第一村人発見
思いがけず木を伐採してしまった俺は、しばらく途方に暮れていたがとりあえずは移動を慣行していた。
太陽の沈んでいる方角から考えて南の方の道にした。これは、ドラ○もんの尋ね人ステッキよろしく木の枝の倒れた方向で決めた。うん。テキトーだ。
夢の影響か、はたまたゲームの世界だからかはわからないが3時間歩いても疲れることはなかった。
そして今は高原を抜け、林道を突き進んでいる。
だが、ここにきて問題が…。
「腹が…減った…。」
そう!なんだこの抑えられない食欲!ほんとに夢なのか疑問になってきた。
とりあえずは水だけでもと願いながら歩を進めていると、左方の茂み奥から川のせせらぎが聞こえてきた。
砂漠でオアシスを発見した人のような勢いでその元へと走る。
うおっ!ダッシュも相当早いな。現実世界であれば世界陸上で優勝なんて目じゃないスピードだ。
おっと、そんなことより川だよ川!
…あったぜ!
茂みを掻き分けた俺の目に飛び込んできたのは日本であれば一級河川間違いなしの流れの緩やかな綺麗な川だった。
これだけ綺麗であれば飲み水として大丈夫だろう。
ほとりにしゃがみ込み、水を両手で掬ってゴクゴクと飲んでいく。
「ぷはーっ!」
生き返るようだぜ。
充分に喉を潤した俺は下流の方へと目をやる。
あれは…?水車?
どうやら視力まで相当によくなってしまったらしい。1キロ先にある水車を認めることができた。
人がいるみたいだ。よかった。
やっと建造物を発見できたことに安堵し、川伝いに行ってみることにする。
食料を分けてくれるといいんだが…。
近くまで来ると俺が見たそれは間違いなく水車であり、村が近くにあることも確認できた。
よっしゃ!遠目からでも人がいるのが確認できる。
早速行って、…って待てよ。村民の服装はなんていうか中世の田舎にいそうな麻の服に身を包んでいるのが見受けられる。
俺の今の恰好じゃあ浮く?最悪身ぐるみ剥がされちゃう?
それはまずいな…。そうだ!戦闘では使えず死にスキルなんて言われてたけど。
「変装!」
そう唱えると足元から白煙がボワッっと出てきて身体を包み込んだ。
白煙はすぐに消え去り、麻の服に身を包んだ俺、参上!
よし、いい感じに草臥れた感じにしてみたし、疲れた旅人とでも思ってくれることを祈る。
でもさすがに手ぶらじゃあ不安だな。短刀の一つ正宗を布で縛り持っていくことにしよう。
布はどこからって?
ああ、変装したら出てきた。肩に掛ける棒と布袋セットで。どうやら望んだ格好と手荷物ぐらいなら召喚されるらしい。超便利!