今夜は月が綺麗ですねって本当に告白で使う人どのくらいいるんだろう
今でもまだ考える。学校に行かず引きこもっていた俺なんかの前になぜ彼女は現れたのか。
でもこれだけは言える。彼女と出逢ったことで俺の人生は大きく変わった、と。
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そう、あの夜はベランダから月を見ていた。とても綺麗な満月だった。
「今夜は月が綺麗だ…」
とか言って手を伸ばしてみる。はぁ、ひとりでなにやってんだろ。
「ええ、そうね。月は綺麗だわ。手が届かないから。」
……は?誰だ。今ここには俺ひとりのはずなのだが??
そう思い声のした隣をみると…すぐとなりに見知らぬ少女がいた
「は?え、だ、だれ、ととというかまさか今の聞いて!?」
そんな俺を見て少女は軽く微笑むと、
そのままふらりと倒れた。
…………………え??今この数秒でなにがあった??これはどうするのが正解だ??軽く思考停止してしまったではないか
はい一旦整理しよう。
まず俺はベランダで月を見ていました。
そこで後から思うと黒歴史確定行動をしていたら、気づかないうちに隣に知らない少女がいました。
そしてその少女はそのまま倒れてしまいました。
うん。わからない。
ええっとまずこの少女をどうにかしなければ。
ふつうに考えたら不法侵入で警察送りなのだが、いきなり現れてるし、まずいろいろとききたい。それにそもそも倒れているから連れてけないし、電話で言っても信じてもらえるとは思えない。
ところでベランダで倒れたって言ってるけど、どの向きでどう倒れるんだよとか思ってる人がいるだろうから説明しよう。
まずベランダの後ろに出入りできる窓が付いているのは想像がつくだろう。
その窓が今半分空いている。
その空いている側に少女がいて、部屋の中に倒れ込んでいるという状況だ。
いや俺誰に説明してるんだ。混乱してよくわからないことをしてしまった。
と、とりあえずこのままだと風邪をひいてしまうし部屋に入れるか。
それで腕を引っ張ったりしてなんやかんやでどうにか部屋に入れる。
ところで、さっきは動転してて気づかなかったがよくみるととても美人だ。
漆黒のロングヘアに透き通った白い肌、まつ毛も長いし、街角ですれ違ったら10人中8人は振り返るだろう。
それに姫カットで、ちょっと和風チックな服はまるで…
「そんなに見つめないでくれるかしら?」
「えっうああ!?、あ、ご、ごめん!??」
いきなり彼女が目を覚まし、俺はよくわからない声をあげる。
彼女は不審そうにこっちを見ている。いや不審に思うのはこっちだっつーの。
「あ、えぇっっと、あなたは、ど、どちら様で…??」
かろうじて何者であるのかを聞く。
「わたしは、言うなれば月の住人」
そう言って彼女はまた微笑んだ。そうさっき俺が思ったこと、それは
まるでかぐや姫のようだ