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ドラゴンの少女

新キャラです!!!!!!!

今回は情報量が多かったのか少なかったのか……

 ドラゴン……って?あのドラゴン?

 俺は困惑した。確かにドラゴンは色んな種類が居る……魔法を使ったり人間の姿になったりなんていうのも珍しくはないだろうが、どうして俺達のパーティに?

 ドラゴンってのは、硬い皮膚に牙、飛べる


「それで……そのドラゴンの人は何故俺達のパーティ何かに?」

「ああ、店の手伝いをしてくれたからと言っていた」

「何だそれ、大した理由じゃないじゃん。……で、そのドラゴンは何処に?」

「後ろにいるぞ」


 そう言われて後ろを振り向くと、誰も居なかった。見えるのは入口だけだった。


「下だぞ」

「うぉ!?子供?!」


 目線を下にやると、立っていたのは一人の少女、ラバナよりも小さいその容姿は、まさに子供だった。目を奪われる程に清らかなで長い銀髪に、ぱっちり見開いた雄大な空の様に蒼い瞳。絵に描いた様な整った目鼻立ちと真珠の様に白く美しい肌。

 よく眼を見ると、空の様な蒼色、それを裂く様に細い楕円形の黒目が縦に入っている。ドラゴンの眼……まさにそれだった。


「いや、もう小さい女の子は足りて……」

「アナタがエレンさん、ですか?」


 その子は表情一つ変えずに、冷たく俺に問いかける。その表情からは何も読み取れない……まさにポーカーフェイスだ。


「そうだが……?」

「えっと……。み、店番ありがとうございます。私はヤトリエル=フリューゲル・ウーア・ゲヴァルト=クリムゾン・ドラゴノイド……と、言います」

「お、おう。よろしく、えっーと……ヤトリエル何とかさん」

「ヤトでいいですよ」


リエルは……いらないんだな。


「じゃあ、ヤト。よろしくな」


 取り敢えず挨拶を交わして、俺は受付に向いて、エリリスに聞く。


「で、治癒師ヒーラーと言ったな、ランクは?」

「それが、ランクE……」

「え、ドラゴンだろ?人間の姿になれるドラゴンって、もの凄い魔力を有するって聞いたんだが……?」

「確かに魔力は有している……ステータスも魔力だけは相当高いが、治癒魔法が使えないんだ」


 治癒魔法が使えない治癒師ヒーラー……って、何処に需要があるんだ?――と、言いたいが、俺達だって魔術師ウィザードなのにロクな魔法が使えないし、断りにくい。

 だが、治癒師ヒーラーと言うんだから何か使えるに違いないと、俺は考える。


「あー……何か他に使えたりしないのか?」

「一つだけある。その子は特異体質でドラゴンなのに炎が吐けない」

「それで?」

「固有スキル、<治癒の息治癒の息(ヒール・ブレス)>……。その息を受けた者の傷はみるみるうちに回復するらしい」

「おいおい、そんな話あると思うか?」


 俺は思わず吹き出して、笑ってしまう。だってそんなドラゴン聞いた事が無いし、あり得ると思えない。

 どうしても信じられない俺は、近くに居た盗賊シーフからナイフを借りて、自分の腕に小さな傷を付けた。


「ほら、これを治してみろ」


 ヤトは小さく頷いた。


「……わかりました」


 そう言うと、小さく息を吸い込んで、俺の傷に吹き掛ける。

 出てくる炎は珠玉しゅぎょくの緑色で、俺は驚嘆した。なんと、傷口がみるみる内に塞がっていくのだ。「す、すげ……」と声が思わず漏れてしまう。


「エレンさん。ど、どうでした?」

「ヤト、君が居てくれるだけでこのパーティは変貌を遂げるだろう……!」


 俺は感嘆かんたんの声を上げる。

 求めていた治癒師ヒーラーが俺のパーティに……って、いくらなんでも上手く行きすぎじゃね?

 何か裏がありそうだな……。大体、何日も店を開けていた理由も気になる。


「聞きたいことがあるんだが、大分と店を開けていたようだが?」

「ええ、ちょっと……野暮用がありまして。実は前の店主の本業が忙しくなったので、私も手伝ってました」


 少女はやはり無表情で、冷たく返事をする。


「前の店主?誰だそりゃ?」

「私を助けてくれた人で、魔術師協会の会長です。その人曰く、暇潰しで店を……って、魔術師ウィザードなのに知らないんですね。名前は――……」

「おーい、ここに居たのか」

「あっ♡魔王様~!」


 話をぶった切る様に声が聞こえた。眼をやると、見覚えのある紅い髪と頭部に生える二本の角が目に映る。もちろん、そんな特徴を持つ少女は、ラバナしかいない。

 そういえば、フードは三日くらい前に、暑苦しいやら面倒やら駄々をこねる為、被る事はなくなった。

 でもまぁ、それから誰にも正体はバレてないし、「もういいか」って事でもうフードは被らせていない。


「今日もあの犬を見に行ってたのか?」

「はっ、はぁ!?うるさいわ!興味もないわ!!」


 分かりやすいな。この一週間、ペットショップに毎日行ってた癖に良く言う。


「魔王様!?い、犬を愛でるなんて……何と麗しい!」


 ラバナは顔を真っ赤にしている。


「違うと言っているだろうが!あんな下等生物……」

「魔王……、ラ……バナ……?」


 やばい、ヤトが何かを察し始めてる。取り敢えず何とかしてバレないようにするしかない。


「あー!ヤト、紹介しとくぞ、コイツはラバナって名前だが、えー魔王?!ナニソレシラナイ」

「何を言っておるんだ??我は偉大なる魔王である」

「魔王様……そのつのと紅い髪……母親が言ってた通りですね」


 フード被らせてないからバレた案件の一件目。

だが見たところ、敵意は無いみたいだし、警戒をする様子もない。


「もういいや……って、様付けっつー事は、隠す必要もないのか……?」


 それから、色々と話を聞いた所、ドラゴンには平和を愛する者と戦いを好む者……智慧ちえを持つ者や人の言葉を話すものや人間の姿になれる者や魔法を使う者……様々な個体がいるらしく、ある程度の歳を重ねると、親元を離れ、自らの住み場所を探すらしい。


 ヤトの年齢は百十二歳……ドラゴン界隈ではまだ子供らしいが、ギルドの協定では冒険者になるには“十六歳”以上で基準はクリアしている。

それと、母親が魔王様に忠義を誓っていたらしく、それでヤトは魔王様を知っているらしい。


「それで、このチビが我らの新しい仲間という事か?仕方あるまい!」

「お前も十分小さいぞ、ラバナ」


 こうして、俺達三人のパーティが誕生した。


 ―◇―


 翌日の朝――……ヤトの実力を試そうという事もあり、何かクエストへ行こうと考えていた。

 しかし、何処へ行くのか俺は迷っていた。以前のゴブリンのように面倒な事に巻き込まれるのはごめんだし、もう少し近くて、簡単なクエストがいい。

だが、俺達みたいな弱小パーティが行けるクエストなどたかが知れている。

一番手軽なのはかなり凶暴な猪『デビル・ボア』の討伐&肉の採取。デビル・ボアの肉は美味い事で有名で、高く売れる事でも知られている。俺も何度も狩りに出ているし、これにしよう。

俺はその貼り紙に手を伸ばす。


「おっとー!失礼!」


突如、俺の目の前に男が現れる。金髪にピアス、そこそこ良い装備しており、悔しいがイケメンの冒険者。

その男は、俺が行こうとしたクエストの貼り紙を取り、ドヤ顔でひらひらさせていた。


「あれぇー……まさかエレン君!?このクエスト行こうとしてたの?」

「んだよ、エルガルト」


剣士ナイト】エルガルト=アバーランド、とあるパーティのリーダーだ。

俺が気に食わず、パーティから追い出した男、今も定期的に嫌がらせを受けている。


「いやぁーごめんねぇ!ちょっと偶然にも行きたいクエストが同じだったみたいで……!」

「分かった分かった。さっさと行け」

「せんきゅー!」


高笑いしながら、エルガルトは受付に向かった。

エルガルトはそこそこ腕の立つパーティのリーダー。メンバー全員がCランク以上のそこそこ強い奴らだ。


昔、俺はそのパーティに参加していた時期があって、お世話になった事がある。

ある日のクエストで、キメラ狩りに行った時に助けてやったのだが、「勝手な行動をするな、お前の助けなんていらん」と怒られてから、俺に対しての当たりが強くなった。


それから俺をワザと回復しなかったり、補助バフ魔法をかけてくれなかったり、そして挙句、クエストに連れて行って貰えず、パーティをクビになった。それから、一人ソロで俺は活動していたのだが、今も定期的に嫌がらせを受けている現状。

──昔の話、パーティに裏切られるなんて慣れている。気にせず、今はクエストに行く準備をしなくてはならない。


一瞥いちべつすると、俺達向けクエストは……『スケルトン討伐』。北の森に墓地に出現した屍の魔物スケルトンが通りかかった人間を襲うという事件があり、その被害者が依頼したものだった。

まぁ、スケルトン自体は動きが鈍く、再起不能になるまで骨を砕けば、動く事がなくなる。


「これにするか」


そして、俺はそれを受付エリリスに持って行って、クエストを受注した。

ラバナを見ると、朝食を忙しなく食べている。ヤトは一度、店に戻ってから合流するらしい。

まだ時間は余裕がある。とりあえず、適当にアイテムを買いに行くとするか。


「ラバナ、もう朝飯は食い終わりそうか?」


ハンバーガーを頬張りながら、俺に振り向く。多分、まだ食べ終わってないんだろう。


「まふぁふぁぞ!」

「そうか、俺は先にアイテムを買ってくるから。ちゃんと待ってろよ?」

「我を子共扱いするな、こう見えて貴様より長く……」

「生きてるんだろ?はいはい分かった」


俺はギルドを出て、朝の街に出た。

この街は、朝から賑わいを見せている。街ゆく冒険者や商人の朝は早い。

朝の斜光が降り注ぎ、快晴の空を仰ぐと、絶好の冒険日和だった。


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