表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/35

-01-


僕はシュウ、基本的にソロの冒険者だ。依頼内容によってはパーティーを組んでるところと協力したりもするが、基本的はソロで冒険者をやっている。


理由は簡単、僕に協調性がないからだ。人間の感情の機微というものが、理解の範疇外にあり他者を不快にしてしまうのだ。そしてその理由も簡単、僕が人外の魔人種だからだ。



人間種にとって魔人種は魔王の手下にいる、魔族と混同されている。魔族は人語を話すモンスター種の中でも、人間種に部類される種族と姿が似ている複数の種族を纏めた総称だ。


魔人種は人間種と姿形がそっくりで人語を話す長命種であり、人間種だけではなくどんな種族とも敵対することのない種族だ。

魔人種は他の生きとし生けるもの全てに敵対する事はなく、生きとし生けるもの全てと違う存在だ。

分かりやすい違いは魔人種には種を残す事がない存在だという事だ。魔人種は方便上種族とされているが血のつながりは一切なく、とある事象によって肉体が変異した人間族や多種族の事だ。



その事象は魔素と呼ばれるこの世界を構成する元素が循環せず蓄積してしてしまい出来た、魔素溜まりが爆発して発生する魔素の嵐(マナストーム)と呼ばれている。

その魔素の嵐(マナストーム)に遭うと殆どの生物は生き絶えるが稀に、高濃度の魔素に肉体が対応して変異する事がある。変異し生き残った者を魔人と呼ぶのだ。

なので魔人種には元人間族や共魔女族、元エルフ族、果てには元モンスター種なんかもいる。僕が会ったことのある魔人は元人間種だけだけど、その魔人は元モンスター種の魔人に会った事があるそうだ。

見た目の変化とかはないせいで、魔人種は魔族と混同されてしまったのだ。




まあバレない様に拠点を移しながら生きるのに、冒険者は打って付けだったのだ。パーティーを組まなくてもソロで活動していける仕事だし、魔素に適応している魔人にとって世界のあらゆる場所が危険にならないし、戦う術は魔術で賄えるし。

魔術の発動に必須の魔素は魔人にとって、体内体外共に手足の様に簡単に扱える物だ。僕はあまり使わないけど。


扱える魔素量によって発動させられる魔術の種類や威力が変わる。魔法使いや聖術を扱う者達にとっては多分夢の様な事を簡単に出来てしまうのが、魔人だ。

そこに才能はなく、努力もない。

だからあまり使わない。

感情の機微は理解できないから、遠ざけるのには1番効率的だと思ったからだ。妬まれても理解できないし、対処法なんて分からない。


人の感情が分からないなら、深く感情を揺さぶらないな限るのだ。




人に紛れて生きている僕の言う事ではないけれど……。


ただ目的があるのだ。





僕には人間だった時の記憶がない。僕の会ったことのある魔人には元々の種族だっときの記憶があった、その魔人の会った事のある魔人にも。

ただ、稀に元の種族の記憶をなくす者もいるらしい。僕がそうだった様に。


僕は人間だった頃の記憶を思い出したい、だから人に紛れ様々な場所に旅をする事もある冒険者になった。

記憶を思い出して何かしたい事がある訳ではないけれど、何故か思い出したいと、忘れたくなかったとそう思うから。


その為に世界中を回るべきなんだと思っている。

だから自分の都合だけで動けるソロでいるのは、むしろ好都合だったのだ。何度か協力し合う事があり、パーティーに誘われたりもしたが。


冒険者ギルドではソロで活動している冒険者は僕の他にもたくさんいる。上げられるだけ階級は上げて、今はB級まで上がった。


冒険者の階級的は下からD級、C級、B級、A級、S級だ。

駆け出しの初心者が多く、仕事も雑用や低級モンスターの討伐程度のD級。それでもその日暮らしくらいは出来るけど。

1番数が多く討伐依頼や一般市民の旅の護衛依頼なんかもするC級。多分依頼が1番雑多で種類が多い。

そこそこな人数がいて、討伐依頼も街からだったり金のある商人とかからの依頼があるB級。指名依頼なんかが来だすのもここからだ。

一定数いるけれど、貴族なんかからの依頼をこなす事もある為人間性とかも評価対象になるA級。貴族から直接の依頼を受ける事もあるらしい。

一握りの実力者、王族や王から依頼される事もあるらしいと噂のS級。今は5パーティーぐらいしかいないらしい。




10年前ぐらいに魔人に変異してから、色々あって冒険者登録をしたのが5年前。順調な上がり方みたいだ。見た目年齢的には侮られやすいのだが、B級ソロのシュウでこの王都の冒険者ギルドでは少し名前が出やすいらしく、時々絡まれたりもする。

見た目年齢的が若く見えるのは面倒だと少しだけ思う。10代後半から20代前半の若造だとしても、年齢で見下して喧嘩売ったりするのは頭おかしい連中だけだとギルド長が怒り心頭になっていたけれど。


ここのギルド長は僕が魔人種だと知っている。というか、様々なギルドのギルド長以上は魔人種の事を理解している。勿論、王族や国の大臣以上の官僚なんかも魔人種を理解している。



ただの一般市民には知らされていない。魔人種が圧倒的に数が少なく、人前に出る事がないからだ。

魔人種が人前に出る事がある時は魔素に異変があった時、つまり世界に異変が会った時なのだ。だからこそ国の権力者や国が権力で変えてはいけないギルドの運営者のみに知らされているらしい。


僕が冒険者しているのは魔素に異変があったからだけが理由ではないけれど、国もギルド長も魔人種が、冒険者をしている事を知っている。




その目的も。

だからだろうな。

こんな事になったのは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ