第11掌 入町
ベルルク編、開始です!
まあ、そんなに大げさなものじゃないですけど。
簡単な区切りだと思ってください。
ステータスとスキル頼りで街道をぶっ飛ばして半日。
少しは休憩も入れながらも移動し続けた。
「つ、着いた、な」
息を切らしながら言う俺。
「は、はい。それより、大丈夫ですか?」
ゼーハー言っている俺を心配そうに見つめるリリアス。ちなみにすでにお姫様抱っこは解いて降ろしている。なんだかんだ言っても流石に半日も抱っこされっぱなしだと慣れるわな。
「ああ。な、なん、とか、な。ちょっと、まってくれ」
息を整えるのに少し待ってもらう。流石に能力に頼っての強行軍は体に堪えた。早く宿で休みたい。
「よし。もう大丈夫だ」
息が整ったことを確認した俺がリリアスに言う。
「さあ、入ろう」
目の前にあるのは十メートルはあるだろう門だ。
俺達はそのまま門をくぐる。
「あれ?門番の兵とかいないの?」
「はい、いません。この門にはロックの魔法がかかっていて、悪意のあるものは通れなくなっているんです。それにもし、それでも無理して入ろうとして魔法が破られたら町の兵士に魔法が破られたという報告がいくようになっているらしいです。それにステータスを確認して種族の横に状態異常がないかを確認もするらしいですよ」
「へ、へぇ~。しっかりしているんだな・・・」
その言葉に内心ドキドキする俺。俺、種族がヒューマン?なんだけど、大丈夫かな・・・・?このクエスチョンマーク、状態異常じゃないよね?
門を潜り抜けるともう一つ、門があった。どうやら二重の門らしい。
ドキドキしながらリリアスが門を開けるのを見つめる俺。
「開きましたよ。さあ、行きましょう」
どうにかなったようだ。はぁ~。ここ最近で一番ドキドキしたわ。どうやら俺のこのヒューマン?は状態異常の類ではないようだ。謎は深まったが、状態異常ではないことに安堵した。
「ああ。行こう」
俺達はベルルクに入った。
・・・
二つ目の門をくぐり抜けた俺達を最初に出迎えたのは兵の駐屯所だった。なんか日本の交番を彷彿とさせる外見だ。まあ、実際にここ兵士は地球で言う警察なんだろうけど。
「あれ?門番はいないんだよな」
「はい。そうですよ。でも、入ってきた人の手続きなどをするためにここには兵が詰めているんです。それに無理やり入ってこようとする人がいないとも限りませんから」
「へぇ~。まあ、確かにそうだな」
「さあ、行きましょう」
「ああ」
おそらく、入国審査みたいなもんだろう。町が一つの国みたいなもんだ。
「すみません。この町でしばらく滞在したいんですが」
「はいよ。どのくらい滞在するんだい?」
俺はここをリリアスに任せてちょっと離れた場所で町の景観を眺める。この町と地球の町の違いはどれくらいあるんだろうと考えていると、リリアスが兵のいる窓口で引き続き、入町の手続きをしていた。
「ちょっと待ってくださいね。タカキさーん!どのくらい滞在するんですかー?」
リリアスがこちらを見て聞いてくる。
「とりあえず、二十日だ!」
色々とこの町で知れたらいいしな。
「分かりました!兵士さん。二十日の滞在でお願いします」
「はいよ。もし滞在期間が延びるようだったらまたここに来て手続きをしてくれ。逆に滞在期間が縮むようなら出る前に手続きしてくれればいいからさ。よろしくな」
「はい」
手続きが終わったようだ。こういう時は俺は役立たずだな。でもまあ、俺の知らないことを聞かれたら怪しまれるし。ここは俺は行かない方がいいだろう。
「タカキさん。行きましょう」
「ああ」
俺はリリアスの後に続く。門から先は大通りになっていて商店が立ち並んでいた。そこをどこにも寄らずに歩いて行く。まあ、お金ないしね。
「なあ、この後はどうするんだ?」
「冒険者登録に向かいます」
「りょーかい」
まあ、俺達お金ないし。このままだと町に入ったのに野宿だよ。
「そう言えば、入町料とか払わなかったけど、いいの?」
「はい。ああいう払わなくちゃいけないのは長期の期間に町に滞在する者か住人だけです。大体半年以上の人だけですね。あ。あと、貴族とか王族とかはそういうのは免除です」
やっぱ、いるのね。貴族とか王族。神の奴に聞くだけじゃあんまり実感というか、本当にいるの?って疑ってしまうんだよな。リリアスに教えて貰えると実感湧くんだけど。
「あんまり、そういうお偉いさんには会いたくないね。色々と厄介そうだ」
「確かに。タカキさんの力だと目を付けられてしまいそうです」
せっかくリリアスがそういうのとは無縁のところに召喚してくれたんだ。俺としては関わりたくなんてないね。それに、もしかしたら俺のことを探しているのかもしれないし。そうなったらリリアスも危険だしな。そこのところも落ち着いたらまた神に聞いてみるか。
「ああ。目立たないように気をつけよう」
「はい。・・・でも、多分、多少は目立っちゃいますよ」
「え?なんで」
「ハウリングモンキーです」
「あー」
確かランクC何だっけ。確かに、これから冒険者登録をしに来た奴がすでにランクCのモンスターを倒していたら目立つわな。
「ま、仕方ないことだ。これがないと俺達、今日の宿ないぞ」
「そ、そうですね」
お金がないんだ。そのくらいの目立ちは我慢するさ。
「さて、ここか」
俺達は冒険者登録所に着いた。
読んでくれて感謝です。
ロックの魔法について説明しているところがおかしいとご指摘して頂いたので修正しました。
人間以外に門が開けれないと色々とおかしな点が今後出て来そうなのでそこも変更しておきました。




