表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

第2話

   

 出来吉くんの説明によれば、話の始まりは、先月の日曜日。

 池で釣りをしていた彼は、眼鏡を落としてしまった。

 足元から結構深くなっている場所で、だからこそ魚もよく釣れる好スポットだ。あっというまに眼鏡は沈んで、完全に見えなくなった。

 僕と同じで、出来吉くんも軽い近眼。眼鏡なしでは日常生活を送れない……というほどではないにしても、不便なのは間違いない。

 困ったなあ、と思っていると、池の水面がピカーッと光って、水中から女の人が現れた。

 長い金髪に、真っ白なワンピース。まあ水中から現れる時点で普通の人間のはずもなく、いかにも天使とか女神といった雰囲気で、さらにそれっぽい言葉まで口にする。

「あなたが落としたのは金縁(きんぶち)眼鏡ですか? それとも銀縁(ぎんぶち)眼鏡ですか?」


 彼女は両手にひとつずつ、眼鏡を持っていた。出来吉くんの眼鏡と同じタイプだが、(ふち)の色だけが違う。右手の眼鏡は金縁、左は銀縁だった。

 それが欲しいとか欲しくないとかでなく、出来吉くんは、とにかく真実だけを告げる。

「いいえ。僕が落としたのは、普通の黒縁(くろぶち)眼鏡です」

「あなたは正直者ですね。そんなあなたには……」

 彼女はにっこり微笑むと、金縁眼鏡と銀縁眼鏡をサッとしまって、代わりに黒縁眼鏡を取り出した。

 自分の眼鏡を返してもらえる、と出来吉くんは安心したけれど……。

「……この特別な眼鏡を差し上げましょう。見た目は同じでも機能は抜群。あなたにピッタリですよ!」

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ