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32話目 父の思い 前編

「そうか、アマデオは人類領に行ったか。」


事務局長は先ほどのような無関係な者の顔ではなく、私の話が終わってからは何か安堵したような柔らかい表情をしているのに気が付いた。


「私の思いを聞きたいと言っていたが、それは、だった一つなのだよ。」

「たった一つですか。」

「そう、アマデオはエルフ族として生きて行ってほしい、いや、生きて行かねばならないという思いだけなのだよ。」


「それは、人類としては生きてほしくないということでしょうか。

彼はエルフと人類のハーフなのですよね。

それなのにエルフ族として生きて行かなければならないか・・・・・。」


「そう言うことか。」カメさん

「あなたどういうことなの。」

「そうだぞカメ。自分だけわかった風にしないで、私にも教えろ。」

「ソニア様、焦らないでもう少し事務局長の話を聞いてみましようか。」タイさん

「そっ、そうだね。早く話せ、従兄。」


「ええっと、ソニア様、いくら親族とはいってもそういったももの言い方はいけませんね。

ちょっとここにいらっしゃてください。」でたぁぁ、おかんメイドの正座お説教タイムにソニアちゃんだけ突入だぁぁ

「うぇぇぇん。」


「そうです。例え、人類式の教育を受けたとしても、人類としてここで生きて行くことはエルフ族との繋がりを失うということなのです。」


「アマデオさんは人類のお母様より受けた教育に従って、人類として生きようとしていたというのかしら。それで王族、王城に勤める者たちとの繋がりを失っていったと。」


「王族は何らかの形で、一般の民を導く仕事をしていくことになります。

他人を導くには、その人の生活の基盤というか、成り立ちを理解しなければなりません。

確かに、一人一人の生い立ちまで理解することは不可能ですが、エルフ族としての大まかな生き方や考え方を知らなければならないということです。

これは人類の指導者にも言えることだと思いますが。」


「確かに事務局長のおっしゃる通りです。

人々の生き方を知らないとその人たちを先に導くとは出来ないわね。」

「導くことだけでなく、小さな仕事すら一緒にできないということなのですよ。」

「仕事も一緒にできないのですか。」


「考え方が違うとアイデアに多様性が出ますが、種族としての基本的な考え方や生き方かなり違うと協働することは難しいでしょうね。

相手の考え方が理解できないということは反目しあって、仕事が全く進まなくなります。

2000年以前の人類とエルフ族、そして魔族が相容れずに争っていたというのはそうい生き方の違いから、相手を理解し、容認できなくなったためではないでしょうか。


エルフ族同士であれば、考え方の違いはあっても根本的に理解できないということはそうはないと思います。

特に私の仕事の手伝いとなるとエルフの国の在り方に関わってくる案件が多いので、一人でやり遂げることはほぼないくて、誰かと協働することが常となります。

それなのにエルフ族の根底にある考え方、生き方を理解できないようでは、皆の後ろで微笑んでいるぐらいしかすることがないかもしれませんね。」


「それは、そうかもしれないけど。

でも、今はこうやって、人類とエルフ族が王族の寿命の調査を進めているわ。

協働していて、おっしゃるような種族間の生き方違いによるの意思疎通の祖語のようなものはないと思いますが。」


「それはお互いが、違う種族何だから考え方が違っても仕方ない、話しながら相手を理解しようとしているからだと思います。」

「それだったら、エルフ族同士だって・・・・・・。

そうね同族だという認識であれば、根本的なところはわかってもらっているという無意識の前提で話をしてしまうわね。

でも、それをなぜアマデオさんに言ってあげなかったのですか。」


「それは幼いころ、アマデオさんが50歳の頃まではそういう風なことを話していたの、彼は。」リリアナさん

「そうなんですか。

私はアマデオさんからは仕事を手伝わせてくれと言ったら断り続けられて、兎に角学校に行けと言われていたと聞いたわ。」


「生母の人類式教育の副作用で、他のエルフ族との繋がりがかなり薄かったんだ、アマデオは。

生母が亡くなって、ますます繋がっている他人が無くなって来たんで、それを取り戻すために学校に行くことを進めていたんだよ。

同じ年頃の子が幾人か一緒になるからね、王族の学校と行ってもそれなりの人数はいるし。


兄の子のソシオ君なんかもその頃は学校に行っていたはずだしね。

彼は小さい頃にソフィア様のところに弟子入りをしていたし、人類の事にも理解があったんだよ彼ならば。

彼は20歳まではソフィア様のところで水魔法の修行をしていたはずだ。

そんな幼児期に魔法の修行をするなんて、それは人類式の教育なんだと思うよ。

エルフ族の子供ならは毎日幼稚園に行って、元気に駆けずり回って、遊んでいる年頃だよ。


ソシオ君がいるので王族の学校に行くことを進めてはいたのだが、勉学は終わりだと言って話を聞いてくれなかった。

勉学をさせたかったわけではないのに。

学問はとっくに納めていたことはわかっていたよ。」


私は事務局長とアマデオさんの話の食い違いに動揺してしまった。

アマデオさんの話だけを聞いて、それが真実だと信じて、行動してしまった。

アマデオさんの話から事務局長があまりにむごい仕打ちをするものだと信じ切って、動いてしまった。


結果はどうあれ、行動する前に事務局長側の事情も確認すべだった。

これだ、いつも言われていたのに、大精霊様たちに。

大事なことは自分の足で、耳と目を使って直接確認しなさいと何度も何度も言われていたのに。

アマデオさんの話をすべて鵜呑みにして、勝手に激怒して、勝手な行動をとってしまった。


この親子を私の勝手な思い込みで、多分、永遠に引き裂いてしまった。

どうしよう、うしたらいいの、シュウ。


「まずは落ちついて、お姉さま。まだ、くそオヤジの話は終わっていませんよ。」

「そうですわ、奥様。まずは父親の思いを今回、離れていった息子のへの思いも聞いておかないと。」

"皆の言う通りです。これ以上、自分の感情で先回りしない方が良いわよ。聞いてみましょう、彼の息子の取った行動に対する思いをね。"


「でも、今回のことは良かったと思っているよ。

私のこれまでの思いは、息子がもう人類領に行けないことを前提とした話なんだ。

人類領に行けなければ、エルフとして生きなければならない。

人類式の教育何て、エルフの王族として生きるためにはほとんど意味がないからね、


でも、今は違う。また、私の若いころのように人類領に行けるようになった。

漸く行けるようになった。

アマデオが、人類領に行けるようになったんだ。


ファンニの人類式の教育が無駄にならずに済みそうだ。

そう思ったら、私は何としてでも人類領にアマデオを行かせたい、アマデオがそう思う様にしなければならないと思うようになった。


その時に人類の訪問者がエルフ族の寿命が短縮傾向にあることについて研究していて、王族の寿命について調査を希望していることを知ったんだよ。


エルフ族の寿命については私たちも重要案件として懸念していたので、非常に興味かあることだった。

当然、王族と族長会議としても協力して、情報を共有したいと思っていたんだ。


そして、人類のことに非常に関心が高く、人類としての教育を受けたアマデオを人類領に行かせて、エルフ領ではどうしようもない状況に陥ってしまったアマデオに何とか希望に満ちた生き方をさせられないかと考えていたんだ。


王族と族長会議より、我が家が人類の調査隊の王城での滞在時のホスト役を依頼された時に、何とかアマデオを人類領に連れて行ってもらえないかと考えたんだ。


アマデオに人類領に行って来いと言っても素直に私の言うことをもはや聞くとは思えないようなところまで親子の関係はこじれているのはわかっていたので、アマデオが自らら人類の調査隊に事情を説明し、一緒に連れて帰ってもらえないかお願いする様に仕向けることを考えていたんだよ。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


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