詩集「第四集」
あなたに歌を
作詩:たけぼんだぬき
僕の話を聞いてくれて
ありがとう
詰まらない話の方が多いかも
あなたはいつも優しい目で
僕を見守ってくれている
僕はいつも感謝している
でも言葉に出来ないんだ
照れくさいから
だから今日はあなたのために
歌を歌ったよ。
僕の愛用のギターでね
聞いてくれたかな。
きちんと最後まで
歌ったけれど
途中で息切れしそうになった
まだ体力が戻ってないのかな
君のために もっと大きな声で
君のいるその場所まで聞こえるように
歌えるように頑張るから
そこを動かないでね。
僕が昔のように
歌えるようになるまで
きっとだよ
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夢 思い
作詩:たけぼんだぬき
小川流れる 田舎道
一人の老婆が 腰を曲げ
肩に鍬を 担いでく
皺と染みが多い その顔は
私と出合って 笑顔に満ちあふれ
苦労をしてきた その体は
小さくなっているけれど
逞しいその腕は
まるで女性と思えぬほど
人生の重みなど 薙ぎ倒さんと
思えるほど
小路の中ほど
二人を隔てる 小さな小川
それを繋ぐ
木の橋一つ
その上二人 立ち止まり
交わす言葉は 天気と世間話
田んぼに続く畦道は
雑草生えて緑色
小川の水は透き通り
かわす会話に せせらぎの
音さへ 心ゆったりと
あの日の 夕暮れ
空舞うは
家路に帰る からすだけ
空は真青に 色あるも
その色深く かわりつつ
次第にあかねに 染まり行く
老婆の笑いが 我救う
優しき目には その人の
人生 全て見えるよう
我など 赤児同然と
思えて頬が 染まりける
夕日は次第に 西空に
赤く燃えつつ 沈んでく
遠きあの日の 夢思い
今も忘れぬ 老婆の笑顔
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「アメイジング・グレイス」を聞いて
作詩:たけぼんだぬき
空に まします あなたのみ手に
私は いつも包まれて 心を満たす
どんな 苦しみも
どんな 悲しみもなく
満ちあふれた いのちを
与えてくれる
誰にも 心を奪う事は
出来ないのだから
優しきあなたの 眼差しは
いつも私を 見守る
私のいのちは 既にあなたのもの
今は 一人で生きていない
いつもあなたが 側にいるから
私はいつも 穏やかにすごせる
大きな 愛のその御心で
私を 抱き
頬ずり 慰めて
くれるあなたを
永遠に 愛する
世界中の 人々たちに
あなたの豊かな 愛を
与えたまえと いつも祈る
平和な世界への 扉を
どうか あなたの
大きな 愛の手で開き
世界の大地に 平和のめぐみを
与えたまえ
世界中の 人々の顔に
笑顔が戻るまで
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愛のかたち
作詩:たけぼんだぬき
君を愛している
君は僕を愛していた
二人の間には 小さな溝さえ
なかった。
なのに 僕はつまづいた
石ころもないのに
突然目の前から君が消えた
君の姿を追い求め
人生という長い旅に出た
探しても探しても
どこまでいってもそれはなかった
くたびれ果てて 小さな洞窟に
潜り込んだ
闇だけが支配する 暗い世界
私は何も見えぬその穴で
一晩中 泣いた
答えのない 愛というかたちのない
ものを長い間 追い求めてきたのだ
君がいる時 そんな事を
考えた事もなかった。
いる事が 当たり前
そう 盲目だった私は
信じていたのだ
愛という形のないものを
あるかのように思っていた
その事にやっと気づいた
気づいたら 気持ちが落ち着いた
暗い暗黒の闇から出て
君がいるだろう方向に
大きな声で 名を呼びながら
家路をたどろう
君が そこにいるそんな気がするから
旅の終わりに 愛は形を見せてくれた
素敵な色と形の結晶だった。
涙と夢とそして 君への思いが
その形だった
それは旭日に照らされて光輝いていた
何者をも 壊せぬ硬い 硬い結晶となった
愛を求めた愚かな男が 代償のない
綺麗な金剛石を見つけるのに
人生の大半を使い果たした
だけど僕は 悔いはない
だってこんなに素敵な宝物を
手に入れる事が出来たのだから
さあ 家路をたどろう
いのちのある内に・・・
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おじいちゃん
作詩:たけぼんだぬき
町の中 買い物の帰り
いい天気なので ふらふらと
いつも顔なじみのおじいちゃん
とっても可愛い人
気さくで明るくて
話しかけてくる
おじいちゃん 昔僕の父と
予科練で 先輩後輩の間柄とか
父が亡くなった今でも
まるでわが子のように
親身になってくれる
へこたれていると
厳しい励ましも受ける
どんな苦しい青春をおくってきたか
想像もつかない
飛行気乗りとして 南方へも出撃
したらしい。
そんなお人柄と接していると
不思議に優しさが 父と重なる
父も怒ると怖い人だった
おじいちゃんはきっと父の
代わりになってやろうと
してくれているのだと
僕は思う
父が亡くなってもう四年
法事には必ず来てくれて
僕に父の事を話してくれる
そのまなざしが
僕を支えてくれてる
そんな気持ちがする。
心配ばかりかけている僕
厳しくも優しいおじいちゃん
他人なのにって思うけど
おじいちゃんには 自分の息子だと
思ってくれているみたい
ありがたいな。
父の分までいついつまでも
お元気でいてもらいたい
ありがとう おじいちゃん
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空は澄みわたり
作詩:たけぼんだぬき
通院の帰り道
とっても素敵な 讃岐富士
ついバイクを降りて デジカメで
休耕田に生えた草の緑と
優しい顔のお山がとっても
素敵に微笑んでくれて
すごいいい写真が撮れた
見事というほかない
きっとお山が機嫌よかったのかな
嬉しくなった。
ここ何日間か 雨とか黄砂の影響で
全然ダメだったから
今日はご機嫌だったんだね。
嬉しくてそれからの僕は
気分良かった。
今 僕は自分を見失いそうに
なるほど 追われている
怖いけど 充実してる
不思議??
今挑戦中の本は三冊
どれも読む時間が少ない
早く読み進めたい
お気に入りは 美丘
恋愛小説 表現が面白く
必ず一ページに 一回は笑う
何故か 笑っていると元気になる
人ってそういうものなのだと
思う
笑う事 いつも人を好きになり
恋すること
とっても大事な人の要素
これがない人がいたら
人生ってどんなに味気ない
ものになるんだろう
恋し 笑い 感動し 涙する
人の心の栄養源
美も 音楽も 芸術もそのために
あるものだって感じている
どうせ生きねばならぬいのち
暗い人生は損
生きてるだけで丸儲け
どこかのサイトにあった
その通りだと思っている
讃岐富士も 今日は大笑い
して喜んでいるだろう
草木も 花も
笑っているのだから
人生を苦しまず 楽しんでいける
目をもって・・・
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一人佇む人生の半ば
作詩:たけぼんだぬき
母の実家の近くの公園
一人 僕はそこの滑り台で
遊んでいた 誰もいない
鳥のさえずりと川の流れが
静けさを増していた。
平日の 昼下がり
何故 僕がここにいるか
母が僕の手を ひっぱるように
家から 出て行った。
否応なく連れてこられた
母は 泣いていた
学校から 帰ってきた僕は
ランドセルを 背負ったまま
連れて こられたのだ
母の泣いている顔が とっても
悲しくて 家にいられない事情が
出来たのだと わかった。
それから 静かな公園のベンチで
泣きながら 座っていた。
母が帰って こない
悲しさと寂しさとが 入り混じって
大声で泣き出してしまった
すぐに近所の おばさんが走ってきた
事情を聞くけど 僕は泣くだけ
答える事も 出来ないでいた。
そこへ母が 帰ってきた
おばさんに 頭を下げて
僕をおんぶして 母の実家にいった
夜寝ようとして母とおばあちゃんの
話し声を 聞いた
離婚すると いう話だった
僕はまた悲 しくなって小さな声で
泣いた。
原因はわからなかったが
親の異変は すぐに子供に伝わる
離婚話は 僕が小さいからまだ
可愛そうだ という事でおばあちゃんが
話を付けてきて くれたらしく
数日後に 我が家に帰れた。
僕の前では 何も変らない家庭にも
色んな事があるのだ と知った
僕にはある一時期の 不仲な父母の
お話だが 僕が大学にいった年に
今度は正式に離婚した。
二人の事を今度は 僕が説教した
いい年になって 何が離婚だ
一緒に メシ食べようと喫茶店に
誘って三人で 食べながら話した
母は 疲れ果てていた
父は頑固者だから 頭を下げた事がない
優しい心の持ち主なのに 何故か
母には素直に 言えない。
不器用な父 精一杯家族を守ってきた母
最後は折れて 離婚届けを取り下げ
戸籍に残る二人の傷跡・・・
悲しいけど もう二人はいない。
抹消・・・現実
今残る俺は そんな二人の思い出が
私の今の支え
いのちは つがれていく
今度生まれてくる時は 両親には
素敵な環境の所でしあわせにと願う
今日も夜が更けてきた
明日への栄養を養うように 静かな夜だ
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ありがとう(有難う)
作詩:たけぼんだぬき
朝はどんな人の上にもくる
病気で苦しんでいる人
経済苦にもがいている人
人の中で苦しんでいる人
人生に打ち拉がれている人
いわれなき暴力に泣いている人
国家の反乱に
いのちの危険に晒されている人
自由に発言できない
時代に生きている民衆も
家庭の不安に苛まれている人
時代は変っても
人が人として
生きている限り
様々な苦悩に対面しながら
人は生きている
それでも朝の荘厳な光を
放ちて 今日も太陽は登る
宇宙の尊厳は どんな国家権力を
もっても 科学の粋を集めた武力に
よってでも何人たりと その尊厳を
奪う事など出来ないのだ
誰人にも平等に
その恩恵を与えたもうのだ
人類発祥以前より
そこに厳然として
あり続けているのだ
その太陽もいずれ死を迎えよう
されど また新しき息吹をもって
宇宙の何処かの場所に
また現れ そこにまた
新たな生命を生み出していく
このダイナミックな宇宙の
一つが私たち人類
全てのいのちの
源なのだ
魚も 動物も 植物も
青き海も
青々とした大地すら
その恩恵なのだ
私はこのいのちの尊厳を
忘れるやからは
サタン(悪魔)であると
信じている
いかなる理論を述べ立てて
正義ぶった事を言い
その傍らで
いのちを奪う行為を行う
これこそ
人間の醜い いのち
それを 私は憎む
己の欲望を満たさんが為の
暴挙であると 断言する
我らを育むのも 大自然
我らを慈しむのも それである
ならば それに甘えて
いかにも自分が支配しているのだ
という錯覚に陥らぬように
しっかりと自分を見つめなおそう
必ず その恩恵は自らの上に
降りてくるのだ
自然を愛そう
言葉は言える
だが その本質は
自らの命を大切にするように
他のいのちも大切にしていく
その些細な 思い 願い
それこそが もっとも
大切な事なのだ
今日も荘厳な太陽は
静かに登り行く
永久の宇宙哲理の上に
なんと素晴らしい事ではないか
だから 私は大切にする
ありがとう という言葉を
ありがとう 有難い
有り 難い のだ
全ての人にありがとう
言えない言葉だ
だから
大切な人に 言おう
ありがとうと
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漆黒なる深海
作詩:たけぼんだぬき
深き海の底
光るものなき 世界
小さな生物 体も見えぬ
生命体の宝庫 地球
その多種多様なる姿
押し潰さんとする 水圧
噴出する 熱海水
マグマは 地深きより噴出す
地球に刻まれた
深き亀裂
高温の中に
バクテリアを食べる生物
おおなんと 神秘な世界
地球は生きている
愛する海 その見えぬ深き世界
どんなものも押し潰す 水圧
過酷環境に耐えて 生き延び
つながれている 命がある
その何と素晴らしき事か
そのなんと美しき事か
私の見えている世界など針の穴から
広大な空を見ているようなものだ
そこに雲があれば 穴から覗いて
空は白いというだろう
ある人は雨が降る空を見て
どす黒い色だというかも知れぬ
見えているものなど広大なものから
見れば点にもならぬ
虚しきかな両の目使ってみていても
この程度のものなのだ。悲しきかな
人生という旅もこれに似て
まだ見えているものは 点
深遠な海の神秘も
広大な宇宙も
人の一生の時間も 宇宙の時計から
見れば止まっているようなもの
巨大な重量を持つ物質の前では
その空間すら歪むのだ
いのちなどその前には何の意味もなさぬ
人がその貝殻に包まれて自分を守っている
限りその広大な海はわからぬ
だが裸でその海に出れば一瞬で
その環境につぶされるのだ
だから人は一人では
生きられないのだろう
弱き故に互いに愛し合い
守りあい 支えあい
そうして集団を作る
人への愛を持って
きらきらわが身を輝かせ
集団が大きさを大きくし
家族がいのちをつなぎ
そうして人は
この地上に存在してきた
おおなんと素晴らしい
生命
人生
友よ 共に語り合おう
友よ 共に愛そう
友よ 共に敬愛し合おう
輝く 未来のために
漆黒なる深き海の
その神秘さに
負けぬように
いのちを輝かすのだ
君のいのちに
私のいのちに
乾杯だ
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眠りの中にいる君
作詩:たけぼんだぬき
カテゴリ:恋
もうすっかり 寝入っている君
静かな この夜の中で
君の寝顔だけが 可愛く見える
輝くその頬の光は
僕を眩しく照らし
その寝息はとっても
気持ちよい音を奏でている
疲れていたのかな
話をしている少しの間に
君は僕を置いて夢の中に
取り残された僕は
仕方なく
枕もとの
小さな明かりを灯す
ステンドグラスに似た
水差しのきらきら輝く
透明な水を
コップに注ぎ飲み干す
そういえば こんな安らかな
穏やかな 一時は
なかったね。
いつか君の胸に顔を伏せて
泣いた時以来かな・・・
それから僕は
単行本を取り出して
読み始める
詰らない恋愛小説
いつもは君に叱られる
暗い所で読んじゃダメ!!
分かっているんだけど
眠れぬ夜はこれがいいんだ。
大抵は読んでいるうちに
眠ってしまって 次の日に
また暗い所で本読んでたでしょ
て怒られる
窓の月明かりも 程よくて
爽やかな風が 窓を通して
入ってくる。
こんな夜は妖精がくるんだって
言っていたね。
小さな愛の妖精・・・
真っ白な長いドレスを着ている
んだって。ホントかな。
僕は妖精なんて信じない
だってみたもん。って言い張る君
僕にとっての妖精は君なのかも知れない
月の光が君の寝顔に当たって
とっても綺麗だよ。
夢は楽しいかい。
僕も眠くなってきた。
おやすみ。
僕の妖精さん。
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宇宙は魔術師
作詩:たけぼんだぬき
寒空の星
今宵は寒い夜だ
息が白くはならないけれど
冷え込んでいる。
空には一点の雲もない
見事な星が見えた
透き通ったその碧黒の空に
きれいに並んで光っている
こんなすっきりとした空は
久しぶりだ。
周りが明るすぎるから
暗い場所まで歩いた。
そして見上げた空はさっき
見えなかった小さな星まで見えた
どうしてこんなに綺麗なんだろう
今そこにある星の光はいつ頃
その星から出て行ったのだろう。
僕の目に入った光はおそらくずっと
過去の光なのだろう。
もしかしたら見ている星は既に
ないのかも知れない
そう思うと益々星たちが
可愛く思えてきた。
長い悠久の時を超えて
地球に届いた今の光
僕は 今過去へ旅をしている
のだろうか。
そんな風に思えて嬉しくなった
生まれるずっと以前のものを
今この時見れるのだから
やっぱり宇宙は広くて神秘的
さえある。
宇宙は魔術師なのだね
きっと
だってないものを
出して見せているのだから
見ていると永遠の時を旅する
トラベラーな気分になれて
面白かった。
きらきら揺れて見える美しさ
空気のいたずら
でもそれが一層可愛く見えるんだ。
ここから見てあの大きさで見えている
星って実際はどんなに大きいのだろう。
それを考えながら帰ってきた。
今夜はあの星へ旅する夢でも
見ながら楽しみたいな。
朝が明けるまで
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35歳 自らへの誓い
作詩:たけぼんだぬき
仕事で行き詰っていた
もう二進も三進もいかない
そこまで追い込まれていた。
その日の夕方 会社の同僚から
電話があった 今日は友人宅で
宴会をしているという
毎日が面白くない時期だった
お酒と聞いて喜んで行く約束を
して7時ごろ家を出た。
車はやめろという親父
気持ちが不安定な時期
その言葉に頭にきた
うるせーーーー
怒鳴って 車で出かけた
父の言葉を聞くことすら出来ない
自分がいた。
運転席へ いつものポールのサウンド
と共に 車を走らせる
ランサー だったがエンジンの状態も
良くちょっと踏み込むと
すぐに80kmは出た
快調に山道を抜けて友人の街へ
最高の気分でぶっ飛ばした
町中をタイヤを軋ませて
走る爽快さは 最高だった
全てを忘れられた
そして友人宅へ
そこの親父が出てきた
笑顔で迎え入れてくれた
友人と親父殿 そして僕
夜中近くまで飲んだ
もう帰ろうとしたとき
友人の親父が今日は泊まっていけ
という
泊まれば良かったのだが
僕はそれから海岸線へ
車を走らせたかったのだ
友人もとめた
振り切って車をぶっ飛ばせた
海岸線の闇から聞こえる
風の音 波の弾ける音
たまらずにアクセルを踏み込んだ
次の瞬間だった
小さな子犬が一匹道路に
出てきた
それを除けようと急ハンドルを
切った
車は回転ながら海岸線の防波堤に向って
横滑りして行く
もう止める事は出来なかった
次の瞬間 グワーーーンという音が
耳を劈いた しばらく記憶がない
ぼわーーーとした状態で気がついた
側面のドアは見事につぶれていた
車も何回も回転したのだろう
周りは潰れまくっている
ただシートベルトをする癖が
僕を救った
慌ててシートベルトを外し
外へ出ようとしたが 扉が開かない
焦った左の後部の窓が割れていた
そこから外へ出る事が出来た
酔いも覚めて そこから歩いて
少しの所に 民家があったので
そこまで行こうとしたが歩けない
足をひどく打ったようだ
必死になってその家までいった
そこで救急車を呼んでもらった
幸いにも足を強く打ったのと
シートベルトで胸を打ちつけて
全治一週間の怪我で退院する事が
出来た
勿論飲酒運転なので後で罰金を
支払う事になったがそれだけで
済んだ。
事故処理の警察官 車のディーラー
は車を見て既に死んでいると思ったらしい。
レントゲン室にいると外で医者と話していた
遺体はどこですか? って聞いていた
俺はここだ 生きている って怒鳴ってやった
警察官はびっくりした顔をしていた
あの顔は滑稽だった
そんな馬鹿な事ばっかりしていた俺が
こうしてこんな情けない病になっても生きている
大切な友はあっという間に亡くなって
世の中不思議な事だらけだ
だから俺は自分のいのちだと思っていないのだ
死んでいったあいつ等の分まで生きなきゃ
ならない。
生きられる人間は どんなに辛くても苦しくても
いき続けなきゃならない。
そう思うようになった
今ではこんなおじさんになったけれど
あの無茶な時代が嘘のように感じている
大切な一生を生きられるうちは精一杯に
それが俺の強い意思だ
いずれは お呼びがかかるだろう
その時までは 悔いなきように 精一杯に
いき続けよう
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永久の歌
作詩:たけぼんだぬき
あなたの最後のメッセージ
病室に ありながら
病との闘いで あなたはそれでも
恩師のために 歌を歌い続けた
その姿は まことの天使だった。
いのち終えるまで
人のため
働いた あなたの
透き通った その愛は
まるで 清流の流れにも
似て綺麗だった。
最後の 最後まで
あなたは いのちの全てを
燃やし尽くそうと するかのように
ぼろぼろに 疲れ果てた体を起こし
その手に ボイスレコーダーを握り締め
いのち あらん限りの歌声で
この歌を歌われた
ああ なんと素晴らしき人生
ああ 何と清らかな声
ああ なんと輝かしき いのち
この歌は 私の人生の灯火と なってくれた
絶え間なく襲い来る 病の誘い
それに立ち向かわれ 最後の最後まで
人のため 友のため 大切な人のため
渾身の力を振り絞り 歌われたこの歌声
もう二度と 戻らぬ あなたの姿
悲しみと 苦しみと 悲哀のうちに
私は 一人ここに佇む
あなたの いのちの声だけが
私の道しるべ
私は今日も 後ろ向きに倒れた
いつまでも 続くこの不安は
誰人にも 分からぬ定めなれど
あなたの声が 私に生きろと訴える
大切ないのちを守れと
涙 溢れて止まらず
胸の痛みも 伴いて
意識薄れる その中に
あなたの声のみ 響き渡る
気が付きし時
車窓の外で小鳥のツガイ
戯れぬ
黄色き花の 色冴えて
我 既に天国やと
思へども そこに人影
みえしとき 生きていたと
気づかされん
まだいのち繋がりしを
喜ばん。
あなたの歌はもう既に
わが胸深く鳴り響き
消ゆることなき
永久の歌
わが身 歓喜に打ち震え
受け継がれしいのち 大切に
未来永劫 鳴り響け
天使の歌声
また聞こゆ
生きる感謝の 言葉なし
今日も我は 生き延びん
あなたの声と 二人連れ
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一枚の葉書
作詩:たけぼんだぬき
今日来た葉書 懐かしいあなたの名前
大学時代世話になった Hさんの悲報を
知らせるものだった。
わざわざ送ってくれた大学の先輩
ありがたいと思った
一番学生らしくない学生だって
笑っていたあのHさん
もう会えなんだなって
ふっとあなたの笑顔が浮かんだ
いつも優しくて腹を空かせているのを
知っているかのように
今日多く作ったの食べて。
お皿は・・・
そして持ってきたお鍋から
いっぱいよそってくれた。
ありがとうございます。
ああ、いいのよどうせ食べられないから
そういって僕ら学生は何度助けられた事か
電話も勿論大家さんの電話を借りてかける
小さな缶の上に下手くそに空けられた細長い
隙間から10円入れるだけ
それでも大家さんは一度も少ないとか
いった事がなかった。
親からの電話もどんなに遅い時間でも起きてきて
ベニア板の戸をびっくりするくらい叩いて
起こしてくれた。
飲んでガラス窓を割ってしまった事があった。
飛んできてくれてさぞや怒られるだろうと
覚悟して正座していたら、怪我はない?
大丈夫?って心配してくれる人だった
Hさんはとっても怖い雰囲気のおばさんだが
何故か下宿生には優しかった。
あのおばさんもう87歳になっていたんだね。
天寿全うの人生だったようだけど
とっても悲しい気持ちがした。
もうあのHさんの愛犬ペロはもう死んでいる
だろう。
馬鹿な犬だったけど、どこか慌てん坊の
ワンコ。
オスだったけれど、僕らが電話する時
階段の途中に座っていると、僕の脛を
メス犬と間違えて交尾の姿勢をとるのが
面白かった。
その度に大家に怒られていたっけ。
手洗い場も共同だし、トイレも共同
お風呂はないから銭湯へ
冬は寒い手洗い場、そこで米も磨ぐ
今はもう見ない御影石のような石で
作られた流しだった。
小さな豆電球で米の水の量が見えなくて
磨いだ後、部屋に戻って窓からとぎ汁を
捨てて大家に怒られたものだ。
みんな一枚の葉書が届けてくれた思い出
素敵な時代だった
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出会いの奇跡
作詩:たけぼんだぬき
あなたと 出会わなければ
私の人生は 変っていた
あなたと話が 出来なければ
こうして楽しい時間を
過ごせなかった
あなたと 触れ合えなければ
あなたの 笑顔を見ることは
出来なった
あなたと 出会わなければ
今の時間は 存在しなかった
私が ブログを始めなければ
あなたの声を 聞けなかった
あなたが ブログを始めなければ
あなたの声を 聞けなかった
私が ポエムを始めなければ
私の歌を 伝える事はできなかった
あなたが ポエムを始めなければ
あなたのポエムを読む事はなかった
あなたと 会えなければ
私の人生は 変っていた
そうであるように
私と出会った事が
あなたの人生に 少しでも
違ったものになったと 言ってくれる
そんな自分になれれば と願っている
あなたに会えて 幸せ
あなたに出会えて 嬉しい
あなたと触れ合えて 幸せ
あなたの声が聞けて 嬉しい
私も あなたにとって
そうで ありたいと
そんな自分になりたいと
輝く 今のこの思いを
輝く いのちの触れ合いを
すべてに ありがとうと
私は いいたい
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寝台の旅
作詩:たけぼんだぬき
岡山 東京間をつなぐ 寝台列車
瀬戸号
もう今は寝台特急 サンライズ瀬戸
と名前が変るだけでなく
寝台特急サンライズ出雲列車とつながれ
一緒に東海道を走り抜ける
寝台は様々な客の夢を乗せて走る
大学入学のときもこの列車だった
夏休みの帰郷もまたこの列車だった。
もう永く乗っていないが僕の若き日の
いい思い出だ。
岡山でちょっと時間があるので売店へ走る
今は出来ないが、昔はできたのだ
酒のつまみに、竹輪とスルメこれが
僕の好物だった
夜の闇の中に灯りが前から後ろへと
通り過ぎていく
踏み切りを通る時の
警報音が近づくと高くなり通り過ぎると
低くなるそれもまた酒のつまみだ
流れ行く闇の中に建つ家々
どの家にも家族がいる家庭がある。
ここからは見えないけれど
もれてくる明かりにその温かさが
伝わってくるようだ。
酒はいつも オールドウイスキ井に
決めていた。
ちょっと小さなボトルの小型だるま
と僕は呼んでいた。
可愛い顔をしたウイスキ井が
僕の旅の友 そのうちに眠くなる
ベッドはいつも下段を予約
トイレにもすぐ行ける
体を揺さぶる振動と
踏み切りの警報音が
僕を夢の世界へ誘う
心地よい時間だ
何ものにも支配されず
のんびりと目的地へ行ける
朝の日差しが僕を起こすまで
雄大な夢を見ながら僕は
眠るのだ。
明日の朝 待っている友の
顔を見るために・・・
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小さな心の物語
作詩:たけぼんだぬき
下弦の月の 出る夜は
赤く見える 弓ありて
暗き空に 光 撥つ
空気も重く 地を掃いて
我が心に 染入らむ
傷を癒すと 空語り
我の思いも 和みなん
下弦の月が 我照らす
月の笑みのみ 我救う
暗き 夜には この月に
わが身連れて 君が元
我 連れゆけと 月にとう
心の傷さえ 癒されぬ
虚空の 空に 昇り行く
君が姿を 追いかけん
下弦の月の 出る夜は
小さき 夢さえ
我 癒す
ああ この夜に
君の面影 月に見ん
涙 流れて 風撫でる
君のま白き 手のように
優しく我を 慰めん
下弦の月が 出る夜は
優しく心 慰めん
君が み胸に 顔うずめ
空へ響けと 泣叫び
安らか 思いに 浸りたし
下弦の月の 出る夜は
赤き弓持つ 君が身を
そこに我 見て 嘆くらん
下弦の月の 出る夜は
細まる月に 悲しまん
小さな 心の 物語
そっと 我に 聞かせたまえ
君の歌声 共に乗せ
歌のシャワーが
わが身に 注がん
嬉しき思いの 夢を見て
いつぞや 心も落ち着かん
下弦の月に 礼を言う
空に にっこり 微笑みて
我を見守る 下弦の月あり
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桜並木の海岸線
作詩:たけぼんだぬき
桜並木の 海岸線
波の音が 通り過ぎる
海岸線に 一人の女性が
ブルーの ノースリーブ
スカートは 淡いピンク
風にスカートが 揺れていた
手にサンダルを持ち
海に向って 佇んでいる
僕は車から降りて 一言
声をかけようかと 思うのだが
その後ろ姿は 何故か
僕を 寄せ付けようとしない
桜が 綺麗ですよ
それだけ言えれば
話ができる。
どうしたのかも 知りたい
でも 出来ないのだ
何者をも 拒むように
太陽にきらきら光る
波打ち際の海が
まるで彼女と大切な
お話をしているように
僕を避けているのだ。
あなたの心に 溶け込む
余裕など 微塵もないかのように
ただ虚しく
通り過ぎる風だけが
桜の花びらを 散らしている
あなたの姿と 海が溶け合って
海の妖精のように 通り過ぎていく
車から思い切って降りる
そこには 砂に汚れた ピンクの
サンダルだけが上向きに落ちていた
僕の目の前を 小さな桜の花びらが
まるで蝶のように 舞って
落ちていった。
波の音が 何かを唄っている
清らかな メロディが
耳を通り過ぎていく
春の夢か 幻か
多分 それは 花びらの
いたずらなのかも 知れない
真昼の太陽は 僕の体に
気持ちよい 暖かさを
もたらして くれている
春の爽やかな ひと時の事
桜並木の 海岸線の
一瞬の できごと・・・
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おかあさん
作詩:たけぼんだぬき
川面に映る ネオンの灯
まだ幼い時、町の繁華街
駅の側 小さな川が
流れていた
その水面は澄み渡り 夏の暑い日
子供たちがパンツ一つで飛び込む
姿があった頃
大きな鉄骨の枠組みで組まれた
広告塔が建っていた
川をまたぐように立つそれは
夕方になると、ネオンの文字が
彩り 様々な色に変化する
僕は父母共に 共稼ぎだったから
子守を雇ってその家に 預けられていた
母が帰ってくるのは 夜7時頃
それまでは 子守の家にいる。
僕は夕方4時半を 過ぎると
僕はグズッタ。
実は愚図る必要はないのだが
そうするとその家のおじいさんが
僕を背負って散歩に行くのだ
それを僕は知っていた。
そしてその広告塔を 見たいがゆえに
そうするのだ。
今日もおじいちゃんは 僕を背負って
昔の子守唄を歌いながら
ゆっくりと歩いていく
いつも通る道をいつも通る時間に
そして駅のほうに 向っていく
あの広告塔がある 場所まで
その場所へ着くと 僕を背中から
ちょっとでも高くしてやろうと
押し上げるのだ
まるで子守唄のようにいうんだ
点いた 消えたあ ついた きえたあ
とネオンが切り替わるたびに声を出す
その声は 僕を眠りに誘っていく
夕方6時 暗くなってきた時
町の中に こんぴら船々の曲が
流れる
こんぴら ふねふね
おいてに ほかけて
シュラ シュシュシュ
まわれば しこくは
さんしゅう なかのごおり
ぞずざん こんぴら
だいごんげん
いちど まわれば(まいれば)
ゆっくりと曲が僕を幻想の世界へ
誘うのだ。
すっかり夢の中の僕は
少し目が覚める時がある
母が迎えに来る時だ
夜遅い時もある。
小さな僕を軟らかい寝着で包んで
大切に背に背負い 帰っていく
ネオンと 母の優しさと寝着に
包まれて 僕は大きく育ったのだ
あの時 母の体は 限界にまで
来ていたのだ
本来私は 生まれていなかった。
母の生まれ持った持病 腎臓病
いつも母の体はぼろぼろだったのだ
医者からも産めば死ぬ とさえ言われた
母・・・
僕を抱きしめたい その一念が
僕に生を 与えたのだ
自分は死んでもいい お腹の子を
抱きしめてやりたいと 父に言ったそうだ
父は堕胎する事を 強く言ったそうだ
でも頑として 聞き入れなった母
母亡くなりし 後 遺品を整理していると
母の遺言が出てきた。
私がもし この子を産んで死ぬ事が
あったら この子には十分な教育と
いつも優しい 心を持つ子供に
育てていって欲しい と書かれてあった
僕が知ったのはもう社会人として
働いていた頃 既に母はなく
あのネオンと 母の優しい思いが
僕をここまで生き延ばさせてもらえたのだ
死んでもいい 僕を抱きたかった母
涙 溢れて止む事はない。
ありがとう
4月20日 母の誕生日
父もいないけれど 僕がささやかな
お祝いの花束をお仏壇へ
飾らせてもらうからね
いのちを捨てて
いのちを守ってくれた
本当にありがとう。
おかあさん
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早朝のメロディ
作詩:たけぼんだぬき
朝靄の 空気を優しく
慰めるように 今日の
あなたは ゆっくりと
東から 顔をあらわす
あなたの あたたかな
その包み込む 優しさは
私の心に メロディを奏でる
早朝のひと時 もっとも
安心感に 満ちあふれたこの時
一枚のCDをかける
debut(辻井伸行)
この中でもお気に入りの曲
川のささやき
この旋律を 聴いていると
どんな嫌悪感を 自分に抱いていても
その思いは どこかに流れ去っていく
あなたに見えている 川の流れは
どのようなものなのだろうか
雄大な大河の流れか
それとも
故郷の町なかを 流れる川なのか
素敵なメロディに 思いを馳せる
早朝の薄暗き その狭間に流れ来る
清らかなメロディは 私に大いなる
安堵感と優越感にも似た
爽やかで落ち着いた
世界を与えてくれる
一番お気に入りのCD
今 かなたの山々から
流れ下る清流は
私の中を 通り過ぎて大海へと
流れいるのだ
私の醜い いのちの垢を
洗濯するかのように
洗い去り
爽快感をこの場に
与えてくれる
今日も新しい 自分の出発
爽快な旅立ちを
ありがとう
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