閑話10 アメリアの気持ち
お久しぶりです!
気持ちシリーズ第二弾です。
気持ちっていうか、軽いヒロイン視点での今までの流れって感じですけどね。
私の名前はアメリア・フェルゲン。ついこの間までフェルゲンを治める領主様の屋敷でメイドとして働いていたけど、色々あって領主様の子どもになり、何が起こったのか、現在はタカキさん達と旅をしている。
私の日常は一般的に見て、ひどいものだった。端的に言えば職場でのいじめだ。私は領主であるベルモンド様にかなり気に入られており、よく傍に置いてもらっていた。それを気に入らない同僚が陰湿ないじめをしてきたのだ。
仕事の邪魔をしてきて、上司やベルモンド様に怒られるように仕向けたり、私の食事の量を少なくしたり、落としてしまったとか理由を付けて食事なしにしたこともあった。他には買い出しに私一人で行かせたりと毎日つらいことが続いていた。それでもメイドの仕事を辞めないのはベルモンド様が優しいからという理由と辞めても私自身に戻る場所がないからだ。
そんなある日。いつもと同じように一人で買い出しに出ていた時にタカキさんと出会った。
最初は急に話しかけて来る怪しい人だなと思ったけど、私はすぐに大丈夫だと判断することになった。それは私の固有スキルのおかげだ。この固有スキルの名前は審判。呼び方はジャッジメント。能力は相手が私に対してどんな思惑があるのかが分かるっていうもの。そのおかげでタカキさんが私を本当に心配して話しかけてくれたと分かったのだ。この固有スキルはベルモンド様には伝えているため、それもあって気に入られていたのだ。
それはともかく。気づけばタカキさんのグイグイな態度に押されていた。一度目はそうでもなかったけど、二度目に会った時には友達になっていた。不思議な人だなとその時には思った。だって、不思議な格好で何か他の人とは違う雰囲気を持っていたから。
でも、タカキさんとはそんなに会わないだろうなと思った。だって、私は領主の屋敷で働いているメイドで、タカキさんは冒険者。私は住み込みだからほとんど外に出ることはないからヘタしたらもう会うことはないかもしれない。二度目に会った時はベルモンド様のお客様としてフォーマス様がやってくるということで急遽買い出しに行っただけだ。
そんなこんなで屋敷に戻って仕事をしていたらある日、タカキさんがやって来た。私は驚いた。まさかここにタカキさんがやって来るなんて思ってもみなかったから。
私は固有スキルのこともあってその場に隠れて話を聞かせてもらっていたのだが、多分タカキさんは私がいたことに気がついていた。だってチラチラと私が隠れている場所を見てきていたから。勿論、他の人は気づいていなかったけど、だからこそ気づいたのだ。他の人がしていない動作をしていたから。
タカキさんは私だけは気づいていなかったのか、かなり警戒していた。素人のベルモンド様やタカキさんの仲間だからこそ気づかない二人。特に問題はなく、話し合いが進んでいたけど、私にはかなりのプレッシャーが襲い掛かって来た。今では分かっている。タカキさんは威圧を私に出していたのだ。
ベルモンド様は心配してしまうのでタカキさん達が帰った後には平気な顔で報告したけど、内心は冷や汗でボロボロだった。
そこからは怒涛の展開だった。タカキさんはフォーマス様を挑発して勝負をすることになった。私も心の中ではタカキさんを応援した。フォーマス様はいやらしさと傲慢さを併せ持つ表情で私に話しかけてきたのだ。そんな人と友達になったタカキさん。どちらを応援するかと言われれば答えは明確だ。
そして勝負が始まった瞬間。ビックリすることが起きた。どうやらフォーマス様には神の眷属が憑依していたらしく、それもあってフォーマス様は増長していたのだ。それをタカキさんは引き剥がし、見事にフォーマス様を助けた。
それからタカキさんは自身の事情を話し、ベルモンド様に協力を申し出た。ベルモンド様はそれを王都への遣いをすることを交換条件に了承した。タカキさんもそれを了承した。
でも、私が驚いたのはその後だ。
タカキさんが私を旅の仲間に指定してきたのだ。タカキさんの把握スキルで私の固有スキルのことがバレていたらしく、それを理由に私を指定してきたのだ。でも、それだけで私を指定したわけではなかった。タカキさんは私の知らない事情といじめの問題を問題視したためにそう言ってくれたのだ。
私のお母さんは病を患って亡くなってしまった。私が12歳の時のことだ。私は母がこと切れる寸前にやって来たベルモンド様に引き取られたのだが、どうしてかベルモンド様と奥様達はまるで自分たちの子どものように可愛がってくれた。
その理由がようやく分かったのだ。ベルモンド様は本当に私の父親で奥様方はそのことを知っているのだと。
それからさらにビックリの展開。
なんと、ベルモンド様――――もとい、お父様がタカキさんを婚約者に指定したのだ。確かに、庶子ではあるものの私は貴族の娘になったのだ。いずれは誰かと結婚して、政治の道具になることは決められている。それがタカキさんになるのなら悪い話ではない。むしろ、私的には全然アリだ。
それから王都での継承問題に巻き込まれたり、ダンジョンに行ったりしたけど、タカキさんが言うにはこれからが本番みたいだし、頑張らなくちゃ。
王都出発までに出来るだけやれることはしておかないとね。タカキさんの仲間として。そしてこ、婚約者としても・・・。
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次は九月からの更新になります。
新編に入る前にリリアスの学園入学の話をすることになります。
リリアスの学園入学の話は閑話になりますので、本編にはならないかと思います。
簡単に言うと、リリアスが主人公の話って感じになるのかな?
そんなわけで、よろしくお願いします!




