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魔女が剣を握ったら…  作者: 豚肉の加工品
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僕が知らない僕の物語を紡ぐ始まりを僕は知らない

2017.3/14編集。

少しずつですが、修正加えていきます。


空は快晴、子供たちは遊具で楽しそうに遊んでいる。

その中でたった一人、外には出ているが木陰に座り一冊の本を取り出した。

相当古いのか題名が良く見えなく閉じていても分かるほどにページは擦れて黄ばんでいる本を、四歳から五歳ほどの子供が開いた。

子が読むような本ではないことは一目瞭然だが、その子は楽しそうに……それはもう遊具で楽しんでいる元気な子供たちと同じような表情で本にのめり込んでいる様子だ。

「今日はどこを読もうかな~」

黄ばんだページをめくり続け、手を止める。


「ここなら読めそうだ」






それは昔々のこと。

人類は本来、手に入れてはいけないモノを手に入れた。

いや。

彼は願い、乞い、祈ることで、世界に呼んではいけないものを呼び出した。


それは。

田畑を恵む神であり

天候を統べる神であり

広大な大海原を制している神であり

木々を生み出す神であり

物を作る神であり

命を司る神だ。


これが人類と神々が邂逅し、交渉した瞬間だった…………



    ◆   ◇   ◆



朝の空気は新鮮で吸い込むとよく体が動くジョギングにはぴったりの空気。

軽快にそして一定にリズムを刻みながら進む足と一定の呼吸が誰もいない旧訓練場に微かに響く。

「あ、飛行機だ」

現在時刻は朝の四時、その空にはもの凄い速さで飛ぶ一台の飛行機があった。

あまりの珍しさに立ち止まってしまうくらい本当に珍しい。

「……こんな時間に空港?」

少し見ているとその飛行機は空港の方へ向かって飛んでいることが分かった。

きっとお忍びでどこぞの有名人がこの国に遊びに来たんだろう、なんてドラマチックな事を考えながら、

「なんか珍しいもの見れたし、今日はここまででいいかな…」

そう言って一人の少年は旧訓練場を後にした……





「ただいまー……って僕の部屋には誰もいないか」

本棚には大量の書物が詰まっており机の上には古書が置いてある。

本や生活必需品以外に何もないとても殺風景な部屋。

指を鳴らし周りに散らばった書物を片付け、カーテンを開ける。

真っ暗で何も見えなかった部屋が朝日に照らされ少しずつ見えてくのと同時に自分の部屋の異変に気付く。

妙に膨らんだベット、そのベットに向かうようにに脱ぎ捨てられたかのような女性ものの下着類。

ベットからは綺麗な寝息と共に人の気配がする。

というよりもう視界に映っている。

「金髪…?」

日本ではあまり見ない綺麗な金髪だ。

まるで生まれついたときから金髪だったみたいに。

「だれ……?」

自分のベットへ向かうだけなのに慎重に音を立てずに近づき、恐る恐る布団を捲るとそこには……

「…………」

「…ん……うぅん」

日が出始め周りを明るくしている時の事だった。

金髪の美女がベットで眠っていた。

このことだけでもかなり衝撃的なことなのだが、その衝撃でこの顔が見覚えがあることに気付く。

「アメリカ代表「契約者テスター」イリーガル・アルバドフ……」

世界最高峰の攻撃力を持った「契約者テスター」〈聖剣 ゼウス〉に選ばれた現在生きている人間で最強の攻撃力を誇るアメリカの皇女。

そんな重要人物が……目の前に、いやこの学園に何でいるのだろうか?

(いや、いやいや。流石に冷静すぎるよ僕)

目の前には日本だけではなく世界的に超有名な人物が生まれたままの姿で眠っている。

その事実に頭が追い付いていけなくなりショートしてしまった故か、布団をまたかけ直し、自室に設立されているシャワー室に向かう。

トレーニング用のジャージを脱ぎ洗濯機へ放り投げ、洗濯機のスイッチを押し洗濯開始。

ここまではいつも通りなのだが……

後ろに皇女がいると思うと何か起こってしまうかもしれないという不安と焦りからシャワーなど悠長に浴びていられない。

「あっ、学園長なら何か知っているかも」

こんなに朝早くから行くなんてかなり迷惑なことだけど、こっちもかなりの迷惑をすでに被っている。

喧嘩両成敗的どっちもどっちな感じで許してもらえるだろう。

「こうしちゃいられない。早く行こう、いや行かないと」

「どこへ?」

「学園長のところだよ。自分の部屋にいきなり最強の一人、イリーガル・アル…バドフ……?」

今、どこから女性の声が聞こえた?

「はい、私がイリーガル・アルバドフですよ?」

声がした方に恐る恐る振り向いてみるとほぼ全裸の状態で、目を擦っている世界最強が立っていた。

「起きたんですか……最強の一人さん」

「その一人なだけですけど、私も貴方のことを知っていますよ。上代かみしろ悠太さん。魔剣にも聖剣にも選ばれなかったのに魔力が目覚めている……『異端児』ですよね?」

「……そうだね。僕のことよく知っているのかな?」

「えぇ勿論。これから一緒に剣聖杯で戦ってもらう戦友ですから」

「は?」

「どうしたんですか?学園長から聞いていませんか?私はアメリカからの留学生で、貴方とこれからを共にする仲間です」

何とも明るい口調なのだ。

語尾に音符が付きそうなくらい明るい。

この明るさが非常に悠太の恐怖を逆撫でる。

剣聖杯というのは団体戦・個人戦・共闘戦の三種類に分けられている世界最強を決める戦いのこと。

そして『異端児』と呼ばれた悠太と一緒になるということは、その人間にとっては一人でも戦える力が必要になる。

様は、この学園からでる剣聖杯メンバーから出場権を勝ち取り一人で勝ちに行くと言っているのだ。

入学してから悠太は剣聖杯のメンバーを調べたが、魔剣聖剣、能力アビリティ、魔法の種類は学園で頭一つ抜けている…………そんな化け物たちに一人で勝てるといった。

「こっちも化け物か……、でもまずは。」

言葉を区切り、風呂場から部屋の方へと歩いて行く悠太。

ベットを辿る様に落ちている下着を拾い上げ、イリーガル・アルバドフに渡す。

「服着てくれない?」

「あら大変。ここに来て脱いだことを忘れていたわ」

これでも年頃の男の子、目の前で女の子が裸でいることに関して何も思わないわけではない。

しかも美人な人ときたものだ。もう顔しか見れない、首から下に目を向けたらいつ世界最強の一撃をくらってしまうことか。

「…………僕はシャワー浴びた後、朝一で学園長のとこに行くから。まだ眠いなら寝てていいよ」

「分かりました、私はもう少し寝る事にしますね」

向かうベッドはもちろん毎日悠太が寝ているベッド。

何やら気恥ずかしいがそれから、やることが分かった後の悠太の行動は早かった……

一度諦めかけた風呂に入り、魔法を使って学園長室に向かう。




「失礼します」

学園長室の扉をノック無しに無作法に入って行く。

無作法とはそのままの意味で、

「およよ?ノックも無しに入って来るなんて……無礼な奴だなぁ。しかもこんなに朝早く」

空間移動テレポーテーションにノックも何もないでしょう?あと、僕がここに来た理由は貴方がよく知っているはずですけども」

「…………ごめんなさい、いつも暇そうな悠太くんに面倒事押し付けちゃった。テヘッ」

可愛く舌を出しポーズを決める学園長。

その姿を見て悠太は溜息をこぼさずにはいられなかった。

「内容は……何ですか?」

「世界最強の子守?かな」




「冗談ですよね?この僕に?」





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