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君と過ごす、七つの季節

作者: 稲神蘭

第一章 出会い


4月の桜が散り始めた頃、新学期が始まった。高校2年生の村上大輝は、クラス替えで誰も知り合いがいない教室に足を踏み入れた。友人は部活の先輩たちばかりで、クラスではあまり目立たない存在だった彼は、一人で窓際の席に座って外を眺めていた。

その時、突然背後から明るい声が聞こえた。


「ここ、座ってもいい?」


振り返ると、そこには笑顔が印象的な女の子が立っていた。坂井遥という名前のその子は、少し不器用ながらも、何か惹かれるものがあった。彼女は気さくで、大輝に話しかけた最初のクラスメートだった。


「もちろん、大丈夫だよ。」


最初はお互いにぎこちない会話だったが、少しずつ打ち解けるようになり、放課後も一緒に帰るようになっていく。大輝は、遥の明るさに触れながら、いつの間にか彼女に心惹かれていることに気づく。


第二章 少しずつ近づく心


新しいクラスでの日々が進むにつれ、大輝と遥は自然に仲良くなっていった。授業の合間や昼休み、いつも隣にいる彼女との時間は、大輝にとって特別なものになっていた。

ある日の放課後、大輝は部活の帰り道で、ふと彼女に質問した。


「なんで、最初に俺に話しかけてくれたんだ?」

遥は少し考えてから、照れくさそうに笑って答えた。


「なんとなく、君が話しかけてほしそうに見えたから…それに、一人でいるのが寂しそうだったからかな。」


その言葉に大輝は胸が温かくなった。遥はいつも明るく、誰にでも優しく接する。彼女のそんな姿を見ているうちに、大輝は彼女に対して特別な感情を抱くようになっていたが、その感情をうまく表現できないままでいた。


第三章 揺れる心


夏が近づき、クラスで文化祭の準備が始まった。遥はクラスの中心となって活動し、みんなから信頼されていた。大輝はそんな彼女を見つめる日々が続いていたが、自分の気持ちを伝えることができずにいた。


ある日、放課後に一緒に帰る途中、遥が突然話を切り出した。


「実はさ、別のクラスの佐藤くんに告白されちゃったんだ。」


大輝はその言葉に一瞬息が止まった。心臓がドキッとし、言葉が出てこなかった。佐藤はスポーツ万能で、クラスでも人気のある男子生徒だった。


「そっか…それで、どうするの?」


なんとか言葉を絞り出した大輝に、遥は少し困った顔をしながら答えた。


「まだ返事してないんだ。どうしようか迷ってて…。でも、大輝にはちゃんと相談したかったんだよね。」


遥の言葉を聞いて、大輝は自分の気持ちを隠すのが苦しくなってきた。しかし、彼女の幸せを願う気持ちと、自分の思いを告げる勇気の間で、揺れ動いていた。


第四章 告白の決意


夏休みが近づくにつれて、大輝は自分の気持ちを抑えることができなくなっていた。遥が他の誰かと付き合うことを考えると、胸が痛む。彼女に対する想いを伝えたい、でもそれが彼女を困らせるかもしれないという不安が、頭を離れない。

ある日、二人で文化祭の準備を終えた後、大輝はついに決意を固めた。


「遥、ちょっと話したいことがあるんだ。」


夕暮れの校庭で、大輝は遥を呼び止め、真剣な表情で彼女を見つめた。心臓が高鳴り、手のひらには汗がにじんでいたが、勇気を振り絞って口を開いた。


「俺、ずっと遥のことが好きだった。最初に話しかけてくれたときから、君と一緒にいる時間がすごく大事で、特別なんだ。」


遥は驚いた表情を浮かべて、しばらく沈黙していた。そして、少し照れくさそうに微笑みながら、こう答えた。


「ありがとう、大輝。でも、ちょっと時間をもらえるかな。今、すごく悩んでて…大輝のことも大事だから、ちゃんと考えたいんだ。」


その言葉を聞いた大輝は、胸が締めつけられる思いだったが、彼女の誠実な態度に感謝し、静かに頷いた。


第五章 遠ざかる距離


夏休みが始まり、二人は少し距離を置くようになった。遥は佐藤からの告白についてもまだ決断していない様子だったが、大輝との会話も以前ほど気軽なものではなくなっていた。


その間、大輝は自分の気持ちを整理する時間を持った。彼女への思いは変わらないが、同時に彼女がどんな選択をしても受け入れたいという気持ちが芽生え始めた。


夏休みの終わりに近づいたある日、大輝は思い切って遥にメッセージを送った。


「夏休み最後の日、一緒に花火大会に行かないか?」


彼女からの返事は少し時間がかかったが、やっと「行こう!」という一言が返ってきた。


第六章 花火と答え


夏休み最後の日、二人は地元の花火大会に出かけた。人混みの中で、いつものように笑顔で話す遥を見て、大輝は少しだけ安心した。花火が打ち上げられ、夜空に大輪の花が咲く中、二人は少し離れた場所で静かにそれを眺めていた。


「大輝、今日はありがとう。すごく楽しかった。」


遥がそう言った瞬間、大輝は胸の中にしまっていた思いが溢れ出そうになるのを感じた。彼女がどんな答えを持っているのか、怖くて聞けなかったが、花火の音が途切れたその瞬間、遥が静かに話し始めた。


「大輝、私、ずっと悩んでたけど、やっぱり君が大事なんだ。佐藤くんのことも考えたけど、私が一緒にいたいのは君だよ。」



その言葉に、大輝の心は一気に満たされた。彼女の返事を聞いて、ずっと抱えていた不安が一瞬で消え去り、代わりに喜びが込み上げてきた。


「俺も、遥が一緒にいてくれて本当に嬉しい。これからも、ずっと隣にいてほしい。」


二人は見つめ合い、そして再び夜空に花火が咲き乱れた。


第七章 新しい季節へ


夏が終わり、新しい季節が訪れた。二人はクラスメートとしてだけでなく、恋人として新たな一歩を踏み出した。学校生活は変わらず忙しいが、お互いを思いやる時間を大切にしながら、成長していく。


秋風が涼しくなり始めたある日、二人は一緒に校庭を歩いていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

初めて小説を書いたので色々と変なところがあるかもしれませんが、

これからもっと勉強してより良い作品を書けるよう努力します。


誤字脱字がある場合は教えてください。

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