第105掌 召喚失敗と転移
というわけで、文字数が三十万文字を突破しました!
そして突破したので今日は二話目を投稿します!
ちょっと普段より短いですけど、そこはご容赦してください。
一応、自分で決めている最低文字数は超えているので・・・。
そんなわけで、お間違えの無いように!
これは二話目です。
本日はこれの前にもう一話投稿していますのでお間違えの方は先にそちらから読んでください。
それではどうぞ!
「ねえ、ダンガさん」
「どうした?リリアス」
「これって何ですか?」
タカキがセーフティーポイントで休憩していた頃、ダンガたちはダンジョンをゆっくりとだが確実に進んでいた。
そんな時、リリアスが何かを発見したのだ。
「これってどれだ?」
「え?分からないんですか?これですよ、この真っ黒な渦」
リリアスの指さす方にはタカキが転移したブラックホールがあった。しかし、リリアスにしか見えていないのか、ダンガとアメリアは訝し気な表情でリリアスの指差す方を見る。
「いや、分からないわ。本当にあるの?」
「あります!私には確かにはっきりと見えているんです!」
必死にダンガとアメリアに訴えかけるリリアス。
「もしかしたらなんだが」
「何?ダンガさん」
「リリアスの召喚魔法が関係しているんじゃないか?」
そう。このブラックホール、タカキの潜ったブラックホールとは仕様が違っているのだ。それを感知できたのは、空間系魔法である召喚魔法を持っているリリアスだからこそである。
「そうなんですか?」
急に自分の持つ、召喚魔法のことを言われたのでキョトンとなるリリアス。
「それなら納得できるわね」
アメリアもうんうんと頷いている。
「もしかしたら転移門かもしれん」
ダンガは慎重にリリアスの指さす方を見ながら呟く。
「でも、危なくないですか?」
「ああ。危ない。だから入るのは危険だ」
「とりあえず、中に何かがいないか確認する意味も込めて石でも投げてみましょうか」
リリアスは地面に転がっていた拳サイズの石を持ち上げ、そのブラックホールに投げ入れる。
「消えた・・・」
「本当にそこにあるらしいな」
アメリアもダンガも実際にブラックホールがそこにあることを実感して驚いている。
「・・・」
「「・・・」」
「特に何もありませんね」
「「ふぅ」」
ため息をつくダンガとアメリア。何か起こるかもと緊張していたようだ。
「しかし、召喚魔法か。まさかこんなところで役に立つとは思わなかったな」
「そうですね。ところで、なんだか召喚魔法で忘れていることがあるような気がしてくるんですけど・・・」
「リリアスもか?俺もだ」
「私も」
三人が考えているとリリアスが声を上げる。
「あああああああああああ‼」
「どうした⁉リリアス」
「急に大きな声を出さないでよ」
「ご、ごめんなさい!でも、思い出しましたよ!」
「本当か⁉」
「本当に⁉」
「はい!召喚魔法でタカキさんを召喚すればいいことをすっかり忘れていました!」
「「それだ!」」
なかなかにひどい仲間である。
「さっそくやってみます!」
「おう!そうなれば安全確保も格段に上がるし、そもそもこんなに素直にダンジョン攻略しなくても済むからな」
「タカキさん、無事だといいんだけど・・・」
「それじゃ、やってみます!」
リリアスは魔力を高めて集中する。すると、リリアスの前の地面に魔方陣が浮かび上がる。そしてゆっくりと光り始めた。
「いきます!・・・召喚!タカキ・ヤガミ」
そして一気に光が溢れ、周りは光で見えなくなる。
そして、リリアスの前には・・・。
「そんな・・・」
誰もいなかった。
「失敗したの?」
「・・・はい」
項垂れながら小さくアメリアの問いに答えるリリアス。
「こんなこと初めてです」
「確かに、なんだかんだで今まで召喚自体に失敗することは俺達が見ているところじゃなかったよな」
「はい。今回もおかしなところは何もなかったのに・・・どうして?」
「原因は分からんけど、今は先に進むしかない。行こう。リリアスの言う黒い渦はこの先のダンジョンの様子を確認してから調べるとしよう。今は通常のルートで進もう」
「・・・はい」
「そうね。リリアスも元気出して!さっきと状況が変わっていないんだから。悪くなったわけでもないんだし!」
「うにゃー!」
アメリアとリアがリリアスを慰める。アメリアはリリアスの頭を撫で、リアはリリアスの足をスリスリしている。
「そう、ですね」
リリアスも落ち込んではいるが、さっきまでよりはマシだ。そう判断したアメリアはリアにリリアスを任せて歩き出す。
リリアスもリアを抱き上げて歩き出した。
ダンガはその様子を見て、ホッとすると先頭を歩いているアメリアと場所を交代すべく、小走りし出すのであった。
・・・
『むぅ⁉ダンジョンが破壊されていっている?』
ソレは力の強い方を追い、動いていると強い反応がダンジョンの天井を突き破って進んでいることを感知した。
『強い存在の方は感知か何かが出来るのかもしれんな。我から逃げているようにしか思えん』
少しの間、ソレは目を閉じて考えていたが、結論を出したのだろう。ゆっくりと目を開ける。
『仕方ない。この速さでは我がこの存在に会う前に逃げられてしまう。使うとしよう』
そう言うと、ソレの周りから魔方陣が浮かび上がる。
『これであちらから、我のいるこの場所まで来てもらうことにしよう』
そしてソレは自身の種族名にもなっている魔法を行使した。
『時空魔法・転移』
そして辺りは高濃度の魔力と光に包まれたのだった。
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