女子の口喧嘩の止め方がわからん。俺にどーしろと?
さて、家に上がるように言ったはいいものの、どうしたものか。
そもそも俺自身がかぐや姫(仮)についてほとんど知らないのだから説明のしようがない。
あぁ…ひな(苗字の朝雛からとってひなと呼んでいる)が早く説明しろとでも言うようにこっちを睨んでいる。
「ま、まず聞いてくれ、俺もまださっき会ったばかりでほとんど知らないんだ。知っているのは月の住人だとかいうことくらいで…」
「月の住人…?何を言っているの?つまり会ったばかりの女の子を部屋に連れ込んでたってことよね。」
「違うんだ、なんか気づいたらベランダにいて倒れたから助けたってだけで…っていうかお前からも言ってくれよ!」
そう言ってかぐや姫(仮)の方を見る。というか毎度毎度かぐや姫(仮)と言うのはそろそろ長いのだが。
「仕方ないわね、説明するわ。」
そう言ってため息をつく。お前は何様なんださっきから。
「さっきも言った通りわたしは月の住人。地球に興味を持った罰で地上に来たの…たしか。気がついたらこの部屋で目を覚ましていて、それ以上のことは、名前すらも覚えてないわ。」
記憶喪失なのか?そういえば御伽話のかぐや姫も最初は何も覚えていなかったような…?よく授業で聞いておけばよかったな。
「しかしなんで俺の家のベランダにいたんだ?」
そのせいであんな行動を見られてしまったではないか。いや、でも気がついたら目を覚ましたってことは覚えていないのか。そうだろう。うん。
「よく覚えてないけれど、ランダムで選ばれるんじゃないかしら。」
よし。覚えていなさそうだ。
「でもこの話をどうやって信じろって言うの。なんの証拠もないじゃない。」
確かにひなの言う通りだ。突然現れたことを除けば家出少女の可能性だってある。
「ええ、別にあなたに信じてもらえなくてもいいわ。」
「な、なんですって?」
かぐや姫(仮)はそれを華麗にスルー。俺はどうすりゃいいんだ…
「とりあえずというか、なんというか、お前はどうしたいんだ?ずっとここにいるわけにもいかないだろ。」
「そうね。行くあてもないから泊めてもらえないかしら?見た感じあなたしか住んでなさそうで、空いている部屋がいくつかあるわ。」
「そ、そんなの許されるはずないじゃない!!!」
ひなが大音量で叫ぶ。
「じゃあどうしろと?この家を追い出されたかのたれ死んでしまうわ。」
「わたしの家に来なさい!!!部屋ならいくらでもあるから!」
確かにひなは大財閥のご令嬢だしどうとでもなるだろう。あの家の両親が許してくれれば…
「ま、まぁそれでいいんじゃないか。ひとまずはひなの家に泊まるってことで。」