表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/35

31話目 事の顛末をご報告 後編

私はゴセンちゃんの言葉で一旦怒りを胸にしまい、昨日の顛末の報告を先に進めることにした。


「私は彼が王城の中に居ては、その彼を理解しようとしていない者の目の届くところに居ては、本当にこのまま消えてしまうように思いました。


一番理解してあげなければならない者や王族たち、そして、王城に勤める者たちから見捨てられたアマデオさんの枷を取り外してあげたい、彼を枷から解放して、再出発させてあげたいと、あげなければならないと強く思いました。


まわりに見捨てられた者を救済し、癒し、再出発させることができる場所、まずは見捨てた者たちから救い出し、保護し、これからのことをゆっくりと語り合える場所。

魔の森でひとり寂しく膝を抱えて絶望淵に漂っているアマデオさんは、今度新設された我が旅団の第1081基地に居るべき人なんだと思い至りました。

私の役目は彼を第1081基地の住民と成れるように、彼をここから基地に連れて行き、手続きをすることなんだと確信しました。


私は旅団の責任者で、唯一人類領とエルフ領の出入りを承認できる人、死神中隊長に連絡しました。

中隊長はあなたの信じる道を進みなさい、その道を最後まで進むことがあなたの責任ですとおっしゃいました。

私はその言に従い、違うわね、その言に勇気をもらって、彼を魔の森から人類領の第1081基地に連れて行く、一歩を踏み出しました。


彼は魔の森で何も食べずに一日以上を過ごしていたことから、凄く疲れていたようで旅団宿舎のゲストルームでそのまま寝てもらいました。

私は基地の運営責任者であるじいさんとバートリから派遣されてきた職員さんたちに彼の話をして、すでに中隊長の了解を得ているので、彼をここの住民の第1号として迎えてくれるようにお願いしました。


基地側には快諾してもらいました。ここまでが昨日の出来事です。」


「それでは、今、アマデオさんは人類領に居るのですか。」リリアナさん

「その通りです、自分のやりたかったことと自分しかできない仕事を得て、たった一日で絶望のあまりに濁った眼から希望で満ち溢れた済み切った瞳に変わりました。


ちょっと、今朝の話に戻りますね。


今日の朝、彼を基地の運営責任者と職員の代表者に紹介して、改めて、基地の住民と成れるように二人でお願いをしました。

基地側からは、アマデオさんのような境遇の方を救済し、癒し、再出発の手助けをするのがここであるのだから、堂々とここに居ればいいと言ってもらいました。

これで彼は基地の住人となることができました。


彼はこれまで人類について知ることの研鑽を積んできたのですが、ここにいれば人類について色々知ることができるから、実際に人類の方と話をしたり、たまには人類領の別な場所に出かけて人類領の現状についての見識を広げられるとたいそう喜んでいました。

そして、基地の皆さんの役に立つこと、自分と繋がってくれた人のために働くことが自分の一番したかったことだと私たち基地側の人間に話してくれました。


その話を聞いた基地の運営責任者のじいさんは、自分と基地との連絡係を引き受けてほしいと、それを当面の仕事としてくれれば非常に助かると彼に持ちかけました。

アマデオさんは基地の人の役に立つ仕事ができるのであればそれ以上の幸せなことはないと言って、二つ返事で引き受けることになりました。


彼は旅団の基地の設立の目的である見捨てられた人、不幸でもがき苦しんでいる人に再出発をしてもらうことをたった一日で達成してしまったようです。


当面は基地の仕事を手伝うんだとすごくうれしそうに、晴れ晴れとした口調でそう言っていました。

基地でさらに研鑽を積んだら、人類とエルフ族を繋ぐ仕事を、人に与えられるのではなく、自ら作り出して、懸命に働くのが将来の目標だと言っていました。


最後に、アマデオさんは言いました。僕はもう大丈夫だからエリナさんは自分のやるべき仕事に戻ってくださいと。


このように他の人を気遣うことができるまでに気持ちが回復したようだったので、私はここに戻って来たんです。


彼は人類領で一人で歩き始めました。


私、そして、旅団、旅団基地の関係者は一人で歩き始めたアマデオさんの邪魔は絶対にさせません。

例え、人類とエルフ族の争いになろうとも、一度繋がった人をもう一度不幸にするようなことは絶対にさせません。」


私はそう言葉を閉じで、そして、ソニアちゃん、タイさん、カメさん、カロリーナさんの方を見て頷いた。私の強い決心を確認してもらう様に。

旅団の皆も、考えに同調したくれたのか強く頷き返してくれた。


「アマデオさんはもうここには戻らないということでしょうか。」リリアナさん


「それはわかりません。

遊びに来るぐらいはするのではないでしょうか。

ここには、彼が唯一の自分の理解者だと思っている、あなた、リリアナさんがいるのですから。

彼はそのことを伝えに、リリアナさんにいつかお礼に来るのではないでしょうか。

自分がしてもらってうれしかったことを忘れるような方ではないと思います。


でも、この王城で、王族として、仕事を始めることはありえないと思います。

彼の生みの母が亡くなってから、65年もの間ここでの仕事を探し続けて、待ち続けて、絶望を味わい続けて来たのですから。」


「確かに、その意味は分かります。

しかし、アマデオさんは実の母のファンニ様に遺言を託されています。

その遺言を無為にすることもない方だと私は思いますが。」


「その話も聞きました。

お母様の遺言は彼の父の仕事を手伝うことですよね。」

「その通りです。私もアマデオさんよりそのことを何度も聞かされております。」


「仕事のお手伝いは、お父様の指示や依頼がないとできないのでしょうかというのが、私たち旅団基地の関係者の考えです。」


「お手伝いなのですから、これこれをお願いしますと頼まれことをするのではないのかしら。」

「本当にそれだけが手伝いのやり方なんでしようか。」

「他にどんようなやり方がありますかしら。」


「やり方ではなく考え方ですが、彼の父は王族と族長会議の事務局長です。

今回、事務局長は私たち旅団の調査隊のお手伝いや滞在中のホスト役など、人類との交流を進め、そして、友好関係をより発展させるというお仕事をしていると思います。」

「おっしゃる通りですね。」

「アマデオさんが人類との交流を進め、友好関係を築いて行くということは結果的にお父様の仕事の手伝い、お母様の遺言を守ったということだと思っています。

彼が今日から旅団の基地で、人類の職員と交流し、その仕事の一端を担っているということは、お父様の仕事を手伝い、お母様の遺言を守って行くということなんです。」


「あっ、そうですわね。エリナさんのおっしゃる通りです。

アマデオさんは漸くお母様の遺言を守ることができたのですね。

漸く。良かった・・・・・。」


「このように、アマデオさんは我々旅団の基地で仕事をすることで、自分の目標とお母様の遺言を達成していけるということを知って、希望を胸いっぱいにして、前に進んで行くということでした。」


「良かったね、お姉ちゃん。そして、アマデオさん、リリアナさん。

私も基地に帰ったら遠慮なくこき使ってやるわ、私の親族がもっと希望を持って生きられるように。」

「ソニア様、ほどほどにしておいてくださいね。お菓子を一杯もって来いなんて言ってはいけませんよ。」タイさん


「ええっ、そうなんですか。

それは困ったわねえ、またお菓子ばっかり食べちゃうわ。足がお菓子に向かないようにここにいる間みっちりご指導させていただきます。

お菓子を見ると足がしびれるぐらいに。」でたぁぁ、堂々の正座説教宣言、それも前払いだぁ、さすがおかんメイド


「いくら何でも、それはやりすぎというものじゃ。

ほどほどにしておかないと拗ねて魔の森に籠っちゃいますよ。」アイナさん

「今日も寝坊して叱られたらしいよ。カロリーナ。」

「あなた、ソニアちゃんを人類はすこし甘やかしすぎたのでは。

調査が終わったら、またしばらくはゲストハウスのメイドさんたちも手が空いて来るので、しばらくソニア様をこのメイドさんに預けて修行したもらってはいかがですか。」


「こらちょっと、なんてこと言い出しやがんだ、カロリーナ。

私は調査が終わったら、白魔法協会の総帥としての仕事が溜まりら溜まっているので、人類の教会本山に帰らなければならないのだ。非常に残念だが。」

「でも、白魔法協会の総帥の秘書の駄女神さんは風の聖地の運営をするのよねぇ。

秘書がいなくちゃ仕事がはかどらないわね。

そうだわ、メイドさん、しばらくソニアちゃんの秘書兼教育係をやってもらえないかしら。」

「びぇぇぇぇぇんっ、カロリーナがいじわるするぅぅぅぅ。カメ何とかしろ。」

「無理。

「夫婦で意地悪だぁぁぁ。」


「ソニアちゃん、まだ話が終わっていないわよ。」

「そうなの、お姉ちゃん。」

「そう、アマデオさんの依頼、事務局長の彼への思いを聞かせていただかないとね。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ