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第127掌 もう一回、出発



 ハフナーさんに今回やろうと考えていることを伝えると大笑いされて、「やるなら思いっきりで頼む」と言われた。もしかして、結構、クロノス共和国のこと嫌い?


 まあ、そんなわけで俺は言われた通り、もしも、トリスメデスとその奥さんのどちらかが、もしくは両方とも嫌な奴なら遠慮なくやらせてもらおう。


「それじゃ、明日に向けて、心の準備だけしてから寝るとするかな」


 そうは言いながらも、特に葛藤もなく、考えることもなく、普通に眠ったのだった。




              ・・・




 次の日の朝。


 俺はいつも通りの時間に目が覚めた。


 地球にいた頃なら考えられない。あんなに朝起きるのがつらかったのに、今ではこの状態。もう、沙羅に起こしてもらわなくてもよくなったかもしれない。俺のこの早起きを知ったらさぞ喜ぶことだろう。結構、面倒くさそうにしていたからな。


「さて。アメリアの朝食を食べに行くとしよう」


 俺はそのままベッドから降りて、部屋を出た。


 朝食を食べに向かっている途中、仕事中のミールとトールに会った。どうやら早速頑張っているようだ。


「二人とも、おはよう」


「「おはようございます!」」


 もう、すでにアメリアの教育は始まっているらしく、二人とも頑張って敬語で話している。うんうん。頑張っているな。


 なんか、俺は皆の名前をすでに知っているとリリアスが昨日のうちに説明していたらしく、すでに自己紹介も省略されている。そう勧めたのはダンガらしいがな。まあ俺、あっちこっちに行っていたからな。あんまり自己紹介する機会もなかっただろう。ちなみにリリアスたちはすでに俺が出掛けている間に自己紹介を済ませていたらしい。


「二人とも大変かもしれないけど頑張ってくれ」


「「はい!」」


 そして食堂に入ると、リリアスたちと残り三人の使用人たちがそこにはすでにいた。


「みんなおはよう」


「おはよう」

「おっす」

「「「「おはようございます!」」」」


 アメリア、ダンガ、残りの四人だ。


 リリアスはいつも敬語だから三人の使用人たちと一緒になってる。なんか、違和感があんまりないな。いつも敬語だからだろうか?


「アメリア、朝食出来てる?」


「ええ。今出すわ」


 そう言ってキッチンに消えていくアメリア。うちは貴族ではないので別に俺とか他の三人が起きて来た時点で朝食が出来ていなくても構わない。というわけで、いつも起きた時間に出て来るとは限らないのだが、大体いつも、食堂に行ったら毎回ちゃんと出て来る。流石は本職のメイドさん。プライドとかがあるのかもしれない。


「どうぞ」


「ああ。いただきます」


 アメリアに出された食事を味わいながら食べる。別に会話をしてもいいのだが、今回は行動する前だからみんな緊張気味で少し雰囲気がピリッとしている。


 そして、そのままその雰囲気で食事を終えてしまう。こういう雰囲気で食事をしてもあんまり楽しくないな。いつもよりおいしいとも思えなかったし。


「さてと。それじゃ、準備して行くかな」


 準備と言っても服を着て、武装もしてから出発するだけだけど。まあ、武器はいつものダンガ製のやつではなく、フェルゲンで盗賊を狩った時に収納袋に入れておいた安物の武器にしておくけどね。信用ならない所に武器を預けるなんて出来ないし。それに俺、武器なしで戦うこともざらにあるし。なくても特に困ったりはしない。元々スキルとか魔法とかが強すぎてあんまり武器を使ってないしな。ダンガには悪いけど。


「それじゃ、私たちは異空間の方に入ってるわね」


 アメリアが食器を片付けながら言ってくる。


「ああ。声はそっちに行くように少しだけ空間に穴を空けておくから。そっちも声の大きさには気をつけろよ?俺に言いたいことがある場合は穴に口を近づけてこっそりと小声で頼む。穴は俺の耳の近くに開けておくから」


「「わかった」」

「はい!」


「それと、メルエさん達家族にも一応異空間の方に入っておいてもらうから」


「「「え?」」」


 いやいや。そんなに驚かないでよ。考えてみれば分かることじゃん。


「俺はトリスメデスがどんな奴かも知らないし、顔も知らないんだ。誰でもいいから知っている人がいた方がいいだろ?それに直接やり取りを聞いていた方がもしも、トリスメデスがひどい奴だった時に決別しやすいだろ?」


 まあ、その分、残酷なやり方にはなるけどな。なんせ、悪ければ父親と決別しろと言っているんだから。


「分かりました」


 メルエさんが返事をする。


「それじゃ、他の二人にも伝えておいてくれ。俺が出発するときにでも空間を開くから」


「はい」


「じゃあ、俺はこのまま部屋で準備してくる」


 そう言って俺は部屋へと戻って行った。


「さて、服は制服の方がいいかな?それとも防服を着て行った方がいいかな?」


 部屋で二つの服を前に考える。


 制服はまあ、俺にとっては地球でも正装だ。高校生はスーツなんて持っていない。・・・いや、持ってたか。去年、色々あったからな。貰い物があった。ま、まあ、あれはノーカンだ。


 それで、普通に考えたら防服だな。こっちの世界で冒険者としては正装にもなるし。別に俺は貴族じゃないし、使者と言っても軽いお手紙ぐらいだからな。内容が内容だけど。


「うん。念には念を入れておこう。ハフナーさんが手紙に俺のことも書いているしな」


 しかも、マイナスイメージな方を。


 俺は防服に着替え、早速部屋から出たのだった。




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