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8話目 調査の目的

「お互いの紹介も終わったことだし、ここであなた方旅団の調査隊の目的を聞かせて、いただけますかな。

だいたいのところはカロリーナさんより伝わっては来ていますが、正確なところはやはり調査隊の責任者から語っていただきたいと思います。」


「わかりました。

アンドニさんが私たちの調査の協力者、エルフ族の方を取り仕切っていただける方と言うのであれば、是非に聞いていただきたいと思います。」


話を始めようとしたときに、ドアがノックされ、女性職員がお茶とちょっとしたお菓子を出してくれた。


「まずは、のどを潤してから、お話をお願いしますね。

大事な話だと思いますので、語り残すことかないように落ち着いて話してください。」


「わかりました。それではいただきます。」

「やったぁ、お菓子だ。どれどれ。」

「ソニア様、お菓子ばっかり頬張らずにお茶も飲んだ方がいいですよ。」

「そうですよ、ソニア様、こんなにおいしいお茶は滅多に飲めませんよ。」

「お茶よりもお菓子。

きっと、屋台では食べられないような上品なお菓子に違いないよ。・・・・、うまっ。」

「じゃ、私の分もどうぞ。」

「タイさん、余りソニアちゃんを甘やかさないでね。お菓子以外食べなくなりそうだから。」

「おねえちゃんのいけずぅぅぅ。お菓子もっとくれぇぇぇ。」



「ソニアさん以外は落ち着いたところで、先ほどのお話の続きをお願いできますか。エリナさん。」


「わかりました。我々の最終目的は各種族の衰退や滅亡を何とか食い止めることです。

衰退の原因を明らかにして、そしてそれに抗う方法を見つける。

カロリーナさんやソシオさんを通じて、ご存知かと思います。」


「各種族の衰退については把握しています。


特に獣人族はまずいですね。

2000年前に彼らの領土に突然、我々エルフ族がやってきて、当初はお互いにうまくやっていたはずでした。

しかし、1000年前に突然魔族が侵攻して、魔族が彼らの暮らしていた中心地を占領してしまった。

どうもそれが遠因のようなに思いますね。


人類は魔族との戦闘による生存領域の減少で、じり貧になってきているというところでしょうか。」


「そして、魔族とエルフ族は原因不明の寿命の短縮と魔力の減少。

両種族はもともと寿命がかなり長いですが、それでも短くなって、特に魔族は人類並み落ちてきていることがわかりました。」

「エルフ族の方はその通りですが、魔族の方はそこまでひどいことになっていることを把握はしていませんでしたね。

その情報をどこで仕入れたんですが。」


「人類の2大恐怖様からと言ったら納得してもらえますか。」

「・・・・・・、人類の2大恐怖様様からねぇ・・・・・、わかりました。これ以上は情報の出所については聞きません。」

「ご理解が早くて助かります。さすが王族と族長会議の事務局長をされている方ですね。」


「タイさん、どういうこと。」ヒソ

「ソニア様、エリナさんのお母様になんで真の大魔王様と呼ばれているか聞けますか。」ヒソ

「無理、あの執務室には行きたくないし。それにその二つ名の由来を本人が知っているとは思えないし。」ぼそ

「そう言うことですわ。」ぼそ

「タイさん、私も何となく理解しました。」ヒソ、アイナさん


「魔族に関しては、実はもっと重要な情報を我々旅団は入手しているのです。」

「それも当然、2大恐怖様様経由ですよね。」

「はい。」


「情報の内容は聞いてもいいのですか。」

「もちろんです。この話を半分でも信じていただかないと私たちの調査が進みにくいと思います。」

「わかりました。個人的に信じられない事でも、あなた方の調査に協力する者としては、取り敢えずは、無条件に信じることにします。」


「魔族は人類領に10年滞在すると、その子供は元の寿命に戻ると言う話なのです。」

「えっ、そんなことは信じられません。・・・・・・いや信じることにします。

事実だとの前提で先を聞かせてください。」


「魔族の生まれ方と魔石についてはご存知ですか。」

「確か魔族が生まれるときには死んだ親族が残した魔石を取り込むことが必要だという話ですよね。見たことはありませんが。」


「先ほどの話をより正確に申しますね。

人類領で10年以上滞在した魔族が亡くなった後に残す魔石は、人類領に滞在しなかった魔族に比較してたいそう大きいそうです。

その大きな魔石をもらって生まれてくる新たな魔族は寿命が本来のものとなるということの様です。」


「つまり、魔族が人類領に滞在すると体の魔石が大きくなるということですか。」

「我々旅団はそのように考えています。」

「そのようなことが、信じられないが・・・・・。

あっ、あなた方の調査の目的が見えてきました。」

「さすがですがは事務局長、ソニアちゃんの従兄ですね。」


「我々王族で人類に移住していた経験のある者の寿命と、人類領に滞在したことのない王族の寿命とを比較して、魔族で起こっていることがエルフ族でも起こっていないか確かめることですね。


わかりました、すぐに調べます。

明日の夕方には調査の速報が出せると思います。」


「そんなに早く。

よろしくお願いします。


もし、予想通りの結果が得られたら、なぜエルフ族の寿命が短くなってきたのか、その理由を明らかにする手助けになると思います。」


「そして、エルフ族の衰退を止めることが出来ると・・・・・・・、いや、魔族と同じ方法ではだめだね。


エルフ族は人類には移住できない。

数家族だったらまだしも、多くのエルフ族が人類領に移住することは2000年前の種族間の戦、争った3種族が滅亡寸前までいった頃に逆戻りですね。

魔族はそれをいとわなかったということでしょうか。


我々エルフ族は衰退したと言っても他の種族よりも長い寿命を持っているからね。

種族間の戦で命を落とす方が滅亡を早めてしまうな。」


「私の夫もそう考えています。」

「まずは何故衰退しているかを明らかにして、元の共存ではない方法を考えるということしかないですね。」

「わかっていただいたようで何よりです。」

「人類領に魔族が侵攻した理由はそれだとしても、なぜ同時期に、エルフ領、いや獣人族の住んでいる地域に魔族は侵攻したんですかねぇ。」


「夫は、今日、そちらの調査をするために東の魔族の占領地に向かっているところなんです。」


「そちらの協力依頼も来ていましたね。

我々エルフ軍では攻めるどころか、中を伺うことすらできません。

旅団の第3小隊であれば何らかの打開策を見出してくれることを期待しています。

我々からは案内役を派遣しています。城壁都市で合流してくれると思います。」


「お姉ちゃん、エルフ族の気になる点がもう一つあったわ。

私のようなエルフ族と人類のハーフの寿命についても伝えて、調べてもらった方がいいと思うよ。」

「そうだったわ。伝え忘れるところだった。」


「何か追加で調査したい点があるんでしょうか。」


「実はソニアちゃんのようなエルフ族と人類のハーフの寿命はエルフ族のそれと同じぐらいだと聞いています。

普通に考えるとエルフ族の寿命が400年、人類のそれが70年とすると、ハーフはその中間の250年ぐらいだと思われるんですが。

なぜ、ハーフはエルフ族の寿命になっているんですかね。」


「確かに言われてみればそんな考え方もできますね。

う~ん、私はエルフ族なんでハーフの者も同じぐらいだという事実に疑問を持っていませんでしたねぇ。

わかりました、一緒に実態を調べてみましょう。

何か思いがけない事実が出てくるかもしれませんね。」


「よろしくお願いします。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


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