7話目 恒例の紹介 事務局長編
「カロリーナさん、本当に失礼かとは思いますが、この方たちと交流を続けても大丈夫なんでしょうねぇ。」
「事務局長、定めです。神の試練と思ってあきらめましょう。」
「君は良いよね神の恵みを得たから。
旅団の中隊長さんとここにいる第3小隊さんは交渉の余地がまだあるにしても、手と口から炎を出してエルフ領を灰にするお方とか、エルフ領でぼったくってパンツまで取り上げるお方とか、とても交渉になるとは思えないのだけれど。」
「あっ、事務局長様、よろしいでしようか。」
「なんですか、えっと、エリナ調査隊長殿。」
「実は夫のシュウ、旅団の第3小隊長より、炎の方とパンツの方の話が出たら次の言葉を伝えるように言われています。お伝えしてもよろしいでしょうか。」
「第3小隊長だってぇぇぇ、聞くと大変な事になりそうですが、聞かないわけにはいかないんでしょう。」
「聞かないと炎がエルフの森を焼き払い、通った後にはゴマ粒さえ残らない不毛の大地が出現するかも、しないかも。です、はい。」
「エリナ調査隊長殿、旦那さんからの伝言を聞かせてください。」
「それではお伝えします。
我が夫は次のように言っておりました。
"カロリーナを人類で引き取ったんだから、代わりにエルフ族は駄女神を引き取れ。それが対等な関係と言うものだ。"」
「ぽっ♡、カメさんに引き取られちゃった。ぽっ、♡」
「うん、さすがお兄ちゃん、外交の基本、おたがいwin-winの関係を築けか。
まさに、その通りだよね。タイさん。」
「私もそれでいいと思いますわ。」
「ちょっとまってくれぇぇぇ、確かにカロリーナさんをカメさんが、駄女神さんを甥のソシオ君が引き取ったのは良いとしよう。
でも、よく考えてほしいんだが、win-winの関係だろ。
ほら、やつはどうするんだ、やつまでなんでエルフ領にのさばらせることになるんだ。」
「んっ、やつとおっしゃいますと?」
「わざとでしょ、わざと忘れているふりをしてるでしょ。もう一人の奴を。」
「んっ、もう一人の奴って誰だ。お姉ちゃんわかる。」
「奴と言われても、駄女神さん以上の奴はそうそういないわよ。」
「んっもう、わかっているくせに、知らないふり話にしてよ。
ヤツですよ奴、パンツのことですよ。パンツ。」
「タイさんパンツって誰の事。」
「さぁ、そう言った方は存じ上げませんわね。
パンツでしょ。う~ん、アイナさんは同じエルフとして心当たりはあるかしら。」
「私もパンツは必要としますが、知り合いにパンツと言う方はいませんね。」
「んっもう、わざとてしょわざと。さっきのケツの毛の話の奴でしょ。」
「わかった!!」突然ひらめいたソニアちゃん
「漸くわかっていただけましたか。」
「ケツの毛さんが恥ずかしいのでパンツさんを必要としているんですよね。
う~んっ、しょうがないケツの毛さんのために王都の屋台で買ってきてあげるからサイズを教えてちょうだいな。」
「・・・・・・・・・」
「越後屋さんの事だと思うよ。」
「パンツちゃんじゃないんだ、越後屋の事かぁ。
だったら、初めから越後屋と言ってよ。
越後屋は駄女神のおまけなの。
ソシオさんに駄女神のお守のついでに面倒を見てもらうつもりだから、一人にカウントしないことを人類の2大恐怖の方々が決定したんだから。
納得いかないなら直接2大恐怖の方と交渉してきたらいいと思うの。」
「・・・・・・・人類の2大恐怖にクレームを付けに・・・・・・12魔将を瞬殺する第3小隊のさらに上に君臨する2大恐怖にクレーム・・・・・・
なんだぁ、ちゃんとwin-winの関係を既に築けているじゃあ~りませんか。
それで行きましょう。風の聖地はマドリンの先のバルデス山脈の奥にあるんですよね。
何だぁ、全然OKじゃないですか。
そんな遠くなら王都まで影響ないもんなぁぁぁぁぁ、炎もパンツも。」
「2回の転移で直ぐ来れるよ。5分で来るよ。」
「・・・・・・・・・」
「どっしたの?」
「・・・・・・・・・」
「?」
「そういえば私の紹介がまだでしたね。
私はエルフの国の政の最高機関、王族と族長会議で事務総長をしております、アンドニと言います。
父は国王で、兄は王太子のソフロニオ、先ほど話が出てきた駄女神さんの婚約者のソシオ君の叔父です。そういえばソニアさんのいとこでもありますね。
よろしくお願いします。同族として、決してわたしに人類の2大恐怖をけしかけないでくださいね。守ってね。」
「奥様こいつも甲斐性なしぃ~ズの一員ですわ。」メイドさん
「シュウと関係が出てきそうな男性は8割は甲斐性なしぃ~ズなので今更驚かないかないわね。」ゴセンちゃん
「実は私は水の魔法術士なので、王家のしきたりと言うかなんだかんだで、人類領に移住していたんですよ。」
「えっ、事務局長さんがですか。」
「驚いたでしょ、だから人類大好きだから、人類の2大恐怖をけしかけないでくださいね。
ここは大事なところだからメモってもいいですよ。
そして、ファンニと言う人類の女性の方と一緒になり、一人息子を得ました。
アマデオと言いますが。ソニアさんと同じハーフになります。」
「それってどのくらい前のことですか。」
「そうですね、今から125~100年前になりますかね。
成人してすぐ、105歳の頃に人類領にお邪魔しました。
105年前にアマデオが生まれて5年ほどは人類領で暮らしていたのですがね。丁度人類と魔族の戦闘が激しくなってきたのでね、戦況が停滞しているエルフ領に帰って来たんですよ。
そのまま親子3人で落ち着いた生活を送っていたんですが65年前に妻が他界しました。
人類とエルフ族の理の違いとは言え、幼いアマデオを残して逝った妻の無念はいかほどだったでしようか。
それよりも悔やまれるのは妻をここに移住させてから一度も家族で故郷に,人類領に行けなかったことですね。
年老いて妻が故郷を恋しがった時には・・・・」
「人類側の特一風見鶏が不明になっていたと。」
「その通りです。」
「しばらくはアマデオと2人で暮らしていたのですが、あいつもまだ幼くて母親が必要かと思い、男所帯の家事を手伝ってくれていた女性と再婚をしました。
もちろんエルフ族の女性ですよ。
人類領には行けないし、あのような種族の理の違いで悲しい思いをするのはこりごりですからね。」
「ところで、事務局長さんの後に人類領に移住された王族はいらっしゃいますか。」
「人類領に移住したという者はおりませんね。訪ねて行ったものはおりますが。
こんなことを言っていいものかわかりませんが、ソフィア様の依頼で随分とソニアさんを探しにエルフ族が来ていましたねぇ。
私も人類領にいるときはあなたを探しました。
まさか、呪縛で成長が止められていたなんて、もしかしたら教会本山ですれ違っていたかもしれませんね。
知っていれば・・・・・、最後にお合わせすることもできたのに・・・・・・。」
「アンドニさん。それはもういいの。探してくれてありがとう。
でも、ソシオさんのおかけで、お母様の心をもらうことが出来たの。
それで呪縛が解けたの。
だから、気にしないで。
私はこれからは前向きに生きていくの。
そう、お姉ちゃんとお兄ちゃんの家族として、お父様とお母様の愛情を胸に。」
「ソニアさんは強いお方なのですね。それに比べて・・・・・・」
「どうかしたんですか、事務局長。」
「何でもありません、個人的な事です。
まぁ、これが私と人類の関わりですね。
と言うことで、いとこのソニアさんのこともありますので、今回のあなた方の調査の世話役は私がすることになりましたのでね、よろしくお願いします。」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。
「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」
の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。
「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。
もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。
この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。
また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。
10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。