人外あれこれ:書こう編
ちょっと投稿しようと思ったので前振り。
とりあえず没にしたアイデアを紹介していきます。生き物についての知識はけっこうあり、そいつを無視できない以上わりかし「これあかん」と思った没アイデアはいっぱいあります。でもどこかにアイデアをすぐ吸収して適当に事実を無視しつつ昇華してくれるすごい人がいるはず! 人外ものがこの世にもっと増える手助けをするために、ここにこうして人外を書こう的なものを置いておきます。興味ある人は読んで、どうぞ。
蛇……
モンスターとしてはかなり強いと思うが、現実だとクソ弱い。落ちただけで死ぬ主人公とか絶対イヤ。能力を想像しやすいものではあるが、好き嫌いが分かれるのもポイント。激しく動かしたいが、激しい動きには弱いのだ……。モンスターにするなら、ズバリ――
・不死身系
ギリッギリで生き残り、執念で勝ち上がる。受けたものを鱗で吸収するとか、動きが遅いことすら弱点にならないレベルの瘴気を纏う暗黒系主人公もアリか。復活するたびに脱皮して耐性が付くとか、そういうチートもありそう。どうしても倒され映えするものなので、逆に「勇者に狙われてる!→なんかデレたぁ!?」とかも、もしかすれば。なろう読者はダメージを受けることを異様に嫌い、とにかく回避したがるので受けは悪いだろう。
蜘蛛……
あの作品に勝てと……? 文章はアレすぎるが、あの怒涛の展開には絶対勝てない。あと蜘蛛の力をフル活用したら強すぎるので、成り上がりしにくくなる。あと、系統が違うものを組み合わせると魔改造になりすぎる。まあ知識のある読者とかほとんどいないからいいんだけどな(嘲笑
・特化型万能系
蜘蛛読んで(丸投げ)。そもそも蜘蛛は種類が多く多彩な生態を持つので、ぜんぶ合体させて万能チートにする。もういいじゃん、誰かやってるし。「クモ子の冒険」、パクリでもなくほのぼのかと思ったらけっこうハードでめっちゃ面白かったです(宣伝)。エタっちゃったみたいだけど、応援したらワンチャンあるか……?
ゴーレム……
私のイメージにあるゴーレムは、みんなの思ってるそれとはかなり違う。近いのはドラクエに出てくる「ダーククリスタル」。というか創造主がいるモンスターって主人公としてどうなんだろう。ご主人様に従う系の物語があれば使えそう。そうだな、こうしよう。
・魔改造・かしこまりました系
命を生み出せるご主人様って超強いじゃん? さらに魔改造を重ねてスゲーことにするんだぜ! どんな無茶を言われてもさらっとこなす系の、そうあれ……黒執事? ご主人様に作られた私、あなたさまのためならば不可能はございません的な。ゴーレムはそもそも主人を守るための存在、命に代えてもお守りしますとか言いそう。思ったんだが女性向けのほうが受けそう……これあかんやつや。
カマキリ……
イメージが強すぎて使えねえ! 見た目が攻撃的、かつ野蛮な食い散らし方をするやべーやつなので、モンスター化してもこれはぜったいつよい。はじめから危険すぎるやつとして出す分にはいいが、強くなっていく過程を書くのは面倒くさそう。地味に飛べないとか移動手段が少ないのも考えもの。どうすんだこれ……?
・ヤベーイ! 系
肉食×刃物持ち。こんなやつがまともなわけないだろ! 敵を切り裂き国をも食い散らし、ありとあらゆる女を侍らせてみせるバケモノ――そう、サイコ系かな? もしくは頼れる系と見せかけてのすべてを喰らう虚無の怪物みたいな。確かに強いんだけどコイツを頼ったらアカン、つまり主人公は同族ながらコイツに頼らない手段を探し、コイツから学び取った手段で敵を倒すと。頼れるキャラか、一歩間違うと大爆発だなぁ……。
真面目な話、イメージが強すぎるのでちょっと私の手に負えない。誰かお願い。
骨……
競争相手が多すぎるゥんだよなあ。アインズさまと争うなんてそんなことできません。という本気の冗談はともかく、進化する先を想像しにくい。
・すべてへつながる――。系
可能性がありすぎてどこへでも行けてしまう。というかすでにニッチ(隙間)ではなくなっているので、入り込む隙はない。やりたい人がいるなら、ほかの作品を読んで「これはまだ使われていないのでは」と思うものを試してみよう。ところでみんな、死体好きすぎじゃない? 病んでるのかなぁ。
ダメそうな条件
・大きくなってはいけない生物(虫ほとんどじゃねーかどうすんだ)
・最初から強い生物(龍はなにゆえ強いと思う→種族が強い)
・気持ち悪いやつ(ぬるぬる系にうじゃうじゃ系などなど)
・そのほか、進化しても変わらなさそうな生物
大きくなってはいけない系……
カエルや小鳥、恐竜など大きさに特徴があったり大きくなっても強くならなさそうなものたち。恐竜がでかくなるとかどんだけデカいんだよ、とかカエルがでかくなってもいわゆるあれ「太ったガマ」みたいなものになるだけでかっこよくないとか。これをかっこよく書ける人がいたら尊敬するね!
最初から強い系……
龍、狼や虎などめちゃつよな猛獣、神の眷族とかそういうのはダメ。敵の強さもインフレしていって面白くなくなり、最終的な敵がおかしいことになる。竜の出世としてはミズチから竜、んで龍、四方の守護を頑張って中央に……と言いたいところだがコレあかん、もともといる神を否定するようなことしたらアカン。いわゆる「血統」的なものを感じさせるので、ありといえばありかもしれないが。
気持ち悪い系……
閲覧注意な生き物たちが跳梁跋扈ォ! ごめん、私も苦手なものくらいいるんだ、誠に申し訳ないが許してくれ。トラウマになってる生き物が三種類、派生してヤバいのが十数種類とこれだけで候補は消えていく。まえがきあとがきに「お食事前の読書はご注意ください」とか「精神に大きな傷を残す可能性がございます」とか書きたくない。……あれ、書いた記憶がある……? 好きな人は、誰かに迷惑をかけないようにしようね。
進化しても変わらなさそう系……
成長がイメージできない、それそのものでイメージが固定されている生物やら。あと動きが少ない、飾りを追加するとか装甲を追加してもダメそうな生き物が該当する。植物は動かないのでダメ、甲虫系も上位種と下位種の違いがイメージしにくい。金の飾りでもつけてみるか? と思ったけどギャグだろそれ。先ほど出てきたゴーレムも、どうしたら強くなるのかというと能力が増える、デカくなるくらいしかイメージできないとなると……やりにくいなマジで。
これに関しては「生物種そのものをガラッと変える」という解決策が用意されている。とある作品は「ブラックバスからブラックドラゴンに!」とか言ってた気がするが、そこまではやりすぎな気も。これはけっこう多く、弾かれているほとんどはこれに該当している。
マイナーすぎ系……
その名前を理解するのに事前知識が必要なもの。なろう読者はテンプレ好きとか言われているが、要するに自分の知識、理解に収まるものを欲しているのだと思われる。そこで理解に時間がかかる、知識を新たに入れる必要があるものを用意すると……あら不思議、誰も手を出さない。
新たなテンプレを作るくらいの気概がないと……と言いたいところだが、無理。プラスして「成長してもどうなるか分からない」「どうしたら強くなるか分からない」「検索して出てきた画像を参照しても、文章で表現されるビジョンを想像できない」といった数々の難点が降りかかる。不利すぎるので手を出さないのが吉。果敢に挑戦するという人がいるならば、ぜひご連絡いただきたいですお願いします、ブクマしますから!
人外転生面白いですね。蜘蛛は文章のせいで没入できなかったのですが、それでも面白いあたりすげー。というわけで、今回は人外かつ主人公にしやすそうなモンスターとか生き物を探してみましょうか。参考としてまとめブログとかあれこれ見てきましたが、みんな凡庸なのしか思いついてないみたいで――はいここテストに出るから覚えといて。
みんな知っている生き物じゃないとダメです。アザミウマ、シリアゲムシ、このあたりは誰も知りません。ウスバカマキリだと「え、ウスバカゲロウじゃなくて?」という人と「知ってる知ってる、ファーブル昆虫記の……」という人に分かれてきます。カートディルスケラは誰も知りませんね? オクテムペリエルス・デクトルシュケムとかは……? ごめん今作った。ええ、ダメですね。マジっぽく言うと何人か騙されそう。
取り合えず条件を挙げると――
・弱い
・(小さい)
・強くなりそう
・みんな知ってる
です。みんな調べようとしないんですよねー。自分がやるときは真面目にやるくせに、相手にはぜんぶ教えてもらいたがるって言うかね。というか資料集めもネットであれこれやって廃終わりだし。誤変換だけどもうほっとく、合ってる気がするし。
で、ですね……悩みの種……。読者のレベルってめちゃくちゃなんですよね。初心者用ハイエンドダンジョンみたいなクソカスネームを言われた気分。例えばですよ。
「黒いカマキリを育てる方法は何でしょう!?」
回答1(レベル1)
「えっマジ!? ちょ待って調べる! 黒砂糖でもあげんの?」
回答2(レベル2)
「うさんくせえ……ほんとにいんの?」
回答3(レベル3)
「生まれ以外で色って変わるっけ?」
回答4(レベル4)
「クワガタムシじゃあるまいし、バカらしい……」
こんな感じですかねぇ。レベル2までは知識なし、3はちょっと知ってるけど調べる気なし&うろ覚え、4はしっかり知ってて、何なら相手をやり込められるくらい。レベル4のみなさん、その知識悪用しちゃダメ。辞書は人を殴るものじゃなくて、さっと知識を引き出すためにあるんですよ。他人に向けるものじゃねー。
まず「対象の知識を持ち」、「ほかの知識と摺り合わせ」、「文脈的な正しさを検証」。まずはそのあたりですね。加えて「発展の可能性を考え、飛躍を受け入れる」、「空想を共有する」といったところができればかなりすごい読者であるといえましょう。
後半をやるのは簡単です、いわゆる考察です。物語に没入し、同じ世界を共有することで楽しみをさらに広げる。二次創作的な妄想をすることもあるかもしれません。ただ、前半ができてる人ってのは珍しくって……まあ、これが私の悩みの種なんですね。
有名な作品「蜘蛛ですが何か?」は、毒を吐く(実際には吐いていない。注1)蜘蛛のモンスターが登場します。現実的には「毒を吐く」のはコブラくらいのもので、その意味で考えると間違っています(「対象の知識を持つ」)。しかし、蜘蛛が毒を使うというのは間違いではありません。牙から消化液を出して相手を溶かし、それを吸い取ることで獲物を食べています(「ほかの知識と摺り合わせる」)。相手を体内から溶かす、というイメージはフィクションでいう恐るべき「毒」そのもの。蜘蛛が毒を使う、ということは間違っていません。
ということは、蜘蛛が強くなったもの=蜘蛛のモンスターが毒を吐くことは、ありえることなのかもしれません(「発展の可能性を考え、飛躍を受け入れる」)。そういった説得力が、蜘蛛のモンスターが毒を吐くことを受け入れさせているわけです(「空想を共有する」)。
しぜん、誰も知らないものを出してくるとそれを受け入れることには時間がかかります。また、つながりのなさそうなものをつなげても同じ。美少女が何とでもつながるのは、「受け入れる」「吸収する」という女性+若さの特性を持つためです。それは置いといて、例えばまったく知らない言語で名付けられた生き物をいきなり出されても彼らは困惑するだけ。誰でも知っているものを出さないと、誰にも受け入れられません。さっきのオクテムペリエルスとか急に出してきても、説明されなければ「なんやろこれ?」と思ったままで、受け入れることはできません。誰もやらないので見落としがちなのですが、キャラの描写としては起きがちな現象です。
たとえば「全体的にはお姉さんキャラで、「コブラ」のレディみたいな性格。見た目としては女版のエボル(注2)で、青い無双セイバー(注3)みたいな剣を持ってる」とやられても、作者が全部知っているだけで読者はすべてを知っているとは限りません。広く知られたキャラを使うのが一般的ですが、それでも「またか」とならないためにとか、オリジナリティーを出そうとしすぎるとキャラクター像がもやもやしてしまったり。
キャラはどうでもいいな。
モンスターを作るにも「イメージ」とか「似ているものがどんなものか」はかなり重要です。「音波攻撃で敵をぶち殺す」みたいな設定があるモンスターなのに、まったく音を出さない生き物だったりしたら「あれ? 関係なくね?」と思われてしまいます。人型のモンスターとばっかり戦ってる作品があったら、作者の知識がない証拠……と、半分くらいは考えていいでしょう。あとは読者を慰めてくれてるんですね、ありがとうございます。わざわざそんなことしてくれなくても、キャラなら何人でも殺すから大丈夫です。
人型のモンスター……ゴブリンにオーク、スケルトン、コボルド、トロール、ゴーレム。これら全てが人と同じ戦い方、もしくはやや劣る戦い方をするので「デカくて強いけど戦略的に勝ってやったぜ!」をやりやすいんですね。最初っからかませに用意してるくせになにをほざくか。異形に生まれたくせに体全部使えてないさん、ゲームのやりすぎか知らないがひとつの攻撃に特化して何もできない無能モンス……。さすがに悲しいです。指の動きが早いゲーマーだって足生えてますよ? デンドロ(注4)みたいに「これが最善。だからこれをやる」っていう感じの覚悟あるカッコよさでなければ、ただのお笑いです。
そんなこんなで、みなさん頑張って異形を広めようぜって話ですね。蹂躙、破壊、お好きでしょう? 死ぬべきだからこそ犯せる罪がある、どうしてお気付きにならないのでしょうか。それが死ななかったらどうか……考えただけで恐ろしいじゃありませんか。
たびたびバカにしてくるこいつからも、取れる情報はいくつか用意してあります。あとはあなた次第、そいつを抜き取れるか否かで勝敗が……いや、ニッチを狙って勝とうって発想はどうなんだろう。
注1「毒を吐く」
実際にはスキル「毒牙」で牙から毒がにじみ出たり、「毒魔法」で球状に丸めた液体の毒を撃ったりしている。口を開けて毒を吐いているシーンはない。
注2「エボル」
仮面ライダーエボル。「仮面ライダービルド」に出てきた「エボルト」が仮面ライダーとして変身した姿。曲線と球体が複雑に組み合わさったすばらしいデザインなので、ライダーに興味がなくても一見の価値はある。
注3「無双セイバー」
「仮面ライダー鎧武」のライダーの標準装備。まっすぐな日本刀のような形をしており、弾丸を装填してからトリガーを引くことで銃として使うこともできる。
注4「デンドロ」
このサイト「小説家になろう」で連載されている「インフィニット・デンドログラム」の略称。タグに「異能力バトル」とついているだけあって登場人物の能力はほぼひとつに限定されており、能力を全力で活かすところを楽しめるのが大きな魅力。出版社にゴリ押しされたりややキツかったりするところはあるが、没入できれば楽しい。