第111掌 鏡世界の崩壊
「にゃにゃにゃ!」
リアはタカキにMP操作で浮かせてもらい、まずはダンガの所に向かった。
「・・・・・・・」
リアの声に反応することもなく、眠り続けるダンガ。それもそのはず。ダンガとアメリアはスペーススパイダーの闇魔法が組み込まれた糸で包まれていたのだ。そのせいで、全く起きなくなってしまったのだ。そもそも、タカキがあれだけ派手に戦っていたのに起きないのは普通はおかしい。
「にゃうにゃう!」
「・・・・・・・」
リアは諦めず、ダンガに向かって鳴き続けるが、全く反応する気配はない。
「にゃぅ」
全然反応してくれないダンガに落ち込んでしまうリア。ネコパンチをしても全く起きない。
「リア!」
「にゃにゃ?」
そんな時、スペーススパイダーと戦っていたタカキが声を掛けて来た。
「ダンガとアメリアには闇魔法が掛かっている!普通に起こしても起きないぞ!対策を立てろ!」
そう言われて気を取り直すリア。
「にゃあ!」
タカキに返事をして再びダンガの方を向く。しかし、対策と言ってもどうすればいいのか分からない。どうすれば起きてもらえるのか。リアは考えた。そしてタカキの言葉を思い出す。
そう。ダンガとアメリアは闇魔法にとらわれているのだ。リアは闇魔法に対抗できそうな光魔法を持っていない。でも、一つだけ何とかなるかもしれない方法がある。それはリアが持つ、ダンガたちに掛けられているものと同じ闇魔法だ。
「にゃう」
これに賭けるしかないという気持ちもあって早速ダンガに闇魔法を掛けるリア。スペーススパイダーの掛けている闇魔法は精神を捕らえ、起きなくする睡眠魔法の一種。そしてその反対のことも闇魔法で出来る。しかし、スペーススパイダーの掛けている闇魔法はレベル10.それに対してリアはレベル6。レベル差があって解くことが出来ない。
相反する光魔法ならばレベル6でも解くことが出来たのだが、同質のものでは同じレベルか、それ以上でないと解くことが出来ない。しかし、リアも出来ないし、タカキも持っていないので出来ない。リアは再び落ち込む。
「にゃ?」
と、そこでリアはあることを思い出した。それは自分の固有スキル。ドッペルゲンガーだ。ドッペルゲンガーは対象をもう一人増やすことが出来るというものだ。それはつまり、ダンガをもう一人増やせるということになる。しかも、本性が現れるということは意識があると言うことでもある。ダンガが裏のない人間なら意識をこちらに呼び寄せることだけが出来ると言うことだ。試すしかない。
「うにゃにゃ!」
早速自分自身の固有スキルを使う。するとすぐに変化は現れた。
ダンガの横に同じ姿の人間が現れたのだ。勿論、MP操作の対象外なので、すぐさま地面とご対面になるのだが、ギリギリで何とかうまく着地する。
「ここは?」
「にゃあ!」
「リアか。これはどういうことなんだ?」
流石はタカキと最初に会った時に己の欲に忠実でタカキを無視したダンガである。上手いこと行き、ダンガは意識をこちらに戻すことが出来た。
「にゃん!」
リアはタカキに呼びかける。
「よくやった!リアはそのままアメリアの方も頼む!ダンガ!お前は自分の体とアメリアとリアを守っていてくれ!」
「タカキ⁉どうしてここに!それにどうしてこんなことに?」
「いいから!頼んだぞ!」
そしてタカキはMP操作を解いた。勿論、アメリアはまだ眠ったままなので地面にゆっくり下した。タカキはこれで心配事が軽減され、思うように動けるようになったのであった。
・・・
リアが本当に頑張ってくれたおかげで何とかなりそうだな。リアでは固有スキルでダンガの意識を呼び出しただけでダンガ本人が起きたわけではない。だが恐らく、この闇魔法はこのスペーススパイダーを倒すことでも解けるだろう。
「でも、これで気にするのはリリアスのことだけになった!」
俺はさっきまではあまりその場から動くことなく戦っていた。そうしないとMP操作で浮いているダンガとアメリアに襲い掛かってしまうかもしれないからだ。でも、今はリアの活躍のおかげでダンガが自分の体とアメリアを守ってくれる。気にする必要は無くなった。
「あとはリリアスを引き剥がすだけだな」
前足四本で俺に高速で突いてくるスペーススパイダー。だが、さっきよりも動けるようになった俺は余裕を持ってその攻撃を避ける。
「いつまでも調子に乗るな!」
俺は全ての攻撃を避け切り、その場から跳びあがった。そして俺はMP操作で作った足場を蹴り、高速移動で速度を上げてスペーススパイダーの背中に飛び乗った。
「キシャァアアアアアア?!?!?!!」
急にさっきまで戦っていた相手が自分の背中に乗ったことに驚き、暴れ出すスペーススパイダー。
「暴れん、な!」
手加減スキルでリリアスの繭に影響がないようにしてから風雷魔法で雷を拳に纏わせ、背中に叩きつける。手加減スキルを真の上限まで上げるとこんなに使い勝手がいいものになるなんてな。これは重宝するわ。
「キシャァアアア!?!?!?!????!?」
そして俺の攻撃を浴び、倒れるスペーススパイダー。俺はその隙に背中の繭を背中から引き剥がす。
「よし!救助成功だ!」
そして俺はスペーススパイダーの背中から飛び退く。
「これでもう遠慮はしなくていいな」
俺はスペーススパイダーを掌握して動きを止める。
<転移・短を掌握しました><効果付与・糸を掌握しました><巣作りを掌握しました><闇魔法を掌握しました>
スペーススパイダーを掌握したことでスキルと魔法を掌握した。
「それじゃトドメだ!」
俺は火炎魔法と風雷魔法のミックス魔法でトドメを放つ。
その攻撃は見事にスペーススパイダーにヒットした。
かに見えた。しかし、よく見るとスペーススパイダーに直撃する前に何かに止められてしまっている。それは何かの武器に見えた。
「あれが神器か!」
しかし、神のレベルになっている火炎魔法と風雷魔法のミックスは威力が高かったのか、守っていた神器など関係なく、余波だけでスペーススパイダーを燃やしてしまった。それを理解したのか、その場から逃げようとする神器。
「逃がすかよ!」
『今回は私も退こう。しかし、貴様らの思い通りになるとは思わないことだ』
「てめぇ!やっぱり神の眷属か!」
『ふん!あのような者たちと一緒にするでない!我は正式に神に使われていた神器なるぞ!』
たち?最初に神と話したときにはあんまり気にしていなかったが、やっぱり神の眷属は複数いるようだな。
「俺にとっては変わらねえよ!」
『無礼者め。まあよい。私はこのまま退散する』
「あ!待て!」
俺の制止を聞くはずもなく、そのまま神器は消えてしまった。すると、急に辺りがまるで鏡が割れたかのようにしながら崩れ出した。
『マズいぞ』
そしたら時空龍・クロノが声を掛けて来た。
「何だよ?」
『この世界を創っていた者が消えた。この世界も消えてしまうぞ!』
「なっ⁉」
『お前たちをこちらへ転移させる!一か所に集まれ!』
「あ、ああ」
俺はリリアスの入っている繭を抱えてダンガたちの所へと行く。結局、なんでリリアスはあのスペーススパイダーの背中に分からなかったが、今はそれどころではない。
『それでは行くぞ!』
「ああ。頼む!」
そして俺達はその世界から転移したのだった。
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