異世界転生 続き (練習作)
展開は考えてないです
「こほん……では、異世界に向かう準備はできましたか?」
手にしたタピオカティーを吸い上げたあと、女神様はそう告げた。
だがしかし、僕はそれどころではない……今は激戦区の真っ只中にいるのだ。
「残りは5人……屋内に2人と。ーー崖の上っ!!」
狙いを定めるとスコープ越しに互いの目が合い、血の気が引く。
咄嗟に引き金を引くと同時に上体をわずかにずらす。
本来こちらの頭を貫くはずの弾丸は空を切っていき。
スコープ越しに見える景色に鮮血が弾けた。
「あと、4人……!」
地に伏した相手は見届けず、急いで安全地点を探す。
交戦したのだ、次に狙われるのは間違いなく自分ーー。
「かの地は暗黒に染まりーーいまや救世主を必要としています……あなたは選ばれし者なのです。」
淡々と言いながら簡易に袋詰めされた鶏の揚げ物を片手に、タピオカの残りを綺麗に吸いあげていく女神様。
――先ほどの軽いやり取りを終えたあと、女神様はお腹が空いてきたようなので近くのコンビニで適当に揃えてきたのだが、すこぶる気に入ってくれたようだ。
そして女神様が食事をしている間に、僕は日課をこなすためのスマホ内で行われる戦場に赴いたのである。
「……あとは、あいつ!」
壁の後ろに隠れているのが見えた、木々を盾に距離を詰めようとするが牽制弾を避けきれず、体力を消耗してしまった。
ここからは一瞬の判断が死に繋がる。
「さぁゆうひゃよ、旅立ちの時です!ひぇかいはあなたの力を必要としています!」
もぐもぐしながら一通り言い終えた後。頬張ったおにぎりをお茶で流し込んでいく、そして自分の仕事ぶりに満足した女神様はデザートのプリンに手を伸ばした。
「ふぅ……。行くぞ!」
完璧なタイミングで回り込む、死角を取った
相手の眉間に狙いを定める、完全にもらった。
とその瞬間右手が光に包まれる、あまりに突然の出来事に慌ててスマホを手放してしまう。
そして薬指に集まった光は輪となり、金色の指輪へと姿を変えた。
「では、契約はここに成りました♪」
真剣な眼差しのままプリンを平らげた女神様は一呼吸置いてから、僕に微笑みを向ける。
「え……?」
状況が判断できないーーがまず大切なことを思い出した。
急いで放り投げたスマホを確認するものの、画面にはフライパンで叩きのめされる自分のキャラの姿があった……。
ーーここまで頑張ったのに。
言葉にならない僕の思いをよそに、女神様はこう続ける。
「ごちそうさまでした♪」
口にあったようで、とても満足してくれたみたいだ。