表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
41/387

装備

41


翌朝、ゴンタ達と久しぶりに日課の訓練をした。

ミナモの気の質が上がっている、毎日ゴンタと頑張ってたんだろうなぁ。

かっちゃんは、なっちゃんの抱き枕にされて寝ている。仲良しだねぇ。


「おはよーさん」


「おはよー」


「おはよう」


わう

わふ


 かっちゃんたちが起きたので訓練を終了し朝飯を食べに行く。

手拭を持って途中の井戸で顔と手を洗う。

今日はいい天気になりそうだ。


「おう、起きたか。おはよう」


 既にテーブルに着いてパンを齧っていたカビーノが挨拶をしてくる。


「おはよう、ハル姉妹は寝てるのか?」


「ああ、まだ寝てるみたいだな」


 俺達も席に着いて店員に朝飯を頼む。

今日はパンと燻製肉のスープにミカンか。


「今日はどうするの?予定決まってる?」


「ポーションの買い出しとマジックバッグの購入を考えている」


「マジックバッグはダンジョンで大きいやつ出たよね?」


「あれにはジャーキーと皮の水筒と水が大量に入っているからな。入れたままだと処分もできない」


「ふーん。そのまま使えば?」


「お前の取り分でもあるんだぞ?」


「そうか……」


「あと魔法の斧は、だれも使わないから売却だ」


「大きいマジックバッグはカビーノ達で使ってよ。代わりに他のマジックバッグを売却額で相殺して俺達に買ってくれないか?」


「いいのか?俺達はありがたいけどな」


「いいさ。そっちのが人数多いし荷物も増えるだろ」


「わかった。魔法の斧を売却してマジックバッグを買ってくるさ」


「頼む」


 俺とカビーノが戦利品の処分について話しているとホル姉妹も起きて来て朝飯を食べだした。オルが眠そうだ、一番体力が無いからなダンジョンが堪えたんだろう。


「カビーノ達は魔法の斧の売却とポーション類の買い出しとして、俺達はどうしようか?かっちゃん」


「うちらもポーションは買っておこうや。買い物でええんちゃう?」


「そっか。俺も本格的に剣の使用を考えていたから、それがいいな」


「お、トシもついに剣士か」


「それがいい」


 俺とかっちゃんが今日の予定について話している横でカビーノとオクタが言う。

やはりハンマーやメイスは扱いが楽ではあるが使いどころが難しい。それが解っている彼らは同意してくれる。


「始めは剣と盾で基本通りやってくつもり」


「盾は大事だ」


「俺には魔法がきついから盾で防がないとね」


「うむ」


 盾の事となるとオクタの食いつきがいい。思い入れがあるのだろうか。


「どこかいい武器屋を知らないか?」


「何件か見かけたが判らん。ギルドで職員に聞くのがいいだろう」


「そうか。そうしよう」


「西門の外辺りで例のヴァンパイアが立てこもってるらしいから近づかない方がいいぞ」


「ああダンジョンから一番近いのは西門だったな。あんなとこにいるのか」


「町へ逃げ込むつもりだったのかねぇ……」


 カビーノの忠告で、俺は少し考える。

ヴァンパイアは町へ入らなくてはいけない理由でもあったのだろうか?町に近寄らずに、どっかへ逃げればいいのに。解らん。


「ヴァンパイアの協力者か、大事な物でもあったのだろうな」


「なんかあるんだろうね」


「そうっすね」


「変よね」


「うん……」


「おう」


 カビーノ達もおかしいと感じていたのか相槌を打つ。


「ヴァンンパイア騒動は簡単には終わらないか」


「せやな。もう一波乱ありそうやで」


わう


「カビーノ達はヤツラと因縁があるけど、討伐か捕獲にはいかないの?」


「うーん。俺は参加したいんだが……」


 俺の問いにカビーノがホルを見て残念そうにしている。


「だめよ。利点より危険のほうが大きいじゃない。騎士団とかにまかせとけばいいの」


「めんどい……」


 ホルの言う通りかも。包囲している人数も多いようだし取り分は微妙かも。それ以前にヴァンパイアは強い。


「俺は、あんなのとの戦闘はしばらくゴメンだ。買い物に勤しむよ」


「そうよね。それがいいわ」


 ホルがウンウン頷いて同意してくる。ホルの横でカビーノがしょんぼりしている。そんなに戦闘好きか!


「そうだ、カビーノ。俺は剣に詳しくないんだ、俺に向いてそうな剣ってどんなの?」


「そうだなぁ、トシは気功術も使えるし身体能力も高い。となると……ミスリルのブロードソード辺りだろう」


「トシは魔力が無いからアダマンタイト製もいいかもな、お高いが」


 カビーノとオクタが教えてくれる。なんかワクワクしてくる名前が出て来たぞ。


「ミスリルとアダマンタイトってどういう性質?」


「ミスリルは魔力や気と相性がいい金属で固さも鉄より上だ。アダマンタイトは魔力や気と相性はよくないが硬度がずば抜けている」


「おぉ!」


「この2つの金属は気功術の得手不得手で選択する場合が多いな」


「まぁ鉄剣で金貨2枚くらいだが、ミスリルの剣だと白金貨1枚、アダマンタイトの剣だと白金貨2枚はいるだろうな」


「うへ、お高い」


「武器の作り手によって上下もするがな」


「ふむ」


 剣の購入についてカビーノ達に相談する。

俺達の資産はダンジョンの成果も合わせて天光貨1枚と白金貨1枚と金貨や銀貨数枚だ。

購入しても問題ないな。俺の一存では決められないけどさ。

ミスリルやアダマンタイトのインゴットも欲しいな、錬成が捗りそう。武器としては出来が悪くなるだろうけど。


「あと特殊な製法で打った銀の剣は気を通すとアンデッドに効果抜群だ」


「ほほー、あのヴァンパイア達にも効くかな?」


「そうだな当たれば効くだろう」


「当てるのが問題か……」


 いい情報だカビーノ!と思ったらそういう問題もあったね。俺はハルバード男に2発……正確には1発しか当ててないからな。


「予備の武器として持ちたいものだ」


「なるほどねぇ。荷物と予算に余裕があったら買いたいな」


「うむ。俺も今回ので購入を考えている」


「ヴァンパイアは強すぎだ」


「ああ、だが対策は打っておかないとな」


 さすがカビーノだ。強いのに手を抜かない姿勢が尊敬できるぜ。

俺達が話している間にホル達も朝飯を食べ終わってお茶を飲んでかっちゃん達と買い物の話をしているようだ。

女性服の話は俺にはついていけませぬ。


「じゃあ、また夕飯でな」


「おう」


 食後のお茶を楽しんだ後で、今日の行動に出る。


「じゃあギルドへ行こうか」


「はいな」


わう


「ギルドでなっちゃんもカード作ったのー」


「おお、登録したのか」


「モラテコの市民証はあったんやけど、どうなるか判らんよって作っといたんよ」


「なるほど」


 なっちゃんとお爺さんはモラテコから逃げていた節があるからな、モラテコの市民証は今後使わない方がいいかも。


「ここの冒険者ギルドは北門の側だったよね?」


「せや」


「なっちゃん知ってるよー。連れてったげる」


 なっちゃんは俺の手をギュッと握り、引っ張って歩き出す。

かっちゃんは微笑ましそうな表情で見ている。

照れくさいがいいか。


 早朝ではない時間なので店もいくつか開いていた。八百屋や並びにある調味料の店が気になる、後で行ってみよう。


「ここです!」


「なっちゃん、ありがとう」


「どういたしましてー」


 なっちゃんは役に立ったのが嬉しいのかニコニコしている。

つい頭を撫でたくなるがやめておこう。


「じゃあ、俺が武器屋について聞いてくるよ。ここで待っててね」


「はいな」


「はーい」


わう

わふ


 俺はギルドの建物を見上げてから入る。サヒラも大きい建物だったが、少しだけこっちのが大きいかな。

冒険者達は10人ほどしかいない。朝っていっても早朝ではないしな。それともヴァンパイアのほうへ行っているのかも知れないな。

案内カウンターのお嬢さんがいたので、武器屋について聞いてみる。


「おはようございます」


「おはようございます、お聞きしたいことがあります」


「はい、なんでしょうか?」


 茶髪で長髪な、そばかすが可愛いお嬢さんが言ってくれる。


「いい武器や防具を扱っている店を紹介していただけないかと思いまして」


「そうですか。ギルドの武器屋もいい物を扱ってますよ?それ以外ですと、ここの道を挟んだ向かいの区画にある鉄塊屋か中央通りを西に行った荒くれ者って店が評判いいですね」


「ありがとうございます。ギルドの店を見てから他の店にも行ってみますね」


 俺は受付嬢に礼を言ってギルドを出る。


「お待たせ。まずはギルドの店から見に行こう」


「はいな」


わう


 隣の建物が武器と防具を扱っているようだ。

中には店員の他2人の客しかいない。

とりあえず一回り武器と防具を見て回った。

カビーノが言った剣の相場はあっているようだ。

鉄剣もミスリルの剣あったが、アダマンタイトの剣は品切れだ。残念。

持って素振りもさせてもらった。重そうなのに、それほど重さを感じない。俺の強度が上がっているからかな。

よく考えたら、カビーノ達にどんな剣がいいか聞いたが俺には剣の良し悪しが判らなかったね……アホだな。

ただ手にしっくりきて重みも片手で丁度いいミスリルのブロードソードがあったので、そのまま購入した。長さは刃渡り70cmくらいで持ち手の部分は皮が巻いてある。カッコイイぜ。

値段さえ妥当ならいいや。

盾はアダマンタイト製があったので購入した。長方形のタワーシールドって感じかな、小さい子供ならすっぽり隠れそうな大きさだ。とにかく頑丈そうです。

剣が白金貨1枚で、盾が白金貨4枚だったが、店員に冒険者ギルドメンバーかと聞かれカードを提示したら金貨5枚分の値引きをしてくれた!1割引か、ありがたい。

合計で白金貨4枚と金貨5枚を支払った。

特殊銀の剣は白金貨1枚だったが予算の都合上諦めた。

俺が使える金額のほとんどが消えたよ。

残りのお金はかっちゃんの分だからさ。

ゴンタはお金なんていらないって言ってた。そりゃそうか。


 さらに隣の雑貨屋で回復ポーションを5本買って宿へ戻る。

途中で八百屋を見て調味料屋で魚醤っぽいものを買った。素焼きのびんに入ったものだ。蓋を開けたら生臭い……味は醤油に近かったので嬉しい。


 宿へ戻り俺は剣と盾を持ち素振りと立ち回りを確認した。

かっちゃんたちは魔法の訓練に入った。

みんなで強くなりたいものだ。


 夕飯をカビーノ達と取り、食事中の話しに出た銭湯へ行こうって事になった。

みんなで手拭を持ち銭湯へ行った。

久しぶりの湯船で体を癒した。

やはり風呂はいい!風呂から上がった後のエールはまた格別だった。

そのままカビーノ達と宴会になりかけたが、ホル達に呼ばれ怒られた。


 さて、明日からどう行動しようかね。なんて思いながら床に就いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ