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作者: 政宗祐太

「きみがわるいことはよくあるよね」

 確かにあるね。

「なのに、きみはいつも謝らない」

 何で僕が謝る必要があるんだい?

「今自分で認めたじゃないか。自分が悪いことがよくあるって」

 あ、そっちか。気色悪いことがよくあるってことじゃないんだ。

「あ、そっちか。違うよ」

 紛らわしいこと言うのは、やめてよ。脳みそを無駄に使ってしまう。

「逆ギレかよ。今のも悪いのは君だぞ。それに、きみに脳みそなんてないだろ」

 ……うるせぇな、そのうち立派な脳みそをゲットするよ。

「そりゃあ、来世まで待たないとな」

 ああ、そうですね。

「……お前、ずっとこのままでいいのか?」

 え?

「このままこんな狭い場所で終わっていいのかって聞いてんだ」

 いいわけないだろ。でもどうすんだよ。

「自分の殻を破れよ。こもってばっかりじゃ何も変わらないだろ?」

 それを言うならお前もだろ?

「俺はもういいよ。諦めた」

 随分とあっさりだな。

「当たり前だろ。お前と出会った時からずっと、俺はあっさりしてるよ」

 そうだったな。

「でもさ、時々思うよ。せめてもっと外の世界でいろんなとこに混ざり込んで」

 いろんな自分に出会いたかったか?

「うん」

 だよな。俺たち、ここで腐ってる場合じゃなかったんだよな。

「だな。長いことこのまんまですごし過ぎたな……」

 もう遅いかな?

「少なくともこのままではな。他のやつらに火でもつけてもらわねえと」

 悔しいよな。俺たちまだまだピチピチなのに。

「ああ。ピチピチだよな。まだ生まれてないようなもんだから」


[大きく揺れる]


「何だ、今のは。きみ、大丈夫かい?」

 俺は大丈夫だよ。まさかこれ……。

「まさか。そんなことしたらきっと二、三日トイレから出られなくなるよ」

 だよな……。だったらついに俺らは死んじゃうのか。廃棄ってわけだ。

「生まれてねえのに殺されるもクソもないさ」

 そうだな。俺もお前みたいに、さっぱりした性格でいたかったぜ。

「俺と一緒にならなくてもいいだろ。俺は淡白だけど、君はきみだ」

 そうだよな。俺はきみだからな……。今まで楽しかったぜ。

「俺もだよ。次は一つで生まれたいな」


[大きな衝撃、射し込むひかり]


「あれ、フライパンじゃない?」

 あいつ、火を通せばいけると思ってるんだな。

「どうなっても知らないぜ」


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