫様こそ至高ってな感じで語ってくれたんだ。それで予想出来ないわけがない。
「さて。それで?プリマ姫から俺を殺して来いって言われてたっぽいけど、どういう理由なんだ?」
「き、貴様が姫様が信仰する神敵だとお教え頂いたからだ!」
バレてしまっているので観念したのだろう。プリマ姫が不利にならないだろうと考える情報を話し出した。
「貴様が死ねば、姫様は安泰なのだと仰った。ならばそれを叶えるのが我が使命だ」
なるほどね。質が悪いと考えていたけど、流石に他国まで連れて来ただけはあって腕はいいみたいだな。しかも、その腕を隠すことが出来るくらいにはやるようだ。
「じゃあ、議員堂での強襲もあんたか?」
「ああ。あれには驚いた。完全に殺したと確信したのに、まさか回避して退けるとは思いもしなかった」
じゃあ、あの時にプリマ姫が入って来た時、俺は死んでいると考えていたのか。よく、俺が生きていることが分かって動揺を隠しきれたな。
「そうか。まあ、大体の情報は手に入れたな」
「ならば早く解放しろ!貴様、誰を拘束しているのか分かっているのか⁉」
「誰をって、門番だろ。それに誰が解放するなんて言ったよ?普通に考えて、自分を殺した相手に情けを掛けると思うのか?お前はそんな相手を逃がすのか?」
自分がどうなるのかが分かり出し、顔を青くさせながらも悔しそうにしている。
「許すわけないだろ。逃がすわけないだろ。お前は普通に死んでもらう」
「そう簡単にッ!」
「殺されるよ。あんたは」
俺はそのまま、効果付与・糸スキルで門番を縛ってある糸に即死効果を付与する。俺と近いステータス、大体レベル差で50レベルほどの差か、俺以上のステータスを持っていないとこの効果は防ぐことは出来ない。俺のステータス的にかなり強力で理不尽な効果であると思えるが、実は本来はそんなことはないのだ。普通は俺ほどのステータスを持つ者など殆どというか、いないだろう。
「く・・・そ・・・・・・」
その効果により、門番は死んだ。
「さて、初めて使ったけど、結構色々な用途があるもんだな。今後も色んな場面で使えそうだ」
俺は死体を異空間にしまう。それと入れ替わるかのように仲間たちが異空間から出て来た。
「さて、これからどうするの?」
「勿論、行くんですよね?」
「むしろ、ここで何もしないなんてタカキっぽくないな」
アメリア、リリアス、ダンガが俺にそう言ってくる。
「ああ。勿論、やったことは返って来るってことをあの面倒な姫様に教えてやらないとな」
そして武器などの準備をしようと異空間に戻ろうとしたとき、久々に電話が鳴った。
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