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ホームレスのじいさんと俺

 俺は昼頃に道を歩いていた。そうすると、駅の近くの広場を歩いていると、七十から八十才ぐらいの、ホームレスのじいさんが近づいてくるのだった。

「お金を恵んでください」

 俺はめんどくさいので、じいさんの相手をせず、通り過ぎようとした。しかし、じいさんは道を塞ぎ、しつこく「おかねを恵んでください」と言うのだった。

 俺は「俺もお金が欲しいよ」と呟いた。じいさんはこれを聞いて、笑顔になった。

「あんた、暇かい?」

「暇だよ」

「なら、一緒に物乞いをしよう」

 俺は断る理由がなかったので、この提案にのる事にした。

 俺とじいさんは広場で、夜まで物乞いをして、一万円ほど手に入れるのだった。結構な額のお金が手に入るのだった。

 俺とじいさんは広場にいたので、じいさんはトイレに行くから、待っていてくれと俺に頼んだ。俺は分かったと返事した。一時間が経ったが、じいさんは帰ってこなかった。俺はじいさんがお金を全額手に入れるために、いなくなったと考えたが、もしかすると何かの事件に巻き込まれたのかもしれないとありもしない事を考え、一時間ほど街を回って、じいさんを探すのだった。

 じいさんは見つからなかった。このまま探すことを辞めても良かったのだが、嫌な予感がしたので、探すことを続ける事にするのだった。俺はあそこにならいるかも知れないと思い、町に唯一ある廃墟に向かうのだった。

 俺は廃墟の前に着き、階段を上がり、屋上に着いた。

 じいさんはフェンスを超えて、端に座っており、高そうな酒瓶を数本、右隣に置いていた。

「あんた、よくここが分かったね」

「酒を飲むなら、ここが良いと知ってたからな」

「そうか」

 じいさんは前を向いて、夜空を見ているのだった。

「本当はお金を半分ずつにすべきだったが、お前から逃げて、高い酒を数本買って、ここで全て飲んでしまった」

 じいさんは「お釣りは俺のポケットにあるが、いるか?」と聞くのだった。

「いらない」

 俺とじいさんは数十秒の間、沈黙するのだった。

 じいさんは「俺は自分が情けないよ」と言った。そして、じいさんは「さてと」と言って、立つのだった。じいさんは彼方を眺めていた。

「じゃあな、坊主」

 俺はじいさんを止めようとしたが、止めることはできず、じいさんは屋上から下に落ちていくのだった。

 俺はフェンスを超えて、下を見た。じいさんは見るも無惨な姿で死んでいるのだった。

 俺は空の、数本の酒瓶を置いたままにして、フェンスを超えるのだった。

 階段を降りながら俺は「喪失、お前はなぜここまで人を追い詰めるのだ?」と問うのだった。




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