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24話目 誰が一番不幸なの

私は漸く、気が付いた。

妖精の遮蔽の首輪をつけていたので、声は聞こえども、姿が見えていないことに。

あわてて私は妖精の首飾りを取り外した。


「「「でたあぁぁぁぁぁっ、ついに本体降臨だぁぁぁぁぁぁ。」」」

「なんまんだー、なんまんだー、なんまんだー」

「主よ、許しください。主よ、お許しください。主よ、お許しください。」

「祓え給い、清め給え、神かむながら守り給い、幸さきわえ給え。」


「ちょっと、皆、どうしちゃったの。

いきなりじゃんぴくんぐ土下座して、両手を合わせて、大声で祈り始めて。

訳が分かんないわ。しっかりしてよ。

今、幸に恵まれない人が待っているんだから。」


「「「ぎゃぁぁぁぁぁ、本体降臨して、喋ったぁぁぁぁぁ。

その上、幸に恵まれた人を狩っているといったぁぁぁぁ。」」」


「俺は人類領で一番不幸な男として、教会本山と門前町で超有名なんです。

本物も尻尾を巻いて逃げ出すほどの死神大魔王様に見込まれて、骨の髄まで、髪の毛の毛根まで吸い取られています、何と不幸な奴でしょう。」


「私はこの夏にやっとだまして付き合い始めた男に本性がばれて逃げられました。

男に得意なオムレツを作ってあげるために、嫌がる雌鶏の首に包丁を突き付け、卵を産まなかったらチョンよと言ったところを聞かれてしまい、ドン引きされて、そのままに地の果てに逃げていきました、捨てられてました。うわぁぁぁぁん。」


「何よそれぐらい、日常茶飯事の事じゃない。

私なんて、私なんて・・・・・・・、だめだぁぁぁぁ、思いっきり気楽に生きてきたぁぁぁ。


いや、ここで諦めたらだめよ、私。

向こうの世界に引きずられてしまうわ。

何かあるはずよ、私にも。

とんでもない不幸な出来事が。

ちょっと待っててね。30秒だけお時間をいただけますか。

・・・・・

・・・・・

・・・・・


あっ、一昨日の朝、1か月ぶりに立った茶柱を飲もうとしたら横に倒れちゃった。」


「「「なんて不幸なんだぁぁぁぁぁ。

死神に取り憑かれるよりも、男に振られるよりも、何の楽しみものないやっすいやつが一ヶ月ぶりに立った茶柱を倒してしまうなんて。人類最凶の不幸な出来事ごとだぁぁぁぁ。」」」


「そうだろ、皆もそう思うだろ。

ということで私が人類で一番不幸な奴だとの決定でいいよな。」


「かわいそうだからいいよ、先輩に譲るよ。人類で一番不幸な奴の称号を。

やっすい人生を精々楽しんでください、秘書官殿。」

「俺よりも不幸な奴がいたなんて、人類もまだまだ捨てたもんじゃないな。」



「お前らちょっと待て、なんか全然うれしくないんだが。茶柱ごときで人類一不幸なやつにされるのが。」

「「じゃぁ、もっと不幸になるためにお化けに祟られてたらいいんじゃねぇ。

ということで生贄は秘書官に決定しました。

盛大な拍手を持って、新たな門出を皆さんで祝いましょう。

ばんざ~い。ばんざ~い。ばんざ~い。」」


「ということで、一番幸福なのは秘書官様に決定しました。」

「おい、ちょっち待てくれ、審査委員長。」

「秘書官君、言い残したいことがあればどうぞ。」


「俺って幸福なんだな・・・・、マジで。」


「おっほん。漫才はこれぐらいにして、私は第108旅団第3小隊のエリナです。

じいさんには何度かお会いしているのに忘れてしまったようで。

ボケたのなら介護保険のお世話に、あっ、まさかの保険料の未払いですか。

しょうがいないわね。

そういう方は死神さんに向うの世界に連れて行ってもらった方が良いと思うわよ。ご検討くださいね。」


「あっ、確かにそのボケ具合は天然平目ちゃんのエリナさんだ。

エリナさん、エルフ領に行ったと思ったら、実は冥土に行っていたんだね。」


「えっ、メイドになってなんかいないわよ。」


「「おおっ、これが噂の天然平目ちゃんのぼけかぁぁぁ。

さすがだわ。この返しは私には無理だわ。」」


「なんか話が噛み合っていないようだから、事の始まりから話をするわね。」


「「「あんな登場の仕方をした天然平目ちゃんが悪いと思う。」

「それは置いといて、話を聞いて頂戴。」

「「「置いとくんだ、あのお化け騒ぎをなしにするつもりだな。」」」


3人がいろいろ不審な目で私のことを見ているんだけど、まぁ、私は何もしていないので関係ないわね。

ちょっと、妖精の首輪を外し忘れただけだもんね。


「・・・・・・・、かっ、関係ないでこの騒ぎを片付けてしまったわ、さすが私のお姉さま。考え方のスケールが大きいわ・・・・・」ぼそ


私はエルフの王都での出来事を3人に話して聞かせた。


「と言うことで、エルフの王族の方がとっても不幸なので、ここで癒してください。

再出発については、人類領についてと、エルフ領に伝わっていない人類の近代史についても研究したいそうですので、手伝ってやっていただけますか。

その研究結果が行く行くはエルフ族と人類がお互いを理解するための礎になるように思います。」


「と言うことは、冥土領で一人寂しく暮らしていたエルフの王族をここで預かって、再出発させてほしいということですよね、」秘書官

「そうです。」

「先輩、メイド寮じゃなくてエルフ寮です。」

「寮じゃ狭すぎだよ。領だと思う。」人類一不幸な方、まずはお前の再生からじゃねぇ


「私、王族となんて話したことないわよ。人類の王家はすべて滅亡したもんね。とっくの昔に。」

「王族って普段何食べいるの。草? 焼き鳥を出したら怒って、クビチョンなんてことはないわよね。」

「草はないと思うよ。干し草? 」


「えっと、いたって普通のものを食べていますよ。

暮らしぶりも人類と同じですね。

ただ、緑の環境、草木を好むということですかね。」


「そうすると主食はやっぱり干し草?。

執政官公邸の裏で酪農をやっている人から分けてもらわなきゃね。」サッちゃん

「さすがに干し草は食べていなかったように思うけど。おやつに食べていたのかぁ。その辺は本人に聞いてください。

基本的に人類と同じでいいと思います。言葉もちゃんと通じますしね。」


「わかりました、彼にはここでゆっくりと暮らしてもらいましょう。

しっかりとした方なら、私たちの手伝いも少しはしてもらえると思いますし。

それでどちらに今はいるんですか。」


「旅団宿舎のゲストルームに放りこんできたわ。

ベッドで疲れて寝ているんじゃないかしら。」

「それでは紹介してもらうのは明日にしてもらった方がいいかな。」

「それがいいわね。」


「それじゃ、エリナさんもこちらに泊りになりますか。お腹は減っていませんか。」

「お腹は減っていないのだけど、ここに泊るとなるとソニアちゃんたちに連絡を入れないとね。

う~んっ、エルフ領じゃないと風魔法で連絡できないのよね。

一度、特一風見鶏の村に戻るしかないのかなぁ。」


あっ、そうだ。おかんストーカーさんだったらソニアちゃんにここから連絡が取れるかも。

シルフィード様、いらっしゃいますか。


・・・・・・・

・・・・・・・


「お姉さま、風の大精霊様は特一風見鶏で一緒に転移してないですよ。

こそっと、ソニア様のところに戻って行っちゃたのかと。」


えっ、そうなの。ついて来てくれると言っていたのに。

「まぁ、基本、ソニア様命ですから。

それに、風の精霊ですから気まぐれがデホですし。」


そっ、そうだった。

転移を繰り返すことに一杯、一杯でおかん行方まで気が回らなかったわ。失敗した。


「エリナさんどうしたの。急に黙って。」

「ちょっと、エルフ領への連絡方法を考えたていたの。」

「やっぱり今日は一旦、エルフ領に戻りますか。

その王族、アマデオさんのことはこちらで見ときますけど。」

「きちんと紹介していないのに、お任せすることはできないわね。

一旦、特一風見鶏の村まで戻って、ソニアちゃんに連絡をして、また戻ってくるわ。そこからの連絡であればそんなに時間が掛からないし。

よし、ちょっと行ってくる。」


私は首飾りを付けて、元士官宿舎のリビングをのドアを開けて出て行こうとした。


「「「うぁぁぁぁ、また、ポルターガイストだぁぁぁぁ。やめてぇぇぇ。

人類領で首飾りを着けるのはやめれぇぇぇぇ。」」」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


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