小説の心構え1
おかげさまでこれだけ長い間書き続けることが出来ましたありがとうございます。読者の方やインタビューに答えてくださった方々に改めてお礼申し上げます。
新コーナーです。ここでは執筆の際の注意点などについて書いていこうかと思います。つまり、作者の内面についてのコーナーです。「お前にそんなこと言われたくない!」と、仰る方もいるかと思いますが、ガキの戯れ言だと思ってお許しください。
・あなたの小説は最高傑作ではありません!!!!
このエッセイにしては珍しく辛口ですが、少しばかりお時間をください。
今自分が言いたいことは、傑作であっても“最高”傑作ではないと言うことです。確かに自分の作品を面白い、巧い、と思うのは大切なことです。作品とは自分が産んだ子供のような存在ですから、我が子が可愛いのはどの親も同じです。親バカだと言われようとどんどん誇ってください。
では最高傑作ではないとはどういうことか? これにはあまり調子に乗りすぎるなという意味もありますが、一番言いたいのは表現力です。表現力と言えば漢字が読める方ならだいたい理解できると思いますが、そのままの意味の表現をする力のことです。あなたがあなたの作品を面白く感じるのは100%の表現力が手伝っているからなのです。100%の表現力とは何か。それはあなたの頭の中にある小説の原案のことです。当然のごとく、原案は100%の完全な状態です。そして、それを文章に表したのが小説というものです。
では文章にした時、本当に自分の想像した通りの原案を100%を表せているでしょうか? おそらくほとんどの人が出来ていないと思います。プロに聞いてみてもすぐに頷ける人は少ないでしょう。つまり、これが「作者」と「読者」の差なのです。この差が両者の間に様々な溝を生んでしまいます。例えば、作者は主人公が茶髪で長身の好青年と思っていても、読者は口調から全く金髪のチャラチャラした青年と想像しているという可能性は十分にあります。作者が自身の小説を読んだ時もおそらく、無意識のうちにいろんな補正をかけていると思います。描写には一切書かれていない木があったり、部屋がとてつもなく大きかったり……etc
あなたの考えた案はとても面白いかもしれません。ですが、それを100%理解しているのは、やはり作者であるあなたしかいません。簡単に言えば想像しているより表現が出来ていないことが多い、ということです。
ここで重要になってくるのが表現力です。いかに小説を原案の100%の状態に近づけるか。その表現力と、読者との間には少なからず溝があるということを理解しておくことが小説を書くにあたって重要な心構えの一つだと思います。
・必殺技を身につけよう!!!!
恋愛小説でどうやって必殺技を使うんだよ、アホか。そう思う方もいらっしゃると思いますが、ここでの必殺技とはか○は○波のような必殺技ではなく、作者自身の必殺のことを指しています。
小説を書くにあたって、自分が好きなシーン、または盛り上がるシーンというのは必ず出てくると思います。そういったとき、自分が思っていたより盛り上がらなかった、なんて経験をした方は少なくないんじゃないかと思います。少なくとも自分はよくあります。自慢できることではありませんが(笑)。
でもそんなとき、小説を盛り上げる必殺技があると便利だと思いませんか? それに、必殺技を一つ持っているだけで、自信というものがついてくると思います。今回はそういったところを私的解釈をしていこうと思います。
でははじめに、そもそも小説の面白い面白くないを決める要因は何だと思いますか? 自分は表現の仕方だと思います。もちろん内容が面白くなければ表現のしようがありませんが……。
例えば、「机にリンゴがある」と「机の上には真っ赤でとてもよく熟れたリンゴが無造作に置いてある」とでは、全く違います。確かに、事実を伝えるだけなら「机にリンゴがある」の方が短くわかりやすいです。ですが、今やろうとしていることは小説を書くことです。ただ事実をそのまま書いただけじゃ面白みが少ないんです。だから、いくら回りくどくても様子を事細かに描写し、読者に想像させなければなりません。
ではその表現をどのようにすればいいか。その時に役に立つのが修辞法という必殺技です。修辞法とはなんじゃい、という方のために少し説明させていただきます。
まず一番に挙げられるのが比喩です。これは以前から書かせてもらっているのですが、小説というより日常会話や手紙に至るまであらゆるものにおいて最も重要な要素の一つです。その中で、直喩、暗喩、換喩など細かく分かれているのですが、それまで細かく書くと大変なので割愛させていただきます。気になる人は自分で調べるか、要望があれば修辞法について細かくまとめたコーナーを設けるので気兼ねなく言ってください。
次に擬態法といって、これも擬態語、擬音語、擬声語と細かく分かれるのですが、これらはすべて音を言葉にしたものです。ドッカーンなどもこれに含まれます。
他にも倒置法、擬人法、反復法、体言止め、反語、押韻などがあります。本当に数が多いので有名どころだけピックアップしましたが、細かく分類すればもっとあります。こちらも要望があれば別コーナーにて詳しく書かせてもらいます。
学校の授業でもやることが多いので知ってる人は多いかと思われますが、上記にあるようなものを修辞法と呼びます。
ようやく本題に入ります。もし、上に並べられた必殺技をすべて思い通りに扱えたら、それは素晴らしいことです。でも、そんなことを出来る人はあまり多くはいません。ですので、一つ二つ好きな修辞法というものを決めてみてはいかがでしょうか?
自分の場合は体言止めと反語が大好きで、ここだ! と思うシーンには必ず入れるようにしています。
すでに小説を書いている方は自身の小説を見返してみてください。知らず知らずのうちに必殺技を身につけているかもしれませんよ? 必殺技をすでに見つけていた方は、今度からそれを意識的に小説に盛り込んでみてください。まだだという方は、少し調べてみて、自分にあった必殺技を選んでみてください。そして、一つ必殺技を習得したらまた別のを。それを習得したらさらに別のを。そうしていくことで、様々な表現をすることが出来るようになり、さらにそれが作者自身の自信へと繋がっていくのではないでしょうか?