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小説の書き方!!私的メモ  作者: 岸田四季
小説のコツ
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小説のコツ3

 期間がものすごく空いてしまいました。期待の声がチラホラとあったので、罪悪感でいっぱいです。申し訳ありませんでした。

 お詫びが終わったところで、小説のコツ3をやっていきたいと思います。


・冒頭の書き方!! ~ミステリー・サスペンス~

 皆さんはミステリーとサスペンスの違いが分かりますか。これは意外と知らない方は多いのではないかと思われます。この違いを簡単に説明すると、犯人が最初に分かるか分からないかです。

 ミステリーという物は元来推理モノに用いられます。何かの事件が起き、それを現場に残された証拠から犯人を割り出す、というのがミステリーです。

 ではサスペンスとはなにか? 辞書でサスペンスを引いてみると「読者や観客に与える不安感や緊張感」と出てきます。ということは、推理モノでなくてもサスペンスなんです。クローズド・サークルという現象を知っていますか? これは何らかの事情で外界との往来が断たれた状況などを指す言葉です。例えば、無人島に友達と旅行に行ったが嵐で外と連絡が取れず、船も飛行機も迎えにこれない、なんて作品はよくありますが、これもサスペンスなんです。つまり、これからどうなるんだろう? あの人は大丈夫かな? と思わせればこっちの勝ちです。ですから、サスペンス作品では犯人を最初に明かし、その犯人が次にどんな行動を起こすのか不安にさせる方法をとることが多いです。

 何となくジャンルを理解して頂いたところで、冒頭の書き方についてやっていきたいと思います。このたぐいの小説では「とりあえず冒頭で死体を転がせ」という有名な言葉があります。まさにその通りなんです。冒頭は小説の顔です。前回も言ったとおりとにかく盛り上げましょう。突然人が殺されれば当然犯人が気になりますよね? そう言った人間の好奇心をうまく利用して、冒頭を書くのがポイントの一つです。

 ここで例を挙げてみます。


例1: 男は仕事帰りにコンビニ袋を片手にぶら下げ、酔っ払いながら暗くて細い道をふらふら歩いていた。しばらく歩いていると後ろから足音のような物が聞こえてきた。男は気になり、後ろを振り向くと、突然、ナイフを持った男が襲いかかってきた。ナイフはしっかりと男の胸に刺さり、口からは血が流れ、そのまま倒れ込んで動かなくなった。


例2: 男は仕事帰りにコンビニ袋を片手にぶら下げ、酔っ払いながら暗くて細い道をふらふら歩いていた。しばらく歩いていると後ろから足音のような物が聞こえてきた。男は気になり、後ろを振り向いた。「お、お前は……」ナイフを持った男は突然襲いかかってきた。ナイフはしっかりと男の胸に刺さり、口からは血が流れ、そのまま倒れ込んで動かなくなった。


 どちらの方が興味を惹かれたでしょうか? おそらくほとんどの人が例2の方だと思います。一言台詞を入れ、多少文を手直しした程度で何が違うのでしょうか? ここからは持論ですが、多分ヒントを与えたからだと思います。例1だと、なぜ襲われたのか誰に襲われたのか、見当がつきません。ですが例2はどうでしょう? 台詞を入れたことで「男とナイフを持った男はおそらく知り合いである」ということが分かると思います。そこで無差別に殺しているのではなく、恨みがあって殺しているのだという予想もできます。たった十字程度でこれだけ与えられる情報が違うんです。

 ではなぜヒントがあると興味がわくのか? 人間というのは考える生き物です。「悩むのが嫌だ」「考えるのが面倒だ」と言いつつも、クイズに答えられれば嬉しいものです。つまり、人間は考えるのが大好きなんです。だからあえて分かりやすいヒントを置き、それをもとに読者に考えさせることが「面白さ」につながるのではないでしょうか?

 まあ、自分の訳分からない意見は無視するとして「とりあえず冒頭で死体を転がせ」は偉大な言葉なので、この通りにするのが無難です。



・冒頭の書き方!! ~恋愛~

 これは一番難しいところです。まず恋愛小説を大きく二つに分けてみましょう。一つ目は、清純派恋愛小説。これはその名の通り、淡~い恋心を描いた小説です。二つ目は、ラブコメ系恋愛小説。最近はこの手の小説が多いですね。言わなくても分かると思いますが、恋愛だけどコメディー(お笑い)にも力を入れている小説のことです。

 まずは清純派恋愛小説の冒頭の書き方からです。一口に清純派恋愛小説と言っても様々なパターンがあります。さらに大きく分けると、ハッピーエンドかバッドエンドに分かれます。最後に二人が幸せになって、終わるパターンか何らかの理由で一緒にいられなくなる切ない終わり方のことです。

 ハッピーエンドとは最後に読者を幸せにさせるのが目的です。なので、一番インパクトのある「出会い」の場面から書いてみましょう。内容は正直なんでもいいです。あま~い出会いでも衝撃的な出会いでも、「幸福感」が伝われば大丈夫です。

 例えば……


――俺はあいつと出会った。その出会いは、食パンを咥えた女の子にぶつかった訳でも転校してきた美少女に出会った訳でもない。ごくごく普通の出会いだった。でも俺にとってその出会いは衝撃的で、運命を感じる出会いだった。――

 こんなのでも大丈夫です。何となくオチにつながる「幸福感」が伝わっているのならそれは成功と言っていいでしょう。何となく冒頭に薄いピンクのふわふわしたオーラが見えれば全然OKです。

 他には……


――「アイツと会ったのはいつだったっけ? ああ、確か高三の夏休みだったな。最初は張り倒されたんだっけ。懐かしいな」

 そう言ってアルバムを大切そうに引き出しの中にしまい込んだ。――

 少しベタすぎましたが、このような未来から振り返るパターンでも大丈夫です。最初にも言ったとおり幸せそうな雰囲気があれば、ハッピーエンドの小説の冒頭としては成功です。

 次はバットエンドの書き方です。このオチを簡単に言ってしまうと、読者に同情させて泣かせる手法です。ですので、冒頭では「この小説は悲しいお話ですよ~」ということを伝えなければなりません。

 ここでも例を挙げてみます。


――彼と出会ったのは、ちょうど六年前だった。当時お互いまだ中学生で、大人に近づいていることを忘れ、毎日が楽しかった。その時はまだわたし達がこんな関係になることなんて知らなかった。そして……こんな結末があることも全く知らなかった。――

 どうでしょう? 何となく悲しい感じが伝わったでしょうか? 見てもらって分かった通り、このような小説は未来から過去を振り返る手法が多いです。なぜかこの手のものが多いかというと……これも持論ですが、悲しい『今』と楽しかった『過去』を並べることでより『今』の悲しさを伝えているのではないでしょうか? 『過去』が楽しかったからこそ『今』がつらい。そんなことを表現したくてこのような手法が用いられるのだと思います。

 続いてラブコメ系恋愛小説の冒頭の書き方です。ラブコメと言われたらどんな内容を想像しますか? おそらくほとんどの人が「はちゃめちゃ」や「ドタバタ」など、騒がしいイメージを持つと思います。そろそろ分かってきたと思いますが、この騒がしいイメージを冒頭で表現しましょう。ということは、普通の恋愛小説のようではいけません。「あり得ないだろ!」と、ツッコミを入れたくなるくらいインパクトのある冒頭にしましょう。ここでは何も出会いのシーンを書く必要はありません。出会いではなく、お母さんに怒られているシーンから始めてもドタバタ感が伝われば問題ありません。

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