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25話目 まだ他にもいたんだ

ご要望は全く無視して、基地の風見鶏に急いだ。

エルフ側の特一風見鶏に転移したときに、守り人に見つからないようにするために姿を隠す必要があるし、歌を歌ってもらう必要があるから身に着けたままの方がいいのだ。


特一風見鶏を発動して、エルフ領に私は跳んだ。

そして、白い靄が晴れるか晴れないかのタイミングで首輪に歌ってもらう。

本日2回目のお昼寝ね、もう夜だからお昼のじゃないわね。

仮眠?

夜に仮眠とはかわいそうな守り人さん。

ちゃんとお布団にを掛けてあげたいけど、立ったまま寝ているから無理ね。


私は急いで、特一風見鶏の施設から村の反対の方に走った。

歌が効くのは2分だけ。

その間にできるだけできるだけ離れよう。

ソニアちゃんへの連絡は声は出さないつもりだけど、思わず声が出ちゃうこともあるしね。


私は自分にスピードアップの魔法を掛け、特一風見鶏の施設から走って、大きな木の下で立ち止まる。

ここまでくればいいか。

私は王都の方に意識を飛ばして、ゲストハウスの・・・・、しれっと居やがったよおかん現役ストーカーが。


"おかん、そんなとこで何してんのかなぁ。"

"決まっているじゃない。かわいいソニアちゃんの監視よ。"

"監視? またストーカーしているのね。"


"いいじゃない、・・・・・、げっ、エリナちゃん。・・・・・、ごきげんよう。"

"ごきげんようじゃないでしょっ。勝手にいなくなって。"

"だって、情けない奴よりもソニアちゃんの方が大事だもの。"

"うっ、それを言われると本当の事だけで辛いわ。

まぁいいわ、ソニアちゃんはどこ。"


"交流会が終わって、お部屋で正座しているの。メイドおかんのやつに言い渡されて。"

"今度は何をやったの。"

"お菓子のつまみ食い。交流会でこそっとお菓子を爆食いしていたのをやつに見つかっちゃったの。"

"こそっと爆食いって・・・・・、まぁ、いいわ。

少し反省が必要よね。あれだけ言ったのに。


ソニアちゃん。"

"お姉ちゃん帰ってきたの。"

"違うの、今、特一風見鶏の村よ。

アマデオさんを基地のゲストハウスに連れて行ったんだけど、疲れて寝ちゃったのね。

それでじいさんたちに紹介が出来なくて、明日の朝に紹介することになったの。

紹介してちゃんと預けるまでは私は旅団の基地に留まるから、そっちに帰るのは明日になることをソニアちゃんに伝えておきたくて。"


"わかったわ。こちらは無事に交流会が終わったので、心配しないで。

それと明日、リリアナさんにお姉ちゃんが話をしたいことを伝えたら、いつでもホスト側の部屋を訪ねてねって言ってたよ。"


"タイさんたちも交流会を楽しんだのかしら。"

"王族たちとはあまり話をしていなかったけど、エルフのコックさんとは何か料理についていろいろ質問をしていたわ。

人類側は私とカメさんが主に王族たちと交流を進めていたの。"

"頑張ったね、ソニアちゃん。"


"でしょ。もっと褒めて良いんだよ。"

"頑張った人が、メイドおかんに正座させられているってのは、どういうことかなぁ。"

"げっ、ばれてる。じゃぁ、そろそろ寝るので、お休み・・・・・。"


逃げたわね。

ここからじゃ、どうすることもできないのでしようがないけど。


さぁ、もう今日のやるべきことは終わったわね。

帰ろっと。


私はまた特一風見鶏の施設の守り人を眠らせてから転移し、基地の旅団施設の自室に帰ってきた。

ソニアちゃんとシュウのいない自室は無駄に広くて、寒い空間でしかなかった。


*

*

*

*

*


玄関のドアを激しくノックして、私を呼ぶ大声で目が覚めた。

「エリナちゃん、エリナちゃん、起きてますか。と言うか、ここにいます?」


あっ、サッちゃんが呼んでいる。朝ごはんのお誘いかしら。

温かいスープが飲みたいわねぇ。

私は冷え切った部屋の空気に耐えられず、ガウンを羽織って玄関を開けた。


「ギャーッ、ドアが勝手に開いたぁぁぁぁ。」

「んっ、おはようございます。

他の方がいないとは言っても朝から玄関の前で叫ぶのは如何なものかと。」

「ギャーッ、誰もいないのに声が聞こえるぅぅぅぅ。

主よ、お救い下さい。主よ、お救い下さい。主よ、お救い下さい。」


「サッちゃん、ひとんち玄関の前でジャンピング土下座をして、祈り始めるのはやめてぇ。変な宗教に入信したと思われるじゃない。」

「お化けの祟りから免れるなら、どんな宗教でも、例え駄女神教でも構わない、即信者となりまする。だから祟らないでぇぇぇ。」


あっ、昨日クリーンしてそのまま寝たんだった。

私の胸元には妖精の首輪が。ひときわ輝いていた。


「ごめん、首輪を外すわね。」

「あぁぁぁっ、エリナちゃんだぁぁぁ、よがっだだよょょょょ。お化げに憑りづがれだど思っだだよぉぉぉ。ぐすん。ぐすん。」

「ごめん、ごめん。自分じゃなかなか体が消えて見えないのがわからなくて。」


「おっと、そうだわ。エリナちゃんは朝から家から出てはいないわよね。」

「ええ、昨日いろいろありすぎて、疲れたのか寝坊してしまって。

今起きたところよ。」


「じゃぁ、妖精の首飾りを着けて、朝からうろうろしていないわよね。」

「もちろん、今まで寝ていたんだし。」

「夢遊病を患っていると言われたことはない?」

「そんなことを言われたことはないわよ。」


「じゃ、あれはいったい。」

「どうしたのんですか。顔が真っ青ですよ。何か青魚にでもあたったんですか。」

「そんな変な物は食べないわよ。

これでも料理人の端くれなんだし。

食材には本当に注意しているの。

草も生でなく、干し草・・・・・、ちょっと変だから今のは忘れて。」


「で、何があったんですか。」

「驚かないで聞いてね。心弱い人だと倒れちゃうから座って話そうか。」


私たちは旅団の施設のリビングに移動した。


冬の火の入っていない部屋は本当に冷える。

私はまずは暖炉に薪を入れて火をつけた。

そして、炎魔法でとりあえず部屋全体の空気を温めた。


椅子に腰かけながら、先ほどの話の続きを始めた。

「それで何があったの。」


部屋を暖めた後だと言うのに、青ざめたままのサッちゃんが口を開いた。

「出たのよ、ついに出たのよ。本物さんが。

それも朝、明るくなってから。」


「なんが出たの。

朝に出ちゃいけないものって言うと、あっ、おっきなフクロウさんに朝ごはんのおかずの目玉焼きを横取りされたのね。」


「そんなフクロウなんて可愛いものじゃないわよ。

でも私の雌鶏が生んだ卵を奪い取ったら、そいつも肉にしてやるけどね。」


「じぁ、ううんと、むむむっ、おっ、それだ。」

「どれだ。」

「太陽が西から登った。これはまずいわよね、朝日が西から出ちゃ。」

「今はっきりとわかった。エリナちゃんがなぜ天然平目ちんと呼ばれているわけが。

私の脳の呆れた奴リストの3番目に見事に刻まれたわ。」


「ええっ、酷ぉ~い。呆れた奴リスト3位なんて。

ちなみに1位と2位は誰なの。」

「1位は秘書官、2位は執政官公邸の裏の庭園で豚と牛を飼い始めた奴。」

「2位の方は知らないわね。まぁ、私より上がいて良かったわ。」


「エリナちゃんほんとにいいの? 3位だよ、上から3番目なんだよ。」

「まだ上に2人もいるので安心です。きっぱり。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


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