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屍体の夢

 うろ覚えの中。かくも無罪だけを貼り付けた勲章に息を詰めた我々は、性懲りもなく悲観を最善と思いたかったのだ。放射する波を束ねて、ひいては世界そのものを編み上げるであろう辞書の旅路を、なにか正常なものの喩えに使い捨てしている。口裏に噛み合う歯車は白か黒かを奏でるなかで、誰かに届いた頃には無残に風化を繰り返して根を張った。偽物を壊すことが仕事だった。本物は貴重なものだったから。それすらも後悔の淵に打ち捨てながら、窓辺に群衆の幻影を見て動いているのが今日この頃の正しさである。神や我そのものは守られるために支え、気づかない振りを続けた結果残った摩天楼。未だに大切とは幻を希釈した希望的観測でできており、安心は無理より優先されるべきか。ほとぼりだけが繰り動かして、かつての大火も予言も音を失くし枯れると、凡例は千里を走る間に内臓を腐らせて、誰もが望んだ容器ばかりがあり触れる。もしくは今よりもずっと栄えた必然機械たちの熱的死に立ち会うまでに、鍵も鎖も愛の中に仕舞っておけるかどうかの問題だった。象りを滑らせてなお渦を誤認して、最適化という名の二つの籠にいろいろ詰め込んでは見捨て続ける日々が、僕らは嫌いではなかったのか。息をしていることが最悪なのだと、とうに気付いたものの無縁ばかりか、たどり着いた先の人間以前には選ぶために選ばれた目的と城がお似合いで役者不足だと笑わざるを得ない。洗脳を享受することも既に我々の部分として受け入れられ、反抗も犯行もそれそのものが秩序なのだと、憤りを暗く吐き出すことも所作のうちに潜んだ。いつかの法が叫んだ痛みの数々も毒ばかりにすり替えられてしまえば、鼓膜に張り付いた泥を落とす間も無く一日が終わる。罰だけが与えられる。その旨味に溺れながら、たったひとつのさえた生き方を忘れた私たちの行進が響いている。溜息に努めたものたちが埋まっている。破壊のような、ここは。表も裏も失われて、僕らは胡蝶の夢を見る。幾度も何度も見続けた滅びを忘れながら、目を逸らして、夢が覚めるのを、ずっと、恐れている。

2022/04/10

ナンセンス文学というものに挑戦してみようと思った事がきっかけでした。

当初は伏線を回避して矛盾だけを描くのだと息巻いていたものの、脳の構造上どうしても意味に引っ張られる。憎きシミュラクラ現象。

思いを改めて、湧き出る言葉を整理せずに取り敢えず書いてゆく方針で進めたものがこの作品です。

言語以前の抽象的なものが並べられた、素材の味が生きた何かになりましたが、自分の考えが整理された様な不思議な描き心地を持って出力されていました。

私たちは眠るとき、記憶と印象の統合を図って夢をみます。死んだ様に固まるそれは、生きる為の行いです。

この作品を書く行為は、私にとって起きたまま夢を見るようなものだったのかもしれません。

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