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優しさの陽だまり 1話目 王都へ

この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つの「 アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


本日は1~8話まで一気に公開します。

その後は1日一話更新予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。



冬だというのにここはお日様の贈り物がたくさん振り注ぎ、暖かい。

贈り物を体で一杯に受け止めて、じっとしているだけで力が貯えられてくるのがわかる。

貯えた力は魔力となって私より放たれる。

そして、放たれた魔力は私の周りで常に緩やかに吹いてる風に舞い上げられ、やがてゆっくりと周りに立ち込める。

まるで、朝霧のように。


私と多くはない仲間たちによって私たちが寄り添うこの地を魔力で満たし、そして、私達の仲間と眷属の安住の地となる。


私の仲間は眷属から生まれる。

しかし、眷属のすべてが私の仲間を生むわけではない。

どうして生まれるかもわからない。


だから私の仲間は多くはない。

多くの仲間がいれば私たちと眷属が住む魔力に満ちた地を大きくし、より一層静かに暮らせるのに。

そう私たちの魔力が満ちた地は私達と眷属以外にはまさに魔の地となる。

正常な感覚が働かなくなるのだ。


時々、迷い込むものは今なん刻なのか、どこにいるのか、ここで生きてく上で必要な感覚を失うのだ。

放っておくと魔の地を抜け出そうともがいた挙句に歩く力を失い、息をする力も失い、やがて屍となる。


私達と眷属はその屍より得る物があるのでそのままにしておいても良いのだが、時々、屍の多くの仲間がこの魔の地に入り込み屍を探してうろうろし始めるのは、静かに暮らすことを好む私たちと眷属にははなはだ迷惑な話しだ。

だから、あの仲間を多く持つ者が屍になりそうなときはそっと出口まで導いてやるのが私たちの流儀となった。


この流儀を守り続けていかほどになろうか。

私の仲間も眷属も数えきれないほど屍になった。


ある日、仲間を多く持つ者が一人この魔の地に迷い込んできた。

私達は二度とここに立ち入らないように、この魔の地の恐ろしさを十分に味わってもらった後にいつものように出口に迷い人を連れ出した。


しかし、どうしたことであろう、このようなことはこれまでなかったのだが、数日してまた、同じ者が迷い込んできた。

しかし、かの迷い人は一通り我らの地をうろうろとした後は、出口を探すのをやめたのか私の元に膝を抱えて座り込んでしまった。


そして、数刻、眠るでもなくただ静かにたたずんでいた。

やがて、おもむろに立ち上がり、今度は出口を探し始めたので私はいつものように出口に誘導した。


妙な者もいる者だと私は思った。


そして、幾日が過ぎたころにまたまたあの者が迷い込んできた。

迷い込んだのではなく自ら入り込んできたのか。


そうして、前と同じようにうろうろしたかと思ったら、また、同じように私の元に座り込んで静かに数刻を過ごしていた。

やがて、立ち上がり出口を探すようだったので、また、かの者を出口に誘導した。


このような不思議なことが何度も繰り返された。

来るのは決まって私の元と決めているようだ。


そして、かの者は今日もやってきた。

私を探して見つけると、私の元に座り込み静かに時を過ごすのだ。いつものように。


しかし、今日はは違っていた。


いつまでも、お日様の恵みが無くなっても、かの者は帰ろうとはしなかった。


*

*

*

*

*


「さぁ、私たち王都調査隊の打ち合わせを始めるわよ。」

「お姉ちゃん、かっこいい。

隊長って感じぃ。」

「ああぁ、私は隊長だから。」

「そんなに気負わなくても大丈夫ですわ。」


「まずは王都に行くところからね。

ここから風見鶏で城壁都市に行って、それから王都に入るのよね。

このまま行って素直に入れるのかしら、王都って。

カロリーナさんどう思う。」


「城壁都市から歩いて、王都までは1時間は掛かるわね。

一応、門番がいるので、あらかじめ王都の方にはこれから向かう旨を伝えた方が良いかもね。」


「カロリーナ、王都に行く前に僕たちはひと仕事残っているよ。」

「あなた、そうでした。

まずは風の聖地突風待機施設に行かなければね、駄女神さんたちを連れて。」


「それはどういうこと。」


「ソニア様、今、突風待機施設で作業をしている者に駄女神さんたちをご紹介しないといけないのですわ。

先週、一緒に旅をした豹族さんたちは今回の風の聖地整備メンバーに入っていないのです。

アラナさんがご一緒するので紹介はできると思うのですが、責任者が私たちから駄女神さんたちに代わるので、少なくとも突風待機施設で作業している方々には私たちから直接紹介させていただきたいと思っています。

特に突風待機施設の責任者は越後屋さんなんでしょ。

越後屋さんを良く知るカメさんから紹介した方が良いのではないかと思いまして。」


「それもあるんだけどね。

もう一つの理由は城壁都市から歩いて王都に入るよりも、城壁都市から風の聖地突風待機施設、マドリン、そして最後に王都の風見鶏への転移を繰り返した方が早く着くしね。」


「それでは王都までの道筋はそのように、風見鶏を渡り歩くことにしましようか。

この特一風見鶏の村、そして、人類領に戻る時にも風見鶏の転移を繰り返す必要がありますしね。

兎に角、マドリンにさえたどり着ければ楽に帰ってこれるという状況にはしたいわね。


それでも王都には我々がこれから、多分今日の午後になるかな、行くことは連絡しなければならないわよね、カロリーナさん。」


「その通りね。

王族と族長会議の総務部に午後に到着する旨を伝えて置けば王都の風見鶏が集まっている施設での守り人による身分確認も簡単に済むはずだわ。」


「王都の風見鶏の守り人の身分確認は厳しいの?」

「ソニア様、その通りでございます。

この国の政の中枢機関、王族と族長会議のある所ですから。

でも、皆さんのことが一度知れればどこに行っても簡単な確認だけで済むはずですわ。」


「王都での滞在先はどうなりますか。

宿を探さなければならないのでしょうか。」

「タイさん、当面は迎賓館に泊まることを予定したいたの。

王都でもそのように準備をしています。

でも、迎賓館なんていつ以来使っていないことやら。」


「エルフ領をもっと知るためにも少しは地井の宿にも泊まってみたいですわ。」

「タイさん、それはいいわねぇ。

目的の調査が終わったら少し王都の観光を楽しみましょうか。」


「お姉ちゃん、話が分かるじゃない。

おいしいお菓子が一杯あるかなぁ。」


「うふふふふ、迎賓館でも一杯おいしものが出されると思いますわよ。

そうですねぇ、迎賓館と地井のお菓子はまた違いますものね。

そして、出されるものと自ら選で食べるものはまた違いますものね。

お土産なんかも必要でしょうしね。」


"ノームちゃんとアクアちゃんにもいっぱいお土産を買って帰んないとね。"


お土産を買って"帰る"の。

シルフィード様は人類領に居付くつもりなのかしら。


「迎賓館に落ち着いたら、まずは、王族にご挨拶ですか。

ソニアちゃんも親族に会ってみたいでしょ。」


「それは晩餐会で、まぁ、そんな堅苦しいことはエルフ領ではめったに行われないので、今日は王族の歓迎会になりますね。

そこで、いろいろな方とお話しできると思います。

まぁ、迎賓館に滞在する間は毎日歓迎会となってしまうけどね。」


「カロリーナ、飲みすぎちゃだめだよ。」

「わっかりました、旦那様。

一滴も飲みませんです、はい。」

「そこまでとは言わないよ。

いつものように適度にねってことだよ。」

「じゃ、飲んでいいのね。」

「君の楽しみを奪うことはしたくないよ。」

「うふふふっ、ありがと、優しい旦那様。」


「私、やっぱりシュウと行けばよかったわ。

こんなシーンをずっと見せられ続けるのに耐えられるかしら。」ボソ

「私もお兄ちゃんと行けばよかった。

でも、王都のお菓子もおいしそうだなぁ。」こそ

「私たち、お邪魔じゃないかしらね、アイナさん。」こそ

「今は私たちの事なんて、きっとその辺の雑草扱いではないのですか、タイさん。」ぼそ


"ソニアちゃんと一緒なら私はどこでもいいの。" 大事なことなのでおっきい声


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