6話目 恒例の紹介 旅団編
私たちはカロリーナさんの後について、王城の横に伸びる道を話をしながら歩いて行く。
ここの気候は特一風見鶏の村とマドリンの中間的な感じで、昼間は暖かく上着はいらないが、朝晩は冷えるため、一枚羽織ものが必要であるとのことだった。
何か薄い羽織る物を荷物の上の方に出しておけば良かったわ。
荷物は風見鶏の施設の守り人の方に後で迎賓館に届けてもらえるようにカロリーナさんがお願いしてくれた。
下町で屋台やお店の散策を楽しめるように配慮してくれたのだと思う。
そう言う気遣いは遠慮なく頂戴しておくのが仲の良い証だと思う。
やがて、王城と同じぐらい荘厳な石造りの建物の前に来た。
玄関も立派だった。
玄関の両脇には風見鶏の施設の守り人と同じ制服を着た護衛が立っていた。
カロリーナさんは護衛の方に軽く頭を下げると入り口の脇に設けられた受付の方に歩いて行った。
受付のエルフ女子と何やら話をした後に、エルフ女子は受付の後ろの扉を開いて中に入って行った。
「迎賓館から迎えが来るまで、ここ王族と族長会議の本部の客間で少し休憩をしましょう。」
「私たちはそんなに疲れていないから、そのまま滞在先に歩いて行っても構いませんが。」
「エリナさん、まぁ、人類もそうだと思うけど、大事なお客さんには挨拶をするのが上役の役目だということなのよ。」
「カロリーナさんの上役ですか。」
「まぁ、ぶっちゃけ事務局長よ。王族と族長会議の事務方のトップで当然会議のメンバーでもあり、王太子弟のアンドニ様ですわ。
そういえばソニア様のいとこになりますかね。
詳しいことはご本人から聞いてください。」
私たちはきれいに掃除が行き届いた高そうな絨毯の上を、案内役の後ろに付いて歩く。
やがて、豪勢な彫り物が施さりた扉の前まで来ると、案内役はそれを開けて、中に入るように促した。
そこは、確かに、王族や族長のようなかなり身分の高い方々が話をするのにふさわしい調度品や絵画などの芸術品で溢れていた。
「何か私に似つかわしくないところにどんどん連れていかれてるので怖いのですが。」
「タイさん、私もよ。いずれは外交官としてこのような場所に人類のお客様をご案内することを夢見てたけど、外交官の見習いにもなっていないのに、このような場所に入るとは思わなかったわ。」
「今のところ人類の訪問者は旅団員に限っているんでしょ。そうしたら、少なくても旅団員の方はエルフ領に来たら人類の代表となりますね。
タイさんもある程度はこういう扱いにも慣れてもらわないと。
アイナさんとアラナさん、そしてパキトさんは初めから人類の代表の方にエルフ領のご案内をしたり、冒険を手伝ったりしてきましたね。
そして、彼らから多くの信頼を得たのではないですか。
それはもう立派な外交官と言えるのではないですか。
アイナさん、臆することなく人類の方をご案内してね。
あなたが不安に思うと人類の方はもっと不安になりますよ。」
「そうですよね、私がちゃんとご案内しないとタイさんたちが不安になりますよね。ごめんねタイさん。」
「いいんですよ。私だって、アイナさんをリーナ様に会っていただく必要が出たら、ちょっと気後れしますから。」
「リーナ様ってのが例の人類の2大恐怖の片割れの。」
「カロリーナさん、あなたも人類側に寝返ったんですよね。私
のお母様にアイナさんをご案内する役はあなたにお願いしようかしら。」
「旦那を盾に突撃するからいいわよ。」
「やっぱり僕は壁役だったか。」
「カメだから固い甲羅を持っているからちょうといいんじゃない。」
「ソニア様、それ本気で言っているの。
僕は大魔王除けの甲羅なんて持っていないから、無力なカメが真の大魔王様に裸で突撃することになるんだから。」
「もうカメさんまで、お母様をそんな風に言うなんて。
今のことは人類領に戻ったら外交上の最重要報告事項として、じっくりお母様に報告するから。」
「げっ、それだけはご勘弁を。まだ新婚なのに・・・・」マジでシャンピング土下座をするカメさん
「夫が失礼なことを真の大魔王様のご息女に申し上げてしまいました。」事情がいまいちよくわからないけど夫の大ピンチをさとり、一緒に土下座するエルフの女傑さん
「私は今の話は関係ないよね。」暗に無関係を強調してみソニアちゃん
「「・・・・・・・」」これ以上余計なことは言わない方が賢明だと判断した方々
「失礼しますよ。ノックしたんだけど聞こえないようなので入ってきてしまったよ。
何やら楽しそうに過ごしていただいたいるようで、ひと安心です。」
「事務局長、失礼いたしまた。つい、一緒に騒いでしまい申し訳ありません。」
「いいんだよ、カロリーナさん。
あなたも人類の方と結婚して人類側の外交官となったんでしょ。
だったら、半分は私の部下だけど、半分は大切なお客様でよね。」
「それはエルフ族と人類の両方の外交官をやれと言うことですね。
わかりました。
勝手に結婚して、わがままを言って、人類の方に寝返った私はきりきり働きますよ。
まずは、私の旦那を紹介します。
カメさんです。」
「カメさん? 」
「私の愛する立派なカメさんです。」
「ほんとにカメさん? 」
「はい、もちろん。人類軍第108旅団第3小隊・・・・、じゃなくて、確か旅団の外交部所属にたったのよね、あなたと私も。
まあ、人類外交部のカメとその妻ですわ。」
「ほんとの名前を知りたいんじゃないの。」ボソ
「ソニアちゃん、どうせ本名じゃなくてカメと呼ばれるんだから、教えるのが面倒なだけじゃないの。」ヒソ
「じゃあ、私はタイでお願いしますわ。」ボソ
「タイさんって愛称は可愛らしいからそれでいいと思うわ。」ヒソ
「続けますね、こちらが今回の調査隊の隊長のエリナさんです。所属は旅団の第3小隊ですね。
ちなみに第108旅団第3小隊は全生物の最上位に現在君臨しているらしいです。12魔将も一撃で消滅させたみたいですので、くれぐれも取り扱いにはご注意ください。」
「えっ、私はそんな魔王のような存在じゃないわよ。どこにでもいる普通の女の子よ。シュウのお嫁さんよ。
今回は王族について調べたいことがございまして、伺いました。
ご協力をいただけるとのことでありがとうございます。」
「エルフ領を滅ぼされることに比べたら私たちを隅々まで調べらぐらいどうってことはないので、遠慮なく申し付けてください。
心臓を動かす次に大事な案件として対応致しますよ。あはははははっ。
ところでカロリーナさん、第3小隊よりも上はないよね。」
「実はカメさん情報によると旅団の中隊長がやばいらしいです。
死神大魔王様らしいです。
第3小隊は全生物上に君臨し、中隊長は全世界に君臨するということかと悟っていますわ。」
「なんか無茶苦茶な情報をカメさんが流していない、私たちについて。
私はソニアだよ。旅団の第2小隊にいたんだけど、小隊長がエルフ領でいろいろやらかしたんで解散させられちゃったの、死神大魔王中隊長に。
私も命がやばかったわ。
で、今は第3小隊に拾ってもらって漸く幸せに暮らしているところなの。
よろしくね。」
「えっと、こちらがソニア様です。ソフィア様のお子様です。」
「そうか、この方が。」
「そのことはまた後程。事務局長の紹介の折に詳しくお話します。
続けますね。
こちらはタイさんです。」
「タイさん? 」
「タイさんです。カメさんと同じ流れになりそうなので、愛称がタイさんです。
「タイです初めまして、王族の調査の他にもエルフ族の料理についても興味があります。
時間が出来ましたら、王都の屋台に出かけて試食と料理法を見学したいと考えていますわ。」
「タイさんは人類の良心です。第3小隊の方々に何かやらかしちゃったら、タイさんを頼ってください。きっと、悪いようにはならないと思います。
ちなみに旅団の風の聖地管理部の駄女神さん、ソシオ様の婚約者ですけど全く頼りにならないと思います。
困った事への対処は口と手から炎をばらまいて、すべてを灰にして、問題をチャラにするような方です。」
「「「「うんうん」」」」うなずく人類代表
「そして、同じ風の聖地管理部の越後屋さんが旅団で最も要注意人物です。
問題解決の能力が高いのですが、頼んだら最後、経費と成功報酬として・・・・・・」
「なんか依頼料が高いのかい。」
「ケツの毛をすべてむしられた挙句、パンツまで取りあげられるそうです。」
「それマジ?」
「「「「マジ!!」」」」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします
この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。
「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」
の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。
「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。
もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。
この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。
また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。
10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。