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29話目 事の顛末をご報告 前編

私はゲストハウスには行かずに、まずは魔の森に行くことにした。

魔の森を縦断する道の途中で私は立ち止まった。


"おかんストーカー聞こえる。帰って来たよ。"

んっ。返事がないわね。おかしいわ、ソニアちゃんとまだ寝ているのかしら。

ソニアちゃん、朝寝坊するとおかんメイドのお説教を朝食の代わりに食らうわよ。


「ここに居ますよ。ソニアちゃんがヤツにたたき起こされたので、慌てて出てきたの。」

「シルフィード様が慌てて出てくる必要はないと思うけどな。

んっ、つまり、ソニアちゃんを盾に一人だけ逃げてきたということね。」


「ちっ、ちっ、違うわよ。逃げてきたんではなくて、ソニアちゃんがおかんメイドに叱られるのを見聞きすることに耐えられないから、席を外したの。

それにそろそろ、エリナちゃんも戻ってくるかなぁと思って。

トレントさんに彼の事を報告するんでしょ。

トレントさんに連絡できるのは私だけでしょ。」


ジト~ッ。


「ちょっと、エリナちゃん、そんな目で見ないで頂戴。

ほんとなんだから、見捨ててきたわけじゃないんだから。」

「昨日は私と幽霊さんを見捨てたでしょ。」

「ちょっ、ちょっと、それも大きな誤解よ。

人類領に転移すればもう安心だと思って、エリナちゃんを信用しているということなのよ。」


ジト~ッ。


「まっ、それはいいじゃない。それよりもトレントさんが待っているわ。

行きましょう。」

「釈然としないけど、それは後でじっくりと、ソニアちゃんと一緒に聞かせてもらいますね。」

「えぇぇぇぇっ、」


「エリナさん、お帰りなさい。」

心配している気持ちとほっとするような気持ちが入り混じった魔力が私の周りを取り囲んだ。

「ただいま、ちょっいいですか。昨日のことを報告しますね。」

「草の道を作りますので、こちらに御出で下さい。」


道から森の方に目を移すと森の下草がすっと分かれて、道が出来ていた。

私はおかんストーカーさんと手を繋いで、出来立ての草の道を進んだ。


草の道が途切れた先には立派な木が立ちはだかっていた。

「おはよう、トレントさん。」

「おはようございます、エリナさん、そして、大精霊様。」


「昨日のここを出てからの顛末について話ますね。」


私は昨日から今日の朝までの出来事について報告した。

幽霊さんが人類領で、新たな繋がりの縁で、彼にしかできない仕事を得て、やる気にあふれていることを話した。

その後に驚きと安心、そして喜びを含んだ魔力が周りに充満した。

ずっと彼の事を心配してきたトレントさんが彼の再出発を本当に喜んでいることが分かった。


そして、トレントさんから湧きたつ魔力で私の気持ちもすごく高揚してくるのを感じた。


「そうですか、彼は人類領で新たな希望を見出しましたか。良かったです。

この新たな繋がりとお仕事を大事にしてほしいと思います。」

「そうですね。きっと、大丈夫よ。

ようやく手に入れた自分の居場所だもの。大事にしていくと思うわ。」


「ここで塞ぎこんでいる彼の姿を見てきました。

希望に満ちた姿を見ることがかなわないのはちょっと残念ですが、こうして彼の元気な様子を聞けたことで満足したいと思います。」


「あっ、それと、これはお返ししますって。」

「なんでしょうか、ああっ、私の作ったネックレスね。」

「もう誰もいないところに逃げ込むことも姿を隠す必要もないから、堂々とお日様の下を歩いて行けそうだから、これは使わないという決意でお返ししたいのだと思います。」

「わかりました。そこにおいてください。その内に自然に土に還るでしょう。」


「それと私も、お返しします。」

「エリナちゃんはそれを持っていた方がいろいろ便利なこともあるんじゃないかしら。

シュウ君がつまみ食いをしていないか見張るとか。

シュウ君がエルフ女子のお尻を追いかけていないか調べるとか。

シュウ君の浮気調査とか。」


「堂々と問い詰めますからいいんです。

それにシュウの甲斐性じゃ、私以外の女の子に対しては、巨乳と美脚のチラ見が精一杯ですし。」

「まっ、シュウ君はその程度だわよね。隠れて監視する必要もない甲斐性なしだからねぇ。」


「そうなんです。逆に困っちゃいます。

ということで、私も堂々と私の信じる道を進みたいと思うので、せっかくもらった妖精の首輪ですけど、お返しします。」

「わかりました、それもそこに置いててください。いずれ土に還るでしょう。」


私はリックから妖精の首飾りを取り出し、トレントさん指示した、ちょうど木々の切れ目から漏れ出たお日様が作った陽だまりに首飾りを置いた。


「それじゃ私はゲストハウスに行きますね。

わたしに何か聞きたいことがあるなら、幽霊さんの様子が知りたいのなら、シルフィード様を通じて連絡をくださいね。」


「そうしますね。ありがとう。

私が人類の方と繋がりを持てるとは思いもしませんでした。

また逢う日を楽しみにしています。

あなたのお仕事を頑張ってくださいね。

お仕事が終わったら、一度訪ねてください。さよならを言いたいので。

あなたのお仲間を連れてきてくださってもいいのですよ。

あなたが信頼している方々なら、何か繋がってみたいと思いましたから。」


「わかりました、ここを離れるときには皆でさよならを言いに来ます。

それ以外でも寂しくなったら、呼んでくださいね。

それじゃ行くわね。バイバイ」

「さようなら。」


私は来た時と同じようにシルフィード様と手を繋ぎ、来た方向とは別の方向に作られた草の道をゆっくりと歩いた。


"ソニアちゃん、おはよう。"

"だじげでぇ~。じびれでうごげないの~。"

"お説教は終わったの? "

"なんどがねぇ、ぎょうもなががっだだよぅ、いじじがんばぜいざじでだぁ。"

"1時間お説教コースだったのね。"

"おねいじゃん、おがえりぃ~。どうじた、がれば。"


"今からは話すわ。私に我当てられた部屋に人類の調査隊と私担当のメイドさん、そして、おかんメイドさんを集めておいてくれるかしら。

それから、その面子と一緒で良ければ、リリアナさんも呼んでおいてくれるかな。すぐ行くから。"

"わがっだだよぉ、でも、あじがじびれで、今ばうごげないので、がめざんにれんらくじでだのんでみるわ゛。"

"お願いね。"


草の道が終わって、ゲストハウスの近くまで戻ってきた。

冬だと言うのにここの日差しは暖かく、坂を上ってきたこともあり、ちょっと汗ばんできた。

さぁ、彼の思いを伝えなきゃ。

どういう気持ちで数十年の長い間、あの王城ですごしてきたか。

その憂いから解き放たれたことも、新しい希望を得てこれから人類領で生きていくことも。


私はメイドさんたちやゲストハウスの裏方さんの通用口からゲストハウスの中に入った。

おかんストーカーさんはそこで別れてしびれたソニアちゃんの様子をそっと見に行くそうだ。


通用口のドアを開けると、そこにはリリアナさんがたたずんで、げっ、事務局長が仁王立ちしていた。

帰ってきちゃいけなかったかも。


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


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